ひろがる!SDGs経営に取り組む中小企業東京都内中小企業のSDGs推進事例
【公社支援活用事例】2025/10サービス業
古民家が持つストーリーをつなぎ
宿泊施設として持続可能に
株式会社ブリッジハイ(目黒区)
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Q
主な事業内容を教えてください。
A
不動産賃貸事業と宿泊事業を展開しています。2023年から古民家を再利用した一棟貸しの宿泊施設「静穏庵」を運営しており、現在は大田区に3棟、今後さらに4棟目・5棟目の整備も進めているところです。静穏庵は、日本に訪れるお客様を気持ちよくお迎えするために、日本の伝統文化を取り入れた和風のお宿です。一棟貸しスタイルですので、ホテルでは予約の取りづらい人数の多い家族旅行やグループ旅行のニーズにも応えることができます。
Q
なぜ、SDGs経営に取り組もうとされたのでしょうか。
A
知り合いから古民家を再利用した宿泊事業の話を聞いて面白そうだと興味を持ち、事業を立ち上げました。それは同時に、日本の空き家問題にも向き合うことでした。日本の建物には法的な耐用年数が定められており、その年数を過ぎると資産価値がほぼゼロになってしまいます。そのため、古い家はリフォームするよりも解体して新築に建て替えたほうが資産的に有利だという考えが主流です。しかし実際には、築50年を超えても十分使える家は多く、それを壊してしまうのは非常にもったいないことです。さらに、建築基準法では、道路に接していない土地では再建築ができないという制約があります。当社の宿泊施設「静穏庵 大森」も、接する道幅がわずか1センチ足りないために法的な道路と認められず、再建築不可の物件でした。この場合、一度取り壊してしまうと更地にするしかなくなるのです。古民家の再利用を模索していく中で、SDGsとの関連性についても深堀してみたいと考え、公社のSDGs経営相談窓口に問い合わせました。
Q
公社のアドバイザーの助言を受けて、何か変化はありましたか。
A
アドバイザーとの面談を受ける前までは、「SDGsね、再生可能エネルギーとかリサイクルのことでしょう?」という感覚でしたが、アドバイザーの伴走支援で対話を重ねることで、SDGsを本質的に理解することの重要さを知りました。単純にリサイクルに取り組むといった行動だけでなく、私たちの事業を通して、SDGsの考え方そのものを伝えていく活動も大事だというアドバイスをいただき、それは大きな気づきになりました。宿泊事業は買い物や外食サービスと比べても滞在時間が長く、お客様と深く関わることができます。だからこそ、宿を「SDGsのショーケース」として機能させられる可能性があると思います。押し付けではなく、旅行を楽しむ過程で自然にSDGsを体感していただき、結果として清々しい気持ちで帰ってもらう、これが理想の形だと考えるようになりました。
Q
設定した目標の取り組みについて、いくつか教えてください。
A
旅行をすると、飛行機での移動などによってどうしても環境に負荷がかかります。せめて宿に滞在している間だけは環境に負荷をかけなくても済むように、使用するエネルギーはカーボンニュートラルを100%達成したものにしています。CO2フリー電力を導入し、ガスについては使用量からCO2排出量を計算して、その分を吸収できる植林活動へ寄付を行っています。アメニティにも配慮し、シャンプー類や洗剤は環境負荷の少ない製品を使用、飲料水は100%サステナブル素材のボトルを採用し、紙製品は再生紙や竹素材のものを選んでいます。
また、地域経済の活性化のために、Web上にレストランガイドを作って、近隣のおいしいお店を紹介しています。知る人ぞ知る評判のラーメン屋さんを、海外からのお客様にご案内したところ、大変喜んでいただけました。さらに、日本の文化を感じてもらうために、部屋には家族で作った折り鶴をお土産として置くなど、小さな工夫も続けています。
また、地域経済の活性化のために、Web上にレストランガイドを作って、近隣のおいしいお店を紹介しています。知る人ぞ知る評判のラーメン屋さんを、海外からのお客様にご案内したところ、大変喜んでいただけました。さらに、日本の文化を感じてもらうために、部屋には家族で作った折り鶴をお土産として置くなど、小さな工夫も続けています。
Q
印象的なエピソードがありましたら教えてください。
A
「静穏庵 大森」の物件を引き継いだ際、建物内には売り主のご家族の想い出が数多く残っていました。そのひとつが現在玄関に飾られている包丁です。亡くなられたお父様が寿司職人だったことを知り、錆びついていた包丁を磨き直して残しました。建物と一緒に、そこにあった物や家族のストーリーを引き継ぐことができれば、宿は単なる滞在施設ではなく、人の想いをつなぐ場所になります。これはSDGsの考え方にも合っているのではないかと思います。
Q
SDGs経営に取り組み始めて感じていることや今後の展開について教えてください。
A
経営にSDGsの視点を取り入れたことで、進むべき道が見えてきました。例えばアメニティのシャンプーひとつ選ぶにしても、環境にやさしい商品という軸があることで選択肢が明確になります。手間やコストはかかりますが、自分たちの想いを発信していくことで、これまでになかった新しいつながりや業界の垣根を超えたビジネスチャンスが生まれるのではないかと感じています。
昨今、オーバーツーリズムや外国人旅行者のマナーが問題に挙げられることも多いですが、批判するだけではなく、こうした施設を作ることで生まれるポジティブな面にも目を向けて欲しいと考えています。空き家を放置しておくより、きれいに整備して再利用すれば以前よりもいい場所になる。そこで質のいいサービスを提供すれば、お客様はまた来てくれる。私たちは、いい体験ができる旅先には、いいお客様が集まると思っています。そこでお客様と地域の方との交流が生まれれば、非常にうれしいことですね。
昨今、オーバーツーリズムや外国人旅行者のマナーが問題に挙げられることも多いですが、批判するだけではなく、こうした施設を作ることで生まれるポジティブな面にも目を向けて欲しいと考えています。空き家を放置しておくより、きれいに整備して再利用すれば以前よりもいい場所になる。そこで質のいいサービスを提供すれば、お客様はまた来てくれる。私たちは、いい体験ができる旅先には、いいお客様が集まると思っています。そこでお客様と地域の方との交流が生まれれば、非常にうれしいことですね。
株式会社ブリッジハイ
所在地:東京都目黒区自由が丘2-18-13
設立:2018年5月
事業内容:不動産賃貸事業、宿泊事業
代表者:高橋 有子
従業員数:6名(業務委託含む)
WEB:https://www.seionan.jp/
所在地:東京都目黒区自由が丘2-18-13
設立:2018年5月
事業内容:不動産賃貸事業、宿泊事業
代表者:高橋 有子
従業員数:6名(業務委託含む)
WEB:https://www.seionan.jp/





