成功のヒントは現場にあり!東京都内中小企業のSDGs取組事例
庭師の技術と知識で人と植物の懸け橋に

株式会社 やましたグリーン(八王子市)
代表取締役
山下 力人 氏
気持ちに寄り添うことがヒントに
やましたグリーンは、「人と植物が親友になれるように」という想いのもと、従来の造園業にとどまらず、引っ越しや入院、遺品整理など様々な理由で伐採せざるを得なくなった植物を引き取る「植木の里親」事業にも取り組んでいます。
「『植木の里親』事業のきっかけは2012年でした。庭木の伐採の依頼で伺ったときに、長年大切に育ててきた木を本当は切りたくないというお客様の想いを知り、その木を引き取って会社の敷地で育てることから始まりました」
と話すのは山下代表です。お客様に喜ばれるために、お客様の声を大切にしている山下代表がSDGsを意識したのも、お客様やその家族が無理なく植物の手入れを続けられる庭づくりを提案したときでした。植物の命をつないでいくことが社会のためにもなると気づき、外に向けて「やましたグリーンのSDGs」を宣言しました。
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植栽作業。新たな里親のところへ
植物の命がつながれていきます。
植物が日常にある暮らしをつくる
「植木の里親」事業は、ホームページやSNSなどから口コミで広がっていき、多くの植物を救うことができました。さらに、新たな里親を探すための「もらえる植物園」を開設。植物の育て方のレクチャーやワークショップが楽しめ、植物と触れ合える地域の憩いの場に。
「『もらえる植物園』は、引き取りを考えている方も里親に出された方も気軽に会いに来られる場になっています。植物に触れながら植物について学んでいけるので地域の人たちにも喜ばれています。」
このような取り組みを続けることで緑豊かなまちづくりに貢献。他にも、伐採が必要な樹木は堆肥として再資源化する企業と連携を取るなど環境と誠実に向き合っています。
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「もらえる植物園」のポーチでは
自然の中でワークショップが楽しめます。 -
ワークショップで作ったスワッグ。
SDGsで広がる新たなつながり
「やましたグリーンのSDGs」を宣言することで、社員一人ひとりが目的意識を持って行動してほしいという想いがあった山下代表。
「最初はSDGsの取り組みに難しさを感じてしまうかもしれませんが、すでにできていることを自ら見つけていくことで前向きに取り組めるはずです。そこから成長や発展につながっていくと思います」
また、SDGsは日々の仕事のなかで大事な判断基準になっていると山下代表は振り返ります。
「庭師として働く女性社員がいるのですが、腕力が必要な作業が多いため、社内業務に変えた方がいいのではないかと悩みました。しかし、『誰一人取り残さない』というSDGsの基本に立ち返り、本人の意思を尊重し、女性ならではの細やかな視点や対応を大切にして、庭師として活躍の場をつくっていこうという考えに転換できました」
こうして、SDGsを推進することで共感していただいた方からの採用の問い合わせや、SDGs経営に積極的な企業からの引き合いが増え、ビジネスチャンスにつながっているそうです。新しいアイデアで挑戦し続けるやましたグリーンは、環境創造会社として造園業界を盛り上げています。
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庭師として女性も活躍しています。
株式会社 やましたグリーン
所在地:東京都八王子市下恩方町1207-9
設立:平成20年4月1日
事業内容:植木の里親、造園工事、剪定・伐採などの植栽管理、外構工事、公共工事
代表取締役社長:山下力人
従業員数:4名
