ひろがる!SDGs経営に取り組む中小企業東京都内中小企業のSDGs推進事例

【公社支援活用事例】2023/12製造業

自然派コスメのパイオニアが目指すのは
自然との共生、豊かな循環、地域創生

株式会社ローザ特殊化粧料(東村山市)

株式会社ローザ特殊化粧料は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
代表取締役 角屋由華さん。株式会社ローザ特殊化粧料は東京都の大学や高専をはじめ海外留学生のインターンを積極的に受け入れている。
法政大学社会学部・諸上ゼミとの共同プロジェクトで開発した地産品『ランバージャック aileシリーズ』。
原料に東京都檜原村のヒノキを使用したお土産に打ってつけの化粧品。
株式会社ローザ特殊化粧料は主にエシカルでエコな化粧品を製造している。
厳選した素材と最新の皮膚科学によって生まれた化粧品『ドクターフタキ スキンケアシリーズ』。
「昨今はSDGsの考え方に共感する方が増え、オーガニックや自然派コスメ商品の需要が高まっています」と話す代表取締役 角屋由華さん。
Q 主な事業内容を教えてください。
A 洗顔、化粧水、ジェル、パック、香水、入浴剤、歯磨き粉などの化粧品及び医薬部外品の製造を行っています。OEMが中心ですが、自社ブランドでの開発・販売事業では、東京都の多摩地域を中心とした野菜やハーブ、間伐材などの地域資源を活用した東京発のエシカルでエコな化粧品づくりにも取り組んでいます。
Q SDGs経営に取り組んだきっかけを教えてください。
A 当社は先代の頃より、地産地消・都産都消や未来の地球環境を見据えた事業展開で、SDGsに取り組んできました。2018年には、一般社団法人首都圏産業活性化協会が発行する『つなぐWa(2018.9月号)』にSDGs経営企業として掲載されています。これまで積み重ねてきたSDGsの取り組みを経営の軸にしたいと考えて公社に相談をしました。
また、当社が2022年まで本社を置いていた昭島市は、都内で唯一、地下水のみを水源としている自治体です。特に化粧水の製造にはきれいな水が必要です。「水源をきれいに保ちたい」という思いから多摩地域の環境保全活動も行っています。昨今は学校でSDGsを学び、環境に対して意識の高い若い方が社会で活躍する時代ですから、採用面での効果も考えました。
Q 公社のアドバイザーはどのような助言をしてくれましたか。
A 「信念を貫きましょう。自信を持ってください」という助言にとても勇気づけられました。まずは、これまで当社が実施してきた自然環境を守るための取り組みを言語化し、また従業員の協調性を引き出すための仕組みづくりをサポートしていただきました。
目標へのプロセスを策定する過程では、未来年表をもとにバックキャスティングしながら、いま取り組めることを明確化していきます。目標達成に向けた具体的なプランを言語化していく作業は戸惑うことが多く、アドバイザーの指摘と誘導がなければロードマップは完成できなかったと思います。
Q 設定した目標を具体的に教えてください。
A 1:多様な人材が活躍できる社内環境の整備・構築。2:仕事と家庭生活を統合し、公私双方向で高め合う考え方の浸透・定着。3:多様な地域における地産地消モデルによる地域創生事業。この3つを目標に掲げ、SDGs経営を推進しています。
Q 目標を達成するためどんなことに取り組まれていますか?
A SDGs経営の方針や計画を日常的に従業員と分かち合う時間を大切にしています。日々の業務が社会の何につながっているのか、そこを理解することがモチベーションを高めるスタートラインになると考えたからです。
具体的な取り組みのひとつとして、雇用形態に関わらず、従業員には化粧品検定などの資格試験にも挑戦してもらっています。これも仕事への興味を高め、楽しみながら日々の業務に取り組んでほしいという思いから始めました。ワーク・エンゲイジメントの向上につながる取り組みには今後も力を入れていきます。
外国人雇用に関しては、2021年からフィリピンの学生をバーチャルインターン生として受け入れています。お互いの国の文化や環境、化粧品の特徴などを資料や動画にまとめる仕事を担当しました。今後も、海外の学生の雇用には積極的に取り組み、当社で得た知識を自国の問題解決に活かしてもらいたいと思っています。たとえば、石鹸の製造技術を学ぶことで、衛生面の改善、肌トラブルの解決、さらに石鹸の原料となる植物を自国で栽培するための自然環境をつくることにも目を向けられるようになります。
また、当社は、昭島市の水を利用しながら豊かな暮らしと住環境を整える取り組み『あきしまの水プロジェクト』や、多摩川を共有資源として、経済・環境・教育文化の観点から美しい多摩づくりを目指す『美しい多摩川フォーラム』にも参加しています。化粧品の原点は水という理念に基づき、自然環境を保護する活動はこれからも大切にしていきます。
Q ハンズオン支援のSDGs計画策定プロジェクトを通して、会社に変化はありましたか。
A 当社の理念とSDGsの関係性を全従業員が共有したことで、SDGs経営の目標を意識化でき、仕事に取り組むモチベーションも高まっています。従業員との雑談でも、SDGsに関する話題が多くなりました。一人ひとりの思いや悩みを共有することで信頼関係も深まり、会話の中から新たな気づきを得る機会も増えています。
日本の社会にもSDGsの考え方が浸透してきました。まだまだ高価な印象を抱かれることが多いオーガニックや自然派コスメですが、SDGsとともに、徐々に理解を得ている実感があります。自信を持ってSDGs経営に取り組んでいきます。

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株式会社ローザ特殊化粧料
所在地:東京都東村山市恩多町1-15-1
設立:1958年3月(ローザ特殊化粧料株式会社)
事業内容:化粧品及び医薬部外品に係る新製品の製造・販売
代表者:角屋 由華
従業員数:9名
WEB:https://www.eco-cosmejp.com