「音」でコミュニケーション豊かなオフィスをつくる

ハイラブル株式会社

会社情報

ハイラブル株式会社

音環境分析と呼ばれる、雑音の中から音の情報を取り出す技術で、話し合いの見える化サービスを提供。主にアクティブ・ラーニングが行われている教育現場においてメタ認知を促進するための学習ツールや、企業における会議の生産性を高めるためのフィードバックツールとして提供し、これまで6万人(2023年2月時点)の話し合いを分析。
これまでに、日本e-Learning大賞厚生労働大臣賞(2020年度)、HRアワード入賞(2022年度) などを受賞。

住所:東京都豊島区南大塚二丁目26番12号 鈴音ビル2階 203号
URL:https://www.hylable.com/

代表者情報

代表取締役/水本 武志 2013年京都大学大学院情報学研究科 博士後期課程修了。博士(情報学)。カエルの合唱とロボット合奏の研究に従事。同年ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンにリサーチャーとして入社し、音の研究に従事。2016年ハイラブル株式会社を創業し代表取締役に就任。異能vationプログラム破壊的な挑戦部門の挑戦者に採択。

「Bamiel(バミエル)」のサービスを提供開始

近年オフィスにおけるコミュニケーションの重要性が高まっています。これまでに会話のあふれるオフィスづくりのためにマグネットスペースやカフェスペースを設けるなど、様々な試みがされていますが、アンケートや印象に頼るしかなく、データに基づく効果検証は困難でした。

Bamiel は、会話が生まれるオフィスを効率的に運用するための DX ソリューションです。複数のマイクをオフィスに設置し、音の方向を推定してリアルタイムで「いつ」「どこで」会話が発生しているかを分析できます。Bamiel の主な機能は2つあります。

1つ目はデジタルサイネージ機能です。会話の状況をリアルタイムヒートマップで表示し、テキストや画像の表示とあわせて利用者が「オフィスの会話は今どうなっているのか」をひと目で確認できます。

2つ目はデータ分析機能です。エリア・期間ごとの活性度比較によって、オフィスの活性化施策の効果を簡単に検証できます。

コミュニケーションの量を計測し、「いつ」「どこで」会話が活性化しているかを知る

Bamielを活用することで、オフィス内のコミュニケーションの量を定量的に計測することができます。これまではアンケートやインタビューに回答をした人の情報といった定性的な方法でしか評価できませんでした。近年はAIカメラ等で人の数の計測なども行われていますが、実際の会話を測れるものではありませんでした。

Bamiel はマイクを使用するため、継続的な計測と客観的な比較が可能です。そのため、「いつ」「どこで」会話が活性化していたかを定量的なデータに基づいて判断できます。オフィス空間のコミュニケーションに課題を持っている会社様にとっては有効にサービスを活用して頂けます。

オフィスの盛り上がりを見える化し、盛り上っている所、静かな所を探す

オフィスの会話をリアルタイムにサイネージ表示できることがBamielの特長のひとつです。

ブラウザがあればどこからでもオフィスの盛り上がり状況をヒートマップで確認することができるため、「会話が盛り上がっているからオフィスの談話スペースに行ってみよう。」だったり、「今日は集中したいから、静かな場所で働こう。」といった判断が可能になります。

また、オープンスペースなどでイベントや勉強会などをやっていることも認知でき、自分のその日の気分に合った場所で勤務するきっかけを作ることもできます。

プライバシーを守りながらオフィス内の活性度を知る

会話の内容を使わずに可視化できることがBamielの特長でもあります。

コミュニケーションスペースの会話の内容を録音するとプライバシーの問題があって実現は困難でした。

しかし、Bamiel は当社の音環境分析技術で「音の存在」の情報だけをアップロードしています。これによりプライバシーを保護した状態で会話の活性度を可視化できます。

サービス開発のきっかけ

これまでは音環境分析技術を使って、対面の話し合いを可視化するサービス 「Hylable Discussion」というサービスを、教育現場や企業研修の場に提供しておりました。コロナ禍によって学校が休校、企業研修がオンライン化する中で、対面の話し合いが激減しました。

これに対応してオンライン会議の可視化サービスを開発したものの、コロナ後を考えると対面のコミュニケーションの重要性が再認識されると考えています。

これまでもお客様から、「オフィス空間の評価や会議室の評価に使いたい。」という声は聞いていました。さらに近年は、偶発的なコミュニケーションが起こりやすいオフィスへの投資が増加していますが、調べてみると、オフィスへの投資結果は定量的な評価はされていない現状でした。

そこで当社の最も得意な技術である「うるさい環境で音の情報を取り出す」技術を活用し、空間の会話を可視化することにより、会話のうまれるコミュニケーション豊かなオフィスをつくることができると考え、サービス開発に至りました。

最適なペルソナを考えることで顧客満足に繋げることに成功

本プロジェクトは、従業員が中心となりサービスの開発を進めていきました。担当のコーディネーターからは、まず「マーケティング」や「製品の位置づけ」という面でアドバイスをして頂きました。「製品の位置づけ」についてはペルソナの設定を行うことからはじめました。「企業の規模感」や「担当部署」、「担当者の性別や年代」、「役職」、「オフィスの課題感を持っているのか」など、事細かに設定を行いました。

ペルソナを設定する事で効果的なマーケティングや開発ができ、今思うとこのペルソナの設定が非常に重要でした。他にもニーズ調査の手法やLPの作成、GoogleアナリティクスやGoogleオプティマイズの活用方法という点でもアドバイスして頂きました。

結果として、実際にお問い合わせも多く頂き、すぐにでも活用したいという会社様も現れました。また、導入企業様からは「とても使いやすい」という声も頂き、結果的に本プロジェクトに係わったメンバーもモチベーションが上がりました。

様々な苦労を乗り越えて事業化を実現

技術面で苦労した点は、発想の転換です。これまでのHylable Discussionでは「誰が話したか」や「誰と誰のやり取りが多かったか」といった、人を起点とした分析を行っていました。

基礎技術は同じであるものの、場所に着目するという着想にいたるまでに苦労しました。また、できるだけ従来のシステムを流用するような設計にも労力をかけました。

事業化の面で苦労した点は、新サービスをどのように訴求すれば良いかについて、訴求ポイント等を明確化したことです。特に、関連するサービスを調査するなどして、 Bamiel の得意・不得意な領域を明確にすることに労力をかけました。

これからのビジョン

様々なオフィスに導入を進めていき、お客様の文化に合ったオフィスの運営方法の開発を支援していきたいです。また、「コミュニケーションの場が見える」というコンセプトはオフィスにとどまらず、展示会場やショッピングモールなど、より広い空間へ広げていきたいとも考えています。

「音環境分析でコミュニケーションを豊かにする」をミッションとし、教育現場や企業研修など、人を中心にサービスを提供してきましたが、それに留まるつもりはありません。

Bamiel によって「サービス対象は人の会話」という制約を外したので、オフィスだけでなく、あらゆるコミュニケーションの分析をするべく事業を拡大していくことを目指します。

ご支援させていただいたコーディネータより

本支援事業は、感染防止対策等により企業内のコミュニケーション方法が多様化する中で、社内カフェなどのコミュニケーションスペースにおける発話量を測定する技術で組織を活性化しようとするもので、その着眼点は非常に新鮮でした。

しかし、当初の事業計画では、社内カフェという現場は見えていてもそこへのアプローチ方法を模索している様子が認められたため、社内カフェを取り巻くビジネス環境を整理し、アプローチすべきキーマンを見いだすよう支援を行いました。

また、本支援事業は応用範囲が広く、そのため訴求コンセプトも様々な方向性が考えられました。そこで専門家の支援を仰ぎ、ウェブ上でABテストを実施し訴求するポイントの絞り込みを行い、またその結果をプレスリリース等に活用したところ、円滑なローンチに結びつけることができました。技術でコミュニケーションを活性化したいという想いを専門家の知見で支えることができた支援になったと感じています。