24時間、非接触で人気商品を提供できる
「ラーメンの冷凍自動販売機」を導入 株式会社カッパジャパン

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会社情報

2012年に1号店がオープン。当時からトマトを使ったトマトラーメンを販売し、人気を博す。グルメレビューサイトでも2024年には百名店に選出。現在はラーメン店6店舗、唐揚げ専門店1店舗まで店舗数を拡大させる。

社名 株式会社カッパジャパン
所在地 東京都福生市北田園1-6-9
代表者 島田 拓郎
URL https://kappajapan.com/

代表者情報

代表取締役社長 島田拓郎

東京都出身。大学卒業後にオーストラリアへワーキングホリデーに行き、帰国後は飲食系の企業に就職。そこでフードビジネスの面白みに気付く。2012年に自身のラーメン店をオープンし、2013年に株式会社カッパジャパン設立。

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開発したサービスの概要

afterコロナの飲食店経営の活路に、冷凍自動販売機導入

株式会社カッパジャパンでは、自社店舗で提供している人気のラーメンを冷凍食品にして、自動販売機で販売するというサービスを2024年9月にスタート。

新型コロナウイルスによって対面型サービスを提供するビジネスは大きな打撃を受けたが、特に飲食業においてはそこに人手不足も加わり、経営を圧迫する状況が続いていた。それまで順調に業績を伸ばしてきた同社も売上を大きく落としたことで、対面以外の販売方法を模索。そこで「非接触」、「人件費が抑えられる」といったメリットのある冷凍自動販売機での冷凍商品販売をスタートさせる。

開発したサービスの紹介

「お店の味をご家庭でも」、ラーメンの冷凍自動販売に参入

ラーメン店6店舗を運営するカッパジャパンでは、埼玉県狭山市笹井にある店舗「カッパラーメン」にセントラルキッチンを設置し、効率化を図っている。今回の冷凍自動販売機第一号は、その店舗に一台を設置し、冷凍ラーメンの販売をスタート。

「お店で出している味を、ご家庭でも」と、同社の人気メニューである「トマトラーメン」、「トマト味噌つけ麺」、「トマ二郎(まぜそば)」などを冷凍商品化。店内では950円で提供しているが、包材にコストがかかることや「釣り銭の必要ない価格が好まれる」といった同業者からのアドバイスを聞き、1,000円で販売することに。

限られた人件費の中でも売上が見込めるビジネス

導入後、最初の一カ月で約40個を販売。その後、売上は順調に伸びていき、年末年始には売り切れるほどの人気に。商品ラインナップには「沖縄そば」なども加えてみたが売上は伸びず、改めて「カッパラーメンイコール、トマトラーメン」が浸透していることを認識することになる。

「どんな時間帯に売れるのか」、「冷凍ラーメン購入を目的にやって来る客が多いのか、店舗で飲食後に自宅用として購入する客が多いのか」といったデータはまだ取れていないが、今後はこれまでの売上データをベースに、商品を切らすことのないように補充していく。冷凍食品用に加工したり販売機に補充するといった作業は発生するものの、限られた人数で売上を伸ばすことに貢献している。

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サービス開発のきっかけ

2013年に創業して以来、グルメサイトでもラーメン店のベスト100に選ばれるなど業績は好調、特に「トマトラーメン」が人気で、順調に店舗数も増やしていった。ところがコロナ禍となり、売上が大幅にダウン。それまでの日常が徐々に戻ってきた2022年頃になっても、なかなか回復することがなかった。創業からずっと好調だったこともありどのような手を打てばいいか分からず、島田社長も頭を抱えるばかり。またアルバイトがなかなか集まらないといった、人材面での課題も表面化していた。

そうした中、ラーメンの冷凍自動販売機が人気を得ていることに着目。人件費をかけずに売上を伸ばせるし、何より非接触という部分に可能性を感じ、導入しようと考えた。同時期に日頃から訪れている商工会議所で、知り合いから東京都の助成金のことを聞き、活用しようと考えたのが、サービス導入のきっかけとなる。

開発期間中の振り返り

試行錯誤の連続。改良を重ね実現した確かな味の再現度

冷凍自動販売機の導入を決意した後、自販機メーカーはすぐに見つかったのだが、「一番苦労したのは当店のラーメンを冷凍食品化する工程でした」と、島田社長は開発当時を振り返る。当初は店舗で出している麺やスープ、具材などをそれぞれ冷凍すればいいと考えていたそうだが、スープはとろみ具合が再現できず、麺の食感も良くないなど、解決しなければならない課題が数多くあった。冷凍用にスープの配合を変えるなど、改良を重ねること約2年。ようやく店舗で提供しているものと遜色のないレベルの冷凍食品が完成した。

自分たちの固定概念を崩した、コーディネータのアドバイス

公社からの支援ではコーディネータからのアドバイスが大いに役立ったという。「冷凍自動販売機が設置されていることを認知してもらうため、お店の看板自体も変更するようになど、細かなアドバイスをいただきました」(島田社長)。特に、トマトラーメン自体を図案化して看板に描けばいいと考えていた島田社長らに対して、「トマトラーメンを知らない人にも一目で理解してもらえるよう、トマトの図案を大きく描くべき」など、自分たちの固定概念を崩すようなアドバイスをもらえたことが良かったという。「この他にも、お店のホームページのさまざまなページから、冷凍自動販売機のページに誘導するといった、細かな提案もプラスになっています」と島田社長。

成功体験を通じ、社内の空気にも変化が

これまでは店舗経営が順調で売上も確保できていた分、ラーメン作りにばかり目が行っていたという島田社長だが、「今回新たなサービスを導入し成果を上げたことで、経営についてももっと深く考えなければと思うようになりました」と、経営者としての意識にも変化が生まれた様子。マネジメントやマーケティングの本などを読むようになったとのこと。「自分でお金を出して冷凍自動販売機を導入するという選択肢もありましたが、それでは今のような意識にはなっていなかったと思います。コーディネータのサカイさんと1年以上にわたり意見を出し合ってきたことで自分自身も成長できたし、この成功体験というものが社内の他のスタッフにも伝播していると感じますね」(島田社長)。

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これからのビジョン

冷凍食品作りで苦労した分、さまざまなノウハウも蓄積された。今後はそうした知見を生かして季節に合った新商品も提供していきたいと、島田社長は語る。また「パスタや鍋用のトマトスープなど、ラーメン以外の商品の販売も考えている」(島田社長)とのこと。もちろん最初に導入した冷凍自動販売機が軌道に乗った今、他店舗に展開していくことも計画中だという。

また、冷凍食品が完成したことで通信販売もスタート。こちらも順調に売上を伸ばしており、「先日は山口県のお客様からも注文をいただくなど、幅広い地域に当社のトマトラーメンが広がっています」と島田社長は喜びを隠さない。この冷凍自動販売機と通信販売での売上比率を高めていくことが、当面の目標。さらに今回のような新たなビジネスへの挑戦も、これからは積極的に行っていきたいとのことだった。