TOKYO逸品 ~企業が歩んだ物語~
銅 薬味おろし金 ふたやく
使用感も意匠も格別な逸品
80代の職人が果敢に挑む「かつてない形」


おろし金づくりの世界に入り、この道60年以上という職人が、80歳を超えて挑んだ新作です。生姜やワサビなどに使う薬味おろしですが、特筆に値する点は2つあります。
まず、「切るようにおろす」というところ。水分を含んだ状態で仕上がるので、薬味の食感が際立ちます。聞くと「本体の原材料が銅で、しかも手で彫っている」のが肝だそう。機械だと、ここまで鋭い目立てにはならないらしい。そのおかげで「薬味をすりつぶすのではなく切る感じにできる」とのことです。
もうひとつは、このデザイン。「こんな形の薬味おろしはまずないでしょう」。おろす面が斜めになっているので、使い手にしてみれば余分な力が要りません。ただし、製作するのは実に大変らしい。「斜めの面だと、下にいくほど目を立てづらいんですよ」と笑います。美しい姿をした薬味おろしでもあり、そのまま器として食卓に出せるのがまたいい。「だから『ふたやく』という名にしました」。ああ、そういうことなのですね。
それにしても…。80歳を過ぎてなお、新しい製品づくりに臨むのはなぜ? 「のちのち、どなたかが『手作業でこんなものをつくっていたやつがいたんだな』と感じてくれれば、という一心です」。2022年11月に発売してから、月に50個ほどを出荷していますが、いつもすぐさま売り切れるそう。見事な話です。

商品情報
商 品 名 | 銅 薬味おろし金 ふたやく |
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企 業 名 | 江戸幸 勅使川原製作所(東京都葛飾区) |
WEBサイト | https://tokyoteshigoto.tokyo/studio/edoko/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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