老舗の味を手軽に家庭で楽しめる
冷凍商材を、新たに開発
株式会社ヌーボー

会社情報
世田谷区瀬田で精肉店を営んでいた「鈴政」が、1978年に成城へ移転。店名を「すずまさ」に変更し、5年後の1983年には隣にレストラン「成城ポレール」を開業。同時に株式会社ヌーボーを設立。上質な松阪牛を扱う店として、地元のみならず遠方からの来店客も多い。
社名 | 株式会社ヌーボー |
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所在地 | 東京都世田谷区成城6-6-10 |
代表者 | 中谷 光典 |
URL |
https://seijo-polaire.com/ |
代表者情報
代表取締役社長 中谷光典
10代から食肉業界で修業を始め、60年以上にわたり牛肉一筋に経験を積む。先代から精肉店「すずまさ」の事業を継承。「すずまさ」も「成城ポレール」も、長年培ってきた目利きの技術を活かし、厳選された松阪牛を提供している。

開発したサービスの概要
リブランディングを行った上で、商品開発・情報発信を実施
成城の老舗レストラン「成城ポレール」で提供しているメニューをご家庭でも楽しんでもらうため、冷凍商材の新ブランド「ポレールテーブル」のブランディングおよび商品開発を行う。自社ブランドの確認作業からスタートし、簡単に店の味を再現してもらうための冷凍・解凍方法を検討。またホームページの再構築、リーフレットやプレスリリースの作成なども実施。さらに「ポレールテーブル」の販路拡大に向けて、オンラインショップを開設し、デリバリーサービスも開始。食肉事業、飲食事業に次ぐビジネスの柱を目指している。
開発したサービスの紹介
顧客イメージや使用イメージを検討し、商品を開発
「ポレールテーブル」は、「成城ポレール」で提供している松阪牛を使用したさまざまなメニューのフローズンディッシュ(冷凍商材)。ハンバーグやビーフシチューから、すき焼き、牛丼など、松阪牛をふんだんに使用したメニューを中心に12品目を、今回開発した。またその前段階として、約半世紀にわたり地元で愛されている「成城ポレール」のリブランディングを行い、冷凍商材を開発したらどのような層がどのようなシチュエーションで利用するのかといった「ターゲットの再確認」を実施。その結果をもって商品開発を行った。
認知拡大のため、広報物制作に加えSNS活用も
併せて行ったのが、認知拡大のための情報発信。リーフレットや折り込みチラシを作成してポスティングを行ったほか、メディア向けのプレスリリースなども制作。また、FacebookやInstagramなどSNSでの発信も行うように。「成城ポレール」や「ポレールテーブル」の認知度を高めると同時に、適切なタイミングに適切な情報を発信できる環境を整えた。さらに自社WEBサイトでも「ポレールテーブル」のページを新たに作成。これまで近隣3キロ圏内へのデリバリーは行っていたが、クール宅配便を活用し全国に向け販売できる体制も整えた。

サービス開発のきっかけ
成城で約半世紀続いてきた老舗ではあるが、古くからの顧客は高齢になり来店頻度も減少。そこに新型コロナウイルスも加わったことで、中谷社長は冷凍商材の開発に着手。そこで必要になるのが商品開発や情報発信のノウハウだが、「何をどうすればいいのか、皆目分からなかった」(中谷社長)ことから、今回のハンズオン支援に応募。公社コーディネータと二人三脚で、リブランディングから商品開発、販売システム構築、情報発信などを行っていった。
開発期間中の振り返り
徹底的に行ったのは、自社ブランドの再確認作業
「ポレールテーブル」開発の前段階として、「すずまさ」と「成城ポレール」がどのような店なのかという「ブランドの再確認作業」からスタート。その上で、冷凍商材の新ブランド「ポレールテーブル」のネーミングや、今後情報発信をしていく際の表現におけるトーン&マナーを考えていった。「印象的だったのは、中谷社長が『成城は、皆さんが思うよりも庶民的な街なんだよ』とおっしゃっていたこと。商店街で長くお店をやられた上での感覚値なのですが、外部からの印象はそうではないと認識を改めていただくことに苦労しました」と上林さんは振り返る。
軸となったのは、「お店の味をご家庭で再現」というこだわり
レストランのアイドルタイムに調理作業ができることもあり、以前から冷凍商材に関して研究していたという中谷社長。今回の開発過程で特にこだわったのは、「成城ポレール」で提供している味の再現だったという。「ご家庭での手間を考えれば、電子レンジで加熱する方法が理想なのですが、それだとどうしても満足のいく味が再現できませんでした。そこで湯煎の方向で開発を進めることに。また調理に関して外部委託を考えなかったのも、ウチの味をお届けしたいという想いからでした」(中谷社長)。
常に新たなものを取り入れようという意識が大切
今回のサービス開発を振り返り、「これまで考えたことのなかったブランディングやマーケティングについて改めて考える、いい機会になった」と語る中谷社長。そして「中谷社長は80代となった現在も、休みは週に一回というかたちでお仕事をされています。業界のトレンドなどに目を向ける時間もないまま今日まで働いてこられたわけですが、それでも新しいものを取り入れようという意欲が貪欲で、自分も見習わなければという気持ちになりました」と公社コーディネータさん。ヌーボでは今後もこうした支援があれば、活用していきたいとのことだった。

これからのビジョン
「今回冷凍商材を開発できたので、自動販売機などを使って販売してみたい」と、今後の展開についても抱負を語る中谷社長。ハンズオン支援で中谷社長と今回のサービス開発を行った上林さんも、「提供される料理はとても美味しいけれども、経営者が高齢になりマーケット状況の変化や新たなビジネスモデルへのアップデートになかなか対応できていない。そんな『成城ポレール』のようなお店は、都内に数多く存在していると思います。そうした、地元の方にとっては財産のようなお店を残していけるよう、今回のような助成を多くの方に活用してもらいたいですね」と語ってくれた。