ひろがる!SDGs経営に取り組む中小企業東京都内中小企業のSDGs推進事例

【公社支援活用事例】2025/01その他サービス業

スペシャリストを育てることで、さらなる社会貢献へ
資格取得で社員の成長と企業力を強化

株式会社山貴総合鑑定(文京区)

株式会社山貴総合鑑定は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
資格取得の促進をSDGs経営の中心に据え、会社全体の底上げによって顧客の満足度向上を図る山貴総合鑑定の山口秀起社長。
独立専門性を持つ3社からなるYAMAKI GROUP。右から山口社長、SDGsプロジェクト担当の増田さん、株式会社山貴建設の得丸泰孝社長。
鑑定現場での損害箇所測定作業の様子。鑑定人は的確な判断能力と被害にあわれた方々への細やかな気配りが求められる。
「全スタッフが納得して取り組むことが重要」プロジェクトの活動やアドバイザーの助言を振り返る得丸社長。
SDGs経営の取り組みが分かりやすく記されている3社のチラシ。これをきっかけに取引先との話に花が咲くことも。
Q 主な事業内容を教えてください。
A 私たちは、損害保険事故における損害鑑定を行う「山貴総合鑑定」、損害保険事故の建物構築物などの復旧工事を行う「山貴建設」、損害保険や相続、減損会計上に関わる美術品の評価を行う「美研鑑定」の3社が独立専門性を持って連携する企業グループです。
事故や災害にあってしまい、保険会社が契約内容に応じて保険金の支払いを行う際には、損害の実態を正確に把握する必要があります。私たちの主な業務は、その調査・鑑定を適正に行い、保険金の適切かつスムーズなお支払いに貢献することです。損害鑑定や被害復旧を一括でご依頼いただくことで、グループ力を活かした迅速な対応を可能にしています。
Q なぜSDGs経営に取り組もうと思われたのでしょうか。
A 損害保険事故の鑑定や復旧工事は、非常に高い専門性を求められる仕事です。現場立会を通して事故原因や損害状況を調査し、ご契約者さま・被害者さまと保険会社のあいだに立ち双方をサポートします。また、大規模な自然災害発生時には、全国各地に鑑定人を派遣し、鑑定業務を通じて被災された方々の生活再建や地域復興にも携わります。被害にあわれたお客様の不安を和らげるためには、丁寧なコミュニケーションと細やかな気配りが必要とされる一方、業界が非常にニッチであるため、通常のビジネス感覚が疎かになりがちと感じていました。そこで、SDGsを通じて社員の視野を広げ、社会性やビジネスマインドを養ってもらいたいと考え、取り組むことにしました。
また、世界が持続可能な社会を目指している中、業界内で先駆的にSDGsに取り組むことで、他社との差別化を図りつつ、時代の流れに遅れないようにしたいという思いもきっかけのひとつです。
Q SDGs経営計画策定のプロセスを教えてください。
A SDGs経営に取り組むにあたり、まずは社内でアンケートをとって意見を出し合いましたが、当社としての目標を決められず行き詰ってしまいました。そこで、情報収集する中で公社の「中小企業SDGs経営推進事業」を知り、相談することにしました。
ハンズオン支援では、まずは私たちが日々取り組んでいる業務の棚卸しに時間をかけ、その上でSDGsのゴールと紐づけていきました。公社のアドバイザーには、社内ワークショップなどを開催していただき、私たちが各ステークホルダーにどのように貢献できるかを再確認し、「誰のために」どう価値を与えているかを深く考えるヒントをいただきました。そうした中で、社会貢献の具体的な意義が初めて明確になり、SDGsの目標と日常業務が結びつきました。
Q アドバイザーからは具体的にどのような助言がありましたか。
A アドバイザーが「事故にあわれたお客様の復旧支援や保険金を迅速に支払うための現場調査・報告などの本業そのものこそが、すでに社会に役立つ仕事なのでは」と指摘してくださり、ハッと気づかされました。
持続可能な世界の実現へ向けて新たな取り組みを考えるのではなく、自分たちの会社は何をしている会社なのかをあらためて考えてみることをアドバイスいただき、私たちが行っている事業そのものが社会課題を解決していて、まさにSDGsな行動だということに気付かされました。これがまさに私たちにとってのターニングポイントとなり、ようやく軸を定め、進むべき方向を見いだすことができました。
Q 設定した目標を教えてください。また、なぜそのような目標を設定したのかお聞かせください。
A 当社の主力事業である鑑定業務では、被害にあわれた方の心情に配慮しながら、かつ迅速に情報収集することが求められます。そのため、良識ある優秀な人材の確保と高度な教育が重要と考えました。
そこで当社では、「すべての人に公平と安心を」という重要課題を特定し、公平かつ公正な鑑定・評価ができる体制づくりに取り組むこととしました。社員の専門資格取得を推進し、教材費や受験料の補助、資格取得時の手当支給などを通して社員のスキルアップを支援し、2030年までに資格取得率を343%にするという目標を設定しました。
この数値は、1人あたり平均3つ以上の資格取得を目指したもので、業務の質を高めるために必要な一般常識や専門知識を備え、より高品質なサービス提供を実現するために掲げられたものです。
Q 取り組みにあたって、印象的なエピソードがありましたら教えてください。
A SDGs経営の取り組みについて説明したチラシを新たに作成し、営業ツールとして配布したところ、反応がとても良かったことです。それまでは工事内容や費用の案内に特化したチラシのみでしたが、SDGs経営のチラシを加えたことでお客様との会話が弾み、当社に関心を寄せていただく良いきっかけとなりました。さらに、営業現場からチラシの裏面に社員の顔写真を掲載したらどうかとの提案もあがり、改良版チラシは「顔が見えることで親近感が湧く」とお客様からも好評です。
何より嬉しかったのは、チラシを配布した社員がお客様との会話を生き生きと報告してくれたことです。そのような社員の表情を見て、このプロジェクトを実施して本当に良かったと感じました。今後も、多くの社員にこのような喜びや達成感を感じてもらいながら、成長につなげていきたいと思っています。

株式会社山貴総合鑑定のホームページはこちら

株式会社山貴総合鑑定
所在地:東京都文京区大塚2-9-3 住友不動産音羽ビル 6階
設立:1977年8月
事業内容:損害保険鑑定業・サービス業
代表者:山口秀起
従業員数:31名(山貴グループ43名)
WEB:https://www.yamakikantei.co.jp/index.html