非接触の日常に対応できる入力インターフェース
『Ncop3D』

株式会社リーシス

会社情報

株式会社リーシス

産業用PC及び周辺機器の販売、ソフトウェア受託開発。自社商材として、2017年に『Ncop』という非接触入力インターフェースを開発。その後、2019年には手のスワイプ操作を認識する『Ncop2D』をリリース、2021年には手の骨格認識が可能なセンサーを用いた『Ncop3D』をリリース。
住所:東京都立川市曙町1-15-1 谷ビル4F
URL:http://www.rss-dev.co.jp/

代表者情報

代表取締役/高 英俊志 新潟県出身。産業用電子機器メーカー、半導体商社等を経て1993年、創設メンバーの一人として株式会社リーシスの立ち上げに携わり営業部門を牽引して活躍。2007年、代表取締役に就任。お客様に信頼を提供しその対価として利益をうける”を企業理念として経営。

非接触入力インターフェース『Ncop3D』のサービスを提供開始

『Ncop3D』は既存のPCに対して非接触操作を可能とする後付け可能なソフトウェアです。手の骨格情報を認識できるセンサーからのデータを当社の技術で応用・解析し、Windows OSに対しクリック、ドラッグ等のポインティング操作を可能とします。

これにより触らずにモニター操作が可能となり、例えば工場などの生産現場で、手が汚れていたり、濡れている状況の中でも画面操作が行え、作業効率を改善できます。

普段使いのPCに手間なく導入が可能

『Ncop3D』は商品の構成がシンプルで、手軽に導入が可能です。

必要なモノは、手の平サイズのハンドトラッキングセンサーと、実際に使用するPCにインストールするソフトウェアだけです。OSやCPU、メモリといったPC側の要件もありますが、普段の業務で使っているPCでお使い頂ける事もありますので、追加で大きな設備投資をする必要もなく容易に導入する事ができ、非接触操作をすぐに使用することが可能です。

ユーザーが望む大きさの画面に対応

現在市場に出回っている非接触入力装置は、ほとんどが対象となるディスプレイと同じサイズのフレーム枠のセンサー装着で対応しています。そのため、使用したいディスプレイの大きさに合わせたセンサーを用意しなければなりません。

ですが、『Ncop3D』はフレームレスのため、サイズを気にしなくてもよく、ディスプレイに合わせたセンサーを用意しなくても非接触操作が可能です。国内においては非常に希少で、大画面の非接触操作が容易に実現可能です。

カスタマイズの可能性が無限大だからユーザーのどんなニーズにも応えられる

PC内のソフトウェアがカーソル表示などのユーザーインタフェースを構成しています。つまり、操作説明ガイダンスを表示したり、指とディスプレイとの距離に応じて画面上にエフェクトを施したり効果音を出すことができ、単純なHIDデバイスでは不可能なカスタマイズが可能です。

このようにユーザーの要望に幅広く対応できるので、想像もしていない製品が生まれる可能性があります。

サービス開発のきっかけ

当社はコロナ禍以前から、非接触入力インターフェースの開発、製造を行っていました。

用途としては工場内のディスプレイ上にある作業指示書のページめくりや、商業施設での壁面にプロジェクターで投影されている映像を手や体の動きで切り替えるなど様々あります。コロナ禍になり感染の予防のため共用空間にあるタッチディスプレイを非接触化したいなどといった問い合わせが入っていました。

色々なニーズがあり、当社で応えられるかどうか、わからないところもありましたが、社会に貢献出来、かつ我々にとっては経験のある分野だったため、開発にチャレンジすることに決めました。

マーケティング面の支援を依頼し、情報交換ができる大手企業との繋がりもできた

もともと当社には『Ncop3D』を開発するにあたっての技術はありました。しかし、マーケティング関係の窓口を設けていなかったので、マーケティング目的で今回の支援を活用しました。コーディネーターのネットワークを使い、色々な情報や繋がりを提供してもらいました。

今までなら門前払いされてしまうような大手企業様とも繋がりを持てました。ビジネスでの取引には至っていませんが、定期的に情報交換できる関係性を築けたのは大きな財産となりました。

想像以上の製品が完成し、できないと思ってもまずは取り組んでみることが大切

今回の開発においてはセンサー選びに苦労しました。当初は深度センサーというセンサーを用いていたのですが、最終的にはハンドトラッキングセンサーを使用しました。ハンドトラッキングセンサーは手の骨格座標まで出すことができます。

弊社の開発技術とハンドトラッキングセンサーを用いれば、理想の非接触入力インターフェースが作れるという確信はありました。非常に優れたハンドトラッキングセンサーですが、海外製なので分かり易いマニュアルがなく、サンプルのソースコードを解読して使いこなすのが大変苦労しました。

しかし、初めは「クリックができればいいかな」と思っていたところから、結果的にはクリック、スライド、拡大・縮小、細かいボタンも押せる製品になりました。できないと思っていることでも、実際に試行錯誤してやってみることが大切だと気づきました。

これからのビジョン

『Ncop3D』の開発により、ハンドトラッキングセンサーの国内総代理店「コーンズテクノロジー株式会社」様と太いパートナー関係を構築することが出来ました。

引き続き良好な関係を継続し、マーケットを切り開いて行きたいと思います。現在までに、販売実績は2社(公共インフラ/自動車)、その他ディスプレイメーカーからも引き合いを頂いてます。分野も分かれているため各方面に期待したいと思います。

『Ncop3D』はまだまだ完成形ではありません。お客様の声を聞き、完成度を高めたいと思っています。また、このサービスの得意不得意を見極めターゲット選定なども見直して、この分野のパイオニアになれたら嬉しいですね。また、当社の事業柱である、産業用PC等の販売及び受託開発は継続して進めていく事はもちろんですが、既存顧客の売り上げ減少、案件ロスト等、不確定要素も多くあります。

そのため、新規顧客の創出や新規サービスの開発も日々視野に入れて活動をしていきます。こういった活動をしながら、今回の支援で開発した『Ncop3D』も課題である反応速度の見直しなど、ブラッシュアップの継続もしていきます。

ご支援させていただいたコーディネータより

「新しい日常」対応型サービス創出支援事業の採択事業者は、コロナ禍の影響を受けて既存事業の減収に直面し、新たなサービス開発により業績回復を図る企業が多い。リーシスさんは感染症対策の3密回避を社会ニーズと捉え、培った画像処理技術から独自の非接触インターフェース組込みシステム(Ncop)を開発し、「新しい日常」に適応する新規事業を推進している。

当社のように、経営安定期にあっても普段の市場調査や研究開発の活動が持続経営実現に重要なことでしょう。当社はNcopの立ち上げにあたり、非接触操作のニーズを調査し、システムの品質改善と販路開拓するマーケティング戦略が課題でした。高社長は助成金申請は行わずハンズオン支援に期待され、コーディネーターとしてそのような期待に応える使命を感じました。

私個人のネットワーク、他の公社支援事業の利用、リーシス社独自の営業活動により30社以上と直接商談が行なわれ挑戦は続いています。社名と技術力の認知は確実に広まり、以前に増してユーザー価値を探求し、イノベーションとマーケティング志向が高まったリーシス社のNcopが、多くの非接触操作に活用される日は近いでしょう。