インテリア業界での自社の強みを活かして、
観葉植物のネット販売に参入 株式会社Prossimo

会社情報

Prossimoは2007年に設立された、主にソファなどの家具に使用される生地やカーテンなどの製造・販売を行う会社。一般住宅よりもホテルなど大型施設に納めることが多いため、家具や什器・備品といった業態に留まらず、建築業的なスタンスでビジネスを展開している。

社名 株式会社Prossimo
所在地 東京都品川区東大井1-1-8 1F
代表者 加納 諭
URL https://prossimo.net/

代表者情報

代表取締役社長 加納諭

日本の美術大学で建築について学んだ後、アメリカで環境デザインについて学ぶ。帰国後は都市計画事務所などに勤務した後、実家が経営するオーダーカーテンの会社へ。その後、大学時代の友人が経営していた会社を引き継ぐ形でProssimoの社長に就任する。

開発したサービスの概要

自社ソフトの充実と観葉植物のECサイトオープンを同時に

Prossimoがカーテンなどを販売する際に活用している、自社制作によるルームシミュレーターソフト「Room Palette」。このソフトに、室内イメージの構成要素として重要な役割を占める観葉植物を実装することに。そこで必要となったスキャナー購入代金や植物の3Dモデリングにかかる費用などに、今回の助成金を活用した。同時に「Room Palette」を活用しながら観葉植物を購入できるECサイト「Green Palette」も開発。観葉植物関連のオンライン販売事業もスタートすることになった。

開発したサービスの紹介

ルームシミュレーターソフトに観葉植物を加え、よりリアルに

建築の設計図から自動で3Dモデルを描画できる、Prossimoが開発したルームシミュレーターソフト「Room Palette」。インテリアコーディネータ向けのこのソフトに、印象的な空間作りに欠かせない観葉植物を加えることが、今回のサービス開発の目的の一つである。スキャナーを使用して周囲はもちろん上部からも観葉植物を撮影し、よりリアルな3Dデータを作成。花き業者にもヒアリングを行い、人気のある観葉植物などを調査。今後はこだわりのあるインテリアコーディネータの要望にも応えられるよう、レアな商品も3D化していく予定だ。

自社ソフトの存在が、新規に立ち上げたECサイトの強みになる

この「Room Palette」に観葉植物の3Dモデルを追加したのと同時に、消費者がオンライン上で観葉植物を購入できるECサイト「Green Palette」の立ち上げも行った。このサイトの強みは「Room Palette」を活用することで、購入予定の観葉植物がインテリアにマッチするかどうかを、オンライン上で確認できること。フラワーメーカーとも提携して、流通の部分も確保。観葉植物の3Dモデルを制作したことで、「Room Palette」がより充実しただけでなく、新たなECビジネス立ち上げを大きくサポートすることになった。

サービス開発のきっかけ

「当社には中国・上海にも工場があることから、中国企業とのビジネスも行っているのですが、現地の同業他社は制作に時間のかかる建築パースなどは使わず、3Dソフトで室内イメージをプレゼンしていました。そのレスポンスに対応するため、当社でも3Dソフト『Room Palette』を開発しました」と、インテリア業界DX化の黎明期を振り返る加納社長。このソフトにさまざまな観葉植物を取り入れることで室内イメージ再現の精度を上げると同時に、観葉植物のECサイト「Green Palette」と連動させ、顧客にイメージを提示することで購入を促す仕掛けになればと立案。コロナ禍でホテル関連のビジネスが止まってしまったことも、今回のサービス開発を考えるきっかけになった。

開発期間中の振り返り

コーディネータの細かな部分までのアドバイスがプラスに

同社のホームページなどを制作している会社に助成金のことを聞き、公社へ相談に行ったことがスタートだったと振り返る加納社長。「コーディネータの方にスケジューリングやマーケティングなど、さまざまな角度からアドバイスをいただきました。最初は『物を作れば終わり』と思っていましたが、『プレスリリースを打って告知することが重要』と言われたことも印象的です。また定型的なアドバイスではなく、インテリア市場をいろいろ調べてくださった上で当社に最適なアドバイスをしていただけたと思っています」(加納社長)。

観葉植物の、レアなニーズにも応えられる仕組み作りを

「これまでは3Dモデリングを行うといっても直線の多い家具などが中心だったので、枝や葉の形状に特徴のある観葉植物のデータ化には苦労しました」という加納社長。そのためのスキャナーも購入し、さまざまな角度から撮影することで、よりリアルな3Dモデルが完成した。また、この「Room Palette」を活用して観葉植物のオンライン販売を行うECサイト「Green Palette」に関しては、東京都の大田市場花き部の卸売会社「フラワー・オークション・ジャパン」などの協力で調達に関する制度を整備。「観葉植物の分野は奥が深く、業界関係者を中心にレアな商品を求める傾向にあります。そうしたニーズにも対応できる仕組みにしていきたいですね」(加納社長)。

加納社長の柔軟な姿勢を、コーディネータも高く評価

今回のコーディネートを担当した大谷さんも、「加納さんのお話を伺って、観葉植物の流通を変えようという新たな視点を感じ、一緒に取り組ませていただきました。こちらの提案をとても柔軟に受け止めていただいて、当初の計画から変えるべきところは変え、良いものは残しながら取り組んでくださったことが印象的でした」と振り返る。加納社長や同社スタッフも今回のサービス開発に手応えを感じており、今後も積極的にDXによる新ビジネスの確立に取り組んでいきたいとのことだった。

これからのビジョン

3Dソフトの発達で、これまではモデルハウスやパースを作って顧客に紹介していた住宅やインテリアが、PC上でイメージを伝えられるようになった。今回は観葉植物のバーチャル体験だが、このシステムを応用すれば、たとえばマニアックなバイクが趣味の人の家といった、ニッチなマーケットへの提案も容易に。また「Green Palette」に関しても、アイテム数を増やすことでインテリアコーディネータやデザイナーなど、「他にはないもの」を求める層のニーズにも応えていきたいと語る加納社長。今後も建築・インテリア業界のDX化には迅速に対応していきたい、とのことだった。