SDGs経営推進事業ポータル

A 当社の主力事業は二つあります。まずは、国の認定を受けた「経営革新等支援機関」として、大小様々な企業の経営コンサルティングを行っています。そしてもう一つは、育児休暇後の職場復帰をはじめとしたキャリア形成の支援を行う業務です。
私は3代目になりますが、1948年の創業当初は大企業の支援が中心でした。2代目に交代した高度経済成長期以降は、主に中小企業のコンサルタントを行うようになり、現在は小規模事業者やベンチャー企業のサポートが多くなっています。また、昨今は女性の管理職や経営者が増えていますが、子育て世代の場合は、仕事と育児を両立させながらのキャリア形成が決して楽な道ではないことを私自身が自ら体験してきました。そこで、女性従業員のキャリア形成をサポートするためにキャリアコンサルタントの国家資格を取得し、仕事と育児の両立を視野に入れた支援にも力を入れるようになりました。

A かねてから、「強くて善くて働き甲斐のある会社づくり」をモットーに多くの事業者を支援してきましたが、世界経済の変化に伴い、クライアントの多様化も進み、このモットーがわかりにくくなっているのを感じていました。そんな中、2019年に働く女性たちの国際組織が主催する会議に参加した際、「SDGsの理念」を知りました。ぜひ多くの中小企業にも普及させたいと思い、SDGsの理念を取り入れた独自のコンサルタントメニューの作成に取り組み始めました。ところが、コロナ禍によって状況は一変、「今を切り抜けるのに精一杯」という事業者が増加し、その場しのぎの経営方針に傾きやすい状況になりました。当社は、未来戦略を立てることの重要性を感じており、「Beyondコロナ」の視点からSDGs経営への想いはますます強まり、まずは自社で実践すべく、公社のハンズオン支援に申請しました。

A まず、SDGs17の目標とのすり合わせだけでは、「Beyondコロナ」を視野に入れた事業の改革にはつながらないことを学びました。重要なのは、バックキャスティング思考に基づき、今何ができるのか、そして何が求められているのかを考察することなのです。アドバイザーにサポートしていただかなければ、目標達成までのロードマップは策定できなかったと思います。また、社外の新しい視点が加わったことで、社内では気づかなかった新たな可能性にも視野が拡大していきました。
さらに、兼ねてから見直したいと考えていた会社理念と向き合うきっかけにもなり、現在は創業当初からの理念の本質は押さえつつ、SDGsとの関連性を一層強化した「かけがえのない会社づくり」を掲げています。

A 世の中の安心・安全・平和を広げ、それを残していくために、16「平和と公正をすべての人に」に貢献したいです。その実現に必要な「かけがえのない会社」とは、お客様の持続可能な経済成長のためになくてはならないサービスと存在感を提供し、人や国による不平等のない仕事と雇用、処遇を目指す会社であると当社は考えます。SDGs17の項目のうち、5、８、10に取り組むことで「かけがえのない会社づくり」を目指します。それぞれの項目が独立して存在しているのではなく、つながりがあるところもアドバイザーに教えていただき、SDGsの深さではないかと感じています。
大きな目標とはなりますが、日本の中小企業約358万社のうち半分超の51％、つまり182万5800社に「かけがえのない会社づくり」の輪が広がってほしいという想いがあります。そのために当社ができること、それは、2030年までに1万社が「かけがえのない会社」を目指す理念を掲げた事業計画を策定し、実行するお手伝いをすることです。

A 当社が実践するSDGsを取り入れた経営理念に賛同いただいた事業者から、大規模なキャリアコンサルタントの依頼へと話が展開しました。しかしながら、ご依頼をいただいた時点では当社の人的なリソースが不足しており、すぐにお受けできる状況ではありませんでした。そこで、SNSで協力者を募ったところ、SDGsの理念に共感した多くの賛同者に恵まれたのです。公社のハンズオン支援のもと、SDGs経営に取り組んだことで、たくさんの方々とパートナーシップを築くことができ、SDGs経営に対する潜在的なニーズが増加していることを実感しています。今後も、同じ想いを持つ人との輪が広がることを期待しています。