ベトナム人に特化した人材育成と
企業のマッチングサービスを創出 株式会社興和

開発したサービスの概要

ベトナム人に特化した人材育成と企業のマッチングサービスを創出

外国人材の日本での就労資格の一つである「特定技能」ビザは、日本語能力・各職種の技能測定試験に合格しなければならない。そこでベトナム国内にいる「日本で働きたい」と考えている学生向けに、「特定技能」16職種のうち外食業に絞った「資格取得のためのカリキュラム動画」を開発し、コンテンツとして提供するサービスを立ち上げた。さらに、優秀な外国人材の雇用を望む日本の企業と、ベトナム国内で学ぶ学生のマッチング支援を実現するためのWebサイトを開発。これまでの日本語学校運営で培ったノウハウを生かし、「特定技能」の資格取得から就労、その後のアフターサポートまで一本のラインでつながるようなワンストップのサービスを提供する。

開発したサービスの紹介

Webで「特定技能」ビザ資格取得を目指して学び、日本企業とつながる

「特定技能」資格取得のためのカリキュラム動画は、全編日本語による試験のポイント解説となっている。YouTubeなどのソーシャルメディアに載せて誰もが無料で簡単に見られるものにはせず、「スタディサプリ」というオンライン学習サービスに学生があらかじめ登録して、オンラインで視聴できる形とした。
学生と企業のマッチングのためのWebサイトでは、現時点では日本の社会環境や人々の生活、文化といったことをPRしながら、実際の会社名は出さずに“飲食業のこういった企業で人材を募集しています”とった企業の案内を行う。興味を持った現地の学生がサイトに登録して、企業とマッチしたらWeb面接に進むというシステムだ。

ワンステップを加えることで学生も企業も安心できるシステムに

Webマッチングといっても、登録した項目を機械的にすり合わせて紹介するわけではない。「Webサイトに登録した学生と企業の方が直接面接する前に、まず私たちが学生と話しをして、その人柄や能力を理解しておきます。その上で、この人物ならば、この企業に良いのではないか?という判断をしてから、次のステップに進んでいただくようにしました。やはり人と人のことですので、実際に入社してから“いや、ちょっと困っちゃったな”といったことになるのが最も避けたいところだと考えています。ですから、そこはワンステップ入れて慎重に進めることでミスマッチが少なくなり、学生も企業の方も安心できるのではないでしょうか」(水越理事長)。

日本語学校としての土台を生かしベトナム人材の育成・確保に特化

今回の開発は「ベトナム人材」に特化したサービスとした。その理由は興和日本語学院としてのしっかりとした土台があるからだ。「新型コロナウイルス感染症蔓延以前は中国人留学生が多数を占めていましたが、現在はベトナム人留学生が約6割。当校の卒業生である優秀なベトナム人スタッフもおり、また長年にわたるおつきあいでベトナム国内の留学センターや大学とのパイプもあります。彼らも日本での就労の面でも自国の学生たちをサポートしたいという考えがあり、大学で日本企業が製作した会社紹介動画を流すなど、さまざまな形でPRに協力してくれています。良い形関係ができているから、真面目な良い人材を紹介できるのです」(水越理事長)。

サービス開発のきっかけ

様々な業種の日本企業が悩む「人手不足」という課題を解決したい

水越氏は自身が所属する横浜西ロータリークラブにおいて、「人手不足」で悩む様々な業種の経営者から「外国人材を紹介できないか」と相談を受けていた。一方、すでに外国人材を雇用している会社であっても、うまく戦力になっていない場合もあることを知った。
「当社は創業以来、日本語学校として留学生の進学とその後の就職活動をサポートしてきた実績があります。この深刻な人手不足の解決策の一つとして外国人材の確保ができるのではないか?と考えたのです。もちろん大手派遣会社でも外国人材派遣は進めていますが、私たちなら日本学校での長い経験から信頼できる外国人材の紹介、入社以降のフォロー体制づくりも難しくありません」(水越理事長)。

開発期間中の振り返り

友人の一言で当事業に応募し、アドバイスを受けて大きく踏み出す

同社は37年間にわたり外国人への日本語教育を行い、外国人に対する豊富な語学教育のノウハウを有している。一方で今回取り扱う「特定技能」資格の外食分野については、ほぼ知見がない状況であった。また、Webサイトや動画制作の経験もない。新規事業となるため、資金確保という問題もある。水越氏は具体的にどう動くか決めかねていたが、そんな折、友人の会社社長から「この助成事業が合うのでは?」と紹介されたのが当事業だ。そしてハンズオン支援で担当コーディネーターから、外食業の課題に関するマーケティング情報、動画・Webサイトの企画・制作の考え方から制作会社への依頼まで、多岐にわたるアドバイスを受け、開発がスタートした。

ゼロから手探りでの動画制作、Webはさらにブラッシュアップを

「特定技能」の試験には大学受験のような“過去問題集”はない。受験した人に話を聞いたり、市販の教材に目を通したりして、手探りで試験のポイントを探り動画制作を進めるしかない。「日本語を教えることとは全く違う世界で、思った以上に時間がかかりました。動画制作会社からは、使えるフリー素材もたくさんあると聞いていましたが、実際は合う映像がなく、急遽先生や職員に出演してもらい自分たちで作りました。先生方には通常の授業もしながら時間を割いていただき、ご苦労をおかけしました」(水越理事長)。Web制作に関してはアドバイスもあり、大きくつまずくこともなく進んだが、これからもどんどんブラッシュアップを進めていく。

これまでの「信頼」「つながり」で築いたベトナムとの良好な関係

昨年9月、水越理事長はベトナム人材の採用を考える6名の経営者と一緒にベトナムのダナンへ行き、ダナン工科大学をはじめとする4つの大学などを訪問。学長と会い、各企業と直接話をする機会を設けた。このような大学訪問というのは、「つながり」がないことには簡単には実現できない。これは水越氏が長年にわたってベトナムと良い関係を構築し、夢を持って来日する留学生たちをサポートしてきた結果から生まれた「信頼」があってのことだ。「学生たちを安心して任せられるという、良い関係が築かれているのだと思います。そのおかげもあって今回開発したサービスでは、優秀な学生たちに日本企業をPRできそうです」(水越理事長)。

これからのビジョン

世界的な人材獲得競争の中、優秀な外国人材の育成・確保に資する

「少子高齢化が進行した日本では、様々な分野で外国人材の力が不可欠です。しかし、人材不足は世界的な問題で優秀な外国人材の確保は難しくなっているのです。また、アジア諸国の方が日本で就労するには、まだまだハードルが高いのが事実。私たちの活動で、優秀な外国人材の育成・確保と来日後の地域への定着の手助けをしていきたいと思っています」(水越理事長)。
昨年11月から動画公開が始まり、開発はほぼ終了。残りの動画を順次作成し、今年4月からはWeb面接も開始される。水越理事長は、今後は宿泊業・建設業といった特に人材不足で困っている業種、日本語学校としてのつながりがあるネパールやミャンマーといった国への展開も考えている。

会社情報

社名 株式会社興和
[興和日本語学院]
代表者 理事長 水越 祐之
所在地 東京都大田区山王3丁目45-28
事業概要 1987年設立。夢を持って来日する若者をサポートしたいという思いから、外国人留学生に日本語教育を提供する「興和日本語学院」を運営。語学だけではなく、課外活動の日本文化体験なども含め総合的な教育を行っている。
主な製品やサービス *
URL https://www.kohwa-ijl.co.jp/

代表者情報

水越 祐之

理事長 水越 祐之