生徒・学生に寄り添うメンタルヘルスケアサービス ~オンラインでつながる「こころの専門家」がひとりひとりの悩みに応える~

株式会社Welcome to talk

会社情報

株式会社Welcome to talk

Welcome to talk は、学校と連携して、生徒や学生が悩みや不安を精神科医や心理士に相談できるメンタルヘルスケアサービスです。
全国の小学校から中学、高校、専門学校、大学の学校保健のパートナーとなり、こころの健康相談に対処するサービスを提供する。

住所:東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5階 KSフロア
URL:https://welcometotalk.co.jp
サービス一覧:https://welcometotalk.co.jp/service_list

代表者情報

代表取締役社長/関﨑 亮 東邦大学医学部卒業後、研修医を経て同大学医学部精神神経医学講座に入職。その後、同大学大学院にて、ジュニア・アスリートへのインターネットを活用したメンタルヘルスケアサービスに関する研究を行う。その傍ら、精神科学校医として、生徒、保護者、教職員のメンタルヘルスケアに携わり、学校保健の実績を積む。東邦⼤学医学部精神神経医学講座 客員講師として学校精神保健や遠隔医療の講義を担当する。学会やシンポジウム等での講演多数。2018年、株式会社 Welcome to talkを設立。専門分野は学校精神保健/スポーツ精神医学。

「学校拠点のメンタルヘルスケアシステム」

「学校拠点のメンタルヘルスケアシステム」とは、学校の生徒や学生が悩みや不安を打ち明け相談できる、ICTを活用したサービスです。導入校の生徒・学生、教職員、保護者が、タブレットやスマートフォンを用いて「いつでも・どこでも・手軽に・気軽に」こころの専門家とつながることができます。テレビ会議システムを用いて専門家の顔を見ながらじっくり相談できる「オンライン健康相談」に加え、より気軽に利用できるよう、2022年6月より、「テキスト健康相談」を開始し、サービスの拡充を図っています。テキスト健康相談からオンライン健康相談へ、または心理士から精神科医につなぐような、利用者の状況やニーズに応じたユーザーインターフェイスを整備しました。継続的な支援や病態評価に応じ、個人ごとに最適なメンタルヘルスケアを提供することが可能となります。

また、2022年9月からは利用者本人が日常的にこころの変化に気づくことができる「ココモニ」というセルフチェック機能も追加しました。WHO-5(精神的健康状態表)のアンケートに加え、音声感情センシングを搭載することで、自分の声でこころの健康状態や変化を手軽にチェックすることも可能となりました。

「いつでも」「どこからでも」相談ができる

「学校拠点のメンタルヘルスケアシステム」は、オンラインの特性を活かした“身近な”相談を可能としました。

オンラインのため、北海道から沖縄、海外在住者も物理的な距離に関係なく専門家の支援を受けることができ、必要な時や体調に応じて活用してもらうことができます。

コロナ禍で非接触が日常となった今、場所を問わず自分の部屋から安心して専門家とつながることができます。専門家は部屋の様子や環境を見ることができます。

好きなフィギュアやCD、書籍を見ながら話をしたり、利用者の人となりがわかるので、悩み以外の話をすることもできます。

放課後やすきま時間の有効活用だけでなく、夜時間帯や長期休暇、謹慎中や不登校になりがちな生徒も利用することができます。

自分の不安や悩みを整理することができる

利用者には、話して相談したい方もいれば、顔を出したくないといった方もいます。文字入力によるテキスト相談は、より気軽なカウンセリングを可能にしました。

オンライン健康相談もしくはテキスト健康相談と、本人の状況に応じて選択できるようになっています。

テキスト健康相談はいつでも相談することができ、不安や悩みの整理・内省(書くことで苦しみや訴えを含む“思い”がよりダイレクトに伝わり、リアルな内面を出しやすい。)をすることができます。

そのうえで専門家とのテキスト健康相談を重ねオンライン健康相談や継続的な支援につなげることを可能としています。

心理状態をセルフチェックすることができる

ココロをモニタリングできる「ココモニ」のサービスは、自分の声からココロの健康状態を見える化することができます。

音声分析データからストレス反応を可視化することで、子どもたちのメンタルヘルスの一次予防を促し、早期発見、早期支援につながります。

LINEとの連携をしているため、自分の「声」の分析結果から高ストレスとわかると、LINEを通じてアラートのメッセージが届きます。日常的にココロの変化に気づき、オンライン健康相談やテキスト健康相談につながるきっかけにもなり、早期支援を実現することが可能です。

またそういった生徒・学生を可視化することで、今までは経験に頼っていた学校の先生方も小さな変化を見逃さず、手を差し伸べる機会をつくることだけでなく、先生たちの負担軽減にもつなげることが可能となりました。

サービス開発のきっかけ

予てより子どもや若者の自虐行為が社会問題になっていましたが、コロナ禍で小中高生の自殺者数が過去最多となりました。若者の死因は自殺が最多であり、OECD主要7か国において自殺の死因比率が最も高いのが日本です。メンタルヘルス分野において課題は多いと言えます。自殺者の8割に精神疾患の罹患が報告されるように、若い世代のこころのセーフティーネットの構築が必要であると考えていました。

そこで、インターネットやデジタルデバイスを使いこなす若い世代に対してオンラインの特性を最大活用して、相談に対する心理的・物理的・経済的な障壁を取り除き、メンタルヘルスケアを加速させようと思いました。2019年より始まった文部科学省が牽引する5ヵ年計画「GIGAスクール構想」では、児童・生徒一人一台端末と高速ネットワークの整備も進んでいます。このタイミングを逃してはいけないと思い、ココモニ(ココロのモニタリング)からテキスト健康相談、オンライン健康相談までシームレスな支援を展開し、個別最適化されたメンタルヘルスケアシステムを提供できるサービスを開発しました。

https://welcometotalk.co.jp/service_list

事業のブラッシュアップ

弊社を担当してくださった公社のコーディネータの方からは、非常に多くのアドバイスをしていただきました。そのなかでも、弊社はベンチャー企業であり、社員数が少なく営業活動に限界があります。ターゲット顧客は学校・教育機関ですが、絶対数の多い首都圏の公立校との契約成立が課題でした。東京都の公立校との成約はパブリシティ効果があります。公立校への販路開拓についてコーディネータに相談した際、公立校とタッチポイントを持つ事業者や組織の説明を受けました。

自社の営業力を補うことができる提携先として、旅行代理店との連携の提案を受けました。助言だけでなく、専門家紹介により教育委員会や旅行代理店と商談を行いました。コロナ禍により、旅行代理店も学校へのサービス多様化が課題になっています。

旅行代理店との販売代理契約を検討中ですが、このように時流に沿ったネットワーク構築や販売促進活動に新たな気づき得ることができました。

ユーザー目線でのシステム開発

サービス開発を進めるうえで、「こころの専門家」である精神科医や臨床心理士、公認心理師のスケジューリングや配置には苦労しましたが、いのちの電話のメール相談や東京都ひきこもりサポートネットにてスーパーバイザーの経験者である心理士の先生を紹介していただいたり、連携している複数の大学病院から紹介してもらうことができました。

また、システム開発では、「文字が多くて使ってもらえないのではないか。」、「どうやったら子どもたちが使いやすいか。」というエンドユーザーのユーザビリティを第一に考え開発しました。

これからのビジョン

不安や悩みを含めメンタルヘルスに関することは、なかなか自分から打ち明けられないものです。

実際、サービス提供を通じて、不安や悩みはあるけど相談までの行動を起こせないといった潜在的ニーズを感じます。そのようなニーズに応えるべく新たに「サステナブルプラン(アカウント課金)」を販売開始します。この「サステナブルプラン」では、導入校のすべての生徒・学生に活用してもらえるようにしています。精神疾患の予防と回復を自分自身で行いながら心理状態を確認し、最適なメンタルサポートを実現します。

学校を拠点としたメンタルヘルスケアシステムを構築し、若い世代のメンタルヘルスという社会課題の解決に挑み、若い世代にも寄り添ったココロのセーフティーネットを構築したいです。

また、弊社としては音声感情センシングなど、テクノロジーの活用によるメンタルヘルスの充実に貢献し、学校保健への実装も展開していきたいと考えています。蓄積されているテキストデータや表情データといったデータサイエンスから予測システムの研究開発、予防産業を構築し、早期発見できるシステムをつくっていきたいです。

写真左:今回のサービスに携わった、こころの専門家スタッフ|臨床心理士 相田 早織

【略歴】

アメリカ・カリフォルニア州生まれ。4歳で帰国し中学2年まで国内、中学3年から高校卒業までの5年間をアメリカで過 ごす。学習院大学文学部心理学科卒業後、日本女子大学大学院人間社会研究科心理学専攻に進学。大学院修了後、児童 相談所や私立大学の保健センター、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所に勤務。大学の保健センターで は、大学生を対象とした思春期・青年期の臨床に携わる。現在は教育委員会に所属。スクールカウンセラーとして小学 校から中学校までの学校臨床に従事している。

ご支援させていただいたコーディネータより

株式会社Welcome to talkの経営チームと初めてハンズオン支援ミーティングを行ったとき、慈善福祉活動をされる事業者という印象は感じなかった。程よく力強い話しぶりや聴き方は、まさしく経営者そのものでありながら、教育者の空気も感じることができた。

ベンチャー企業は、共感される顧客創造とマネタイズのスピード性が重要になるが、主張が強すぎる信念は市場に対する柔軟性の障害になることがある。この会社の経営チームはローンチが期待できそうだと感じた。

販路開拓の課題にあたり、コーディネータから様々な情報や事業分析を提供して、経営者が事業を単視眼的に理解しないよう、学校に対して複合的なアプロ―チ戦略を検討するよう協議した。真摯に耳を傾けていただいたことはありがたく、このような協議が旅行代理店チャネル開拓とカスタマイズするサービス進化につながった。

マーケティングは顧客の課題やニーズを発掘し、解決手段を提供し、顧客満足を得ることがセオリーである。

しかし、当社事業では生徒や学生は自分の精神的不安定や問題に気付いていない場合がある。また、当社のサービスを利用していることを口コミすることは少ない。当社のオンラインサービスは、ひとりひとりの生徒・学生にニーズを気付かせて解決に導き、本人だけでなく学校や社会にメリットを与える。健康、医療や教育につながる日本的な社会事業の成長を期待したい。