ひろがる!SDGs経営に取り組む中小企業東京都内中小企業のSDGs推進事例

【公社支援活用事例】2023/12製造業

自社のCSRに根差した目標設定で
ワークエンゲージメントが向上中

村山鋼材株式会社(大田区:薄板営業部)

村山鋼材株式会社は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
代表取締役社長 村山和雄さんと取締役副社長の村山雄星さん。村山鋼材株式会社の受付フロアには経営理念が掲げられている。1.創造(Creation)、2.品質(Quality)、3.成長(Sustainability)「お客様と共に歩む"トップクオリティーを誇るコイルセンターになろう"社員全員の成長と幸福を実現するために」。
「中長期の経営戦略を構築する上でSDGsの考え方は重要なポイントになります」SDGs経営の必要性と取り組みを様々な角度から解説する村山和雄社長。持続可能なビジネスモデルと社会的価値創造を重視し、長期的な持続可能性を追求。さらにステークホルダーの期待に応え、社会的責任を果たすことで、社員が誇れる100年企業を目指す。
1989年に開設した千葉県浦安市の大型工場。
村山鋼材は、コイル鋼板を切り出し、様々な業界の部品製造メーカーに供給する国内 コイルセンター業界のパイオニア。世界最大規模のレベラーラインを所有する。
Q 主な事業内容を教えてください。
A 鋼板の加工と販売が主力事業です。大手鉄鋼メーカー、商社などから支給されるコイル鋼板を剪断加工し、指定の客先に納品しています。
Q SDGs経営に取り組んだきっかけを教えてください。
A 10年ほど前から、CSR経営を念頭に様々な取り組みを進めてきました。環境マネジメントシステムの活動も継続して推進する中、SDGsの考え方に共感し、当社も早期に着手する必要があると判断しました。
他方では、慢性的な人手不足が課題としてあります。特に中長期の事業基盤を支える研究が不足し、次の一手に進めない状況です。昨今、市場を取り巻く環境は非常に流動的です。販売価格の低迷などに左右されない前向きな事業基盤を確立するには、採用戦略を強化する必要があります。就活中の学生に選ばれる企業になるためにもSDGs経営は必須であると考え、本格的に取り組むことにしました。
Q 公社のアドバイザーはどのような助言をしてくれましたか。
A 最初に「経営理念をもとに、10年後の"夢"を見据えて楽しくワクワクするような『村山鋼材』をつくりましょう」というお話をされました。これはとても印象に残っています。当時は、社内環境の改善など喫緊の課題にとらわれてしまい、SDGsの本質である未来へのビジョン、さらに社会的な役割というところまでは、目を向けることができない状況でした。近視眼的になりがちな意識を軌道修正していただいたことで、視野が広がり、充実した目標を設定することができました。
Q 設定した目標を具体的に教えてください。
A 「お客様と共に歩む"トップクオリティーを誇るコイルセンターになろう"社員全員の成長と幸福を実現するために」
このビジョンのもと、永続的なビジネスモデルと社会的価値創造を重視し、短期的な利益だけでなく、長期的な持続可能性も追求します。また、ステークホルダーの期待に応えるのは当然の使命ですが、社会的責任を果たしながら社員が誇れる100年企業を構築するという目標も設定しました。
具体的には、1つ目に、カーボンニュートラル実現への挑戦を掲げています。2030年までに、全従業員が一丸となって活動に取り組み、当社事業におけるカーボンニュートラルを達成します。
2つ目は、村山鋼材のCSR/BCP活動の強化・徹底により、地域社会に貢献することで、絶対的な期待や信頼を獲得し、地域に必要とされる会社に成長することです。
3つ目は、ワークエンゲージメントの向上により、品質・生産性と企業価値(村山ブランド)を高め、社会における業界の生産活動の安定化とバリューチェーン全体の満足度向上への寄与です。これにより、当社の健全な財務基盤を確立し、従業員一人ひとりが豊かに生活できる報酬を実現します。
Q 目標を達成するためどんなことに取り組まれていますか?
A SDGs推進委員会のメンバーを軸に、社内体制を整えて活動を進めています。まずは宣言に先駆け、組織改編を実施しました。経営企画室SDGs・DX推進チームのもとに発足した「健康づくり委員会」は、活動開始から半年が経ち、健康経営の社内浸透に寄与していると感じています。
また、ワークエンゲージメントの向上においては、まずは社員一人ひとりがどんな思いを持って仕事に取り組み、どんな悩みを抱えているのかを把握する必要があります。そこで、副社長が全従業員との個別面談を実施して、現場の声にしっかりと耳を傾けることに取り組んでいます。
温室効果ガス排出量の測定については、自社だけで行うことが難しいので、取引をしている商社の力を借りながら、排出量の可視化を推進していきます。
また、今後は工場見学の受け入れをより積極的に行っていく予定です。小学生を対象としたカーボンニュートラルについて学べるプログラムの導入も検討しています。さらに労働局・就労支援センターと連携しながら、積極的な障がい者雇用も継続していきます。昨年、障害者雇用優良事業所として認定されています。
Q 最後に、SDGs経営計画策定のハンズオン支援を利用した感想をお聞かせください。
A 部門の壁を取り去ったかたちでの協議は初めての試みでしたので、印象に残っています。SDGs計画策定ミーティングは、毎回、本社を中心に計5部門をオンラインでつないで行いました。意見が多岐に渡り、取りまとめるのには苦労しましたが、会社の強みと弱みを共に考え、社会的な価値を高めることに従業員が自発的に取り組むきっかけになったと思います。公社のアドバイザーには、委員会メンバーの多様な意見を尊重し掘り下げ、未来を目指せるよう、伴走していただきました。ボトムアップの仕組みがSDGs経営の重要なポイントと考えていますので、今後の活動から生まれる新しい取り組みに期待しています。

SDGs経営の取り組みに対するプロジェクトメンバーの声

取締役副社長
村山 雄星さん
SDGs経営の軸となるワークエンゲージメントの向上を目的として、社員全員を対象に個別面談を実施しました。面談は1時間を超える場合もありましたが、通常業務では知ることができない新たな気づきの連続でした。

技術サービス部・部長 SDGs推進委員会・リーダー
波村 定利さん
各部署から選出された17名でSDGs推進委員会を構成しています。委員会のメンバーが中心になり目標達成に向けたロードマップを仕上げました。トップダウンではなくボトムアップの考え方を全社員で共有したいと考えています。

執行役員・総務部・経理部 部長
荒巻 英俊さん
積極的に働き方改革を推進し、社員の意欲や能力がフルに発揮できる環境を整えていきます。たとえば、女性社員はもちろんのこと、男性社員の育児休暇の取得などを推進していきます。

専務取締役 営業部・管掌
江口 安雄さん
SDGs経営への取り組みは、会社の存在意義、また各事業の強みと弱みを全社員が考えるきっかけになりました。SDGs経営推進は、企業価値を高め、それは顧客満足度に直結していると思います。

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村山鋼材株式会社
所在地:千葉県浦安市入船1-5-2 プライムタワー新浦安15F
設立:1952年10月
事業内容:各種コイル鋼板の切断加工並びに販売営業倉庫業(横浜税関保税蔵置場)
代表者:村山 和雄
従業員数:103名(2023年現在)
WEB:https://mks-gr.co.jp