• ホーム
  • >
  • 事例紹介-公社支援活用事例
  • >
  • 株式会社木村工業(大田区)─ トップダウンからボトムアップへ 全社員が一丸となって未来の会社をつくり上げる一大プロジェクト

ひろがる!SDGs経営に取り組む中小企業東京都内中小企業のSDGs推進事例

【公社支援活用事例】2023/12建設業

トップダウンからボトムアップへ
全社員が一丸となって未来の会社をつくり上げる一大プロジェクト

株式会社木村工業(大田区)

株式会社木村工業は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
「SDGs経営の主役は社員であり、一人ひとりがスポットライトを浴びられる舞台を創るのが私の仕事です。
黒子に徹してこそ存在意義を実感します」と話す代表取締役の木村晃一さん。
1964年に先代が興した工業所が前身となる株式会社木村工業。木村晃一さんが2代目として代表取締役に就任したのは2007年のこと。2013年から外国人技能実習生の受け入れを開始し、多くの技術技能を習得させて他国との技能交流を実現している。
工事部 現場監督 宇根底さん
工事部 安藤さん
工事部 多摩川緑地整備担当 川村さん
工事部 須藤さん
工事部 工事事務担当 山口さん
木村さんは、個人を超えた社会貢献活動として、孤食などさびしくない食事や温かい居心地を提供する『こどもの居場所作り』を運営している。
Q 主な事業内容を教えてください。
A 一般土木・舗装工事、水道工事全般を中心とした事業を展開しています。ここ数年は、公園やスポーツ施設の維持管理を行う事業にも積極的に取り組んでいます。
Q SDGs経営に取り組んだきっかけを教えてください。
A 未来を見据えた会社づくりを全社員で参加して行ってもらいたい。全社員が持続的に取り組む『ボトムアップ戦略』がSDGsの考え方と同じだと思い、SDGs経営に興味を持ちました。
Q 公社のアドバイザーにはどのような相談をされましたか。
A まず、「全社員を巻き込んだかたちの会社づくり」は、実際のところ実現が可能なのかを聞きました。アドバイザーの「もちろん可能です。SDGsは無理なくやれることから行うのが基本です。ただし、全社員がSDGsを理解することが重要です」というお話をいただき、取り組みがスタートしました。そして、全社員が集まった会議の場で「SDGsとはどういうものなのか」、ゲームを取り入れながら解説していただきました。その後、7人がプロジェクトチームを立ち上げました。アドバイザーとメンバーとは、月2回ほどのミーティングを行い、目標までのロードマップづくりに着手しました。
Q ボトムアップ戦略とはどのようなプランなのですか。
A トップダウンとは逆の経営手法とお考えください。「この会社は何ができるのか。自分に何ができるのか」を社員が自ら考え、仕事に取り組む視野を広げることによって、会社の未来を切り開く人材に育つことが目的です。当社が積極的に取り組んでいる公園やスポーツ施設の維持管理を行う事業は、新しい領域に挑戦したいという社員の声を形にしてきました。中小企業でも、社員主体の経営に変えていくことができる可能性を実感しました。
Q プランを実現するために取り組んできたことを教えてください。
A 当社が掲げる経営理念の根幹は「共に育ち、共に活き、共に発展」です。これは、より多くの仲間と士気を高めて未来をつくっていくために必要な考え方だと思っています。
当社の経営は、年に2回の全体会議をベースとしています。会議では、社員一人ひとりが、目標や会社の未来の姿、理想の働き方などを自由に発言します。それぞれの意見を受け入れ、発言を大切にすることがルールです。
この会議は、ボトムアップという考えを全社員で共有する非常に有効な手段になっています。回を重ねると、それぞれが抱いている「志」や「思い」までも共有する場になりました。徐々に、「会社をつくるのは自分たち」という考え方が浸透してきたと思います。
Q SDGs経営における目標は、具体的にどのようなことでしょうか。
A 2030年までに「信用、信頼、愛される心の通う会社」にすることが目的です。達成するために、経済・社会・環境の3つの分野における道筋を細かく目標設定しました。

SDGs経営における目標

経 済 個々の能力を正当に評価し、必ず収入に反映

「事業の底上げで安定した収入、技術の継承、売上目標の実現」をありたい姿とし、個々の能力と成果が正当に評価され、収入に反映される体制づくりを行います。そのためにチーム(班、部門)単位での評価を導入し、スキルマップを可視化することで個人のスキルに見合った給与制度を導入する予定です。

社 会 新たな勤務体制で労働環境を改善

「安心して働ける就労環境」を目指し、勤務体制の平等化、労働環境の改善に取り組みます。そのために、新たな勤務体制(手当の増額、在宅勤務の実施、長時間労働の削減、有給取得率の上昇)を構築します。

環 境 電気使用量を10%削減

「無駄を抑え、クリーンな環境」を目指します。電気使用量を削減するべく、社屋にソーラーパネルを設置する予定です。社内はもちろん、社員寮も含めて、過去5年間の電気使用量を徹底検証しながら、2030年までに10%削減することを目指します。

これらのSDGs経営の具体的な目標や取り組み、その指針は、私ではなくプロジェクトメンバーの社員たちが考えたものです。メンバーが具体的に動かしていくのはこれからになりますが、未来のために各部署が一丸となって動いていることを誇りに思います。
当社では、全社員が半年ごとの個人目標に加え、さらに7年後の目標も掲げました。1年以上先の目標を立てるのは、経営者であっても難しいものです。これから入社してくる仲間のことも見据えた目標を考えられる社員たちを宝物だと思っています。

SDGs経営の取り組みに対するプロジェクトメンバーの声

工事部 現場監督
宇根底さん
私たちが達成の目標としているのは2030年です。7年も経てば働いている人が変わっている可能性もあります。このプロジェクトは、未来の社員のために働きやすい環境の基盤をつくっている感覚です。未来を見据えたプロジェクトチームに参加する機会を得て、社員にとってどういう方向が良いことなのかという視点を持つことができるようになりました。実りのあるプロジェクトにしていきたいですね。

工事部
安藤さん
社員全体の意見を聞きながら動かしていくプロジェクトですので、経験豊富な先輩だけでなく若手の思いにも耳を傾ける機会が増えました。そこには自分では気づかなかった指摘も多分に含まれています。キャリアに関係なく、それぞれの意見を交換する場がSDGs経営に活かされてくるのだと思います。

工事部 多摩川緑地整備担当
川村さん
SDGs経営推進は全社的な取り組みですから、部署を超えて意見交換を行う機会が増え、比例して社員の一体感が高まっているように感じています。2030年に向かって、当社がどのように変わっていくのか楽しみです。

工事部
須藤さん
プロジェクトのメンバーが先輩後輩の垣根を越えて、抱いている思いを共有できているのは計画が順調に進んでいる証ではないかと思います。

工事部 事務担当
山口さん
このプロジェクトチームに参加して、通常業務ではなかなか知ることのできない各部署が抱える課題や、どんなことを目標にして仕事と向き合っているのかを共有できたことは、視野が広がり、仕事に取り組む姿勢が前向きになった気がします。まずは部署間の垣根をなくすことがプロジェクトチームの役目だと思います。

株式会社木村工業のホームページはこちら

株式会社木村工業
所在地:東京都大田区中馬込3-8-3
設立:1969年7月
事業内容:工事全般(水道施設、下水道施設、舗装、土木一式、河川、造園)
代表者:木村 晃一
従業員数:58名
WEB:http://kimura-kougyou.com