ひろがる!SDGs経営に取り組む中小企業東京都内中小企業のSDGs推進事例
【公社支援活用事例】2025/11製造業
サステナビリティへの意識が
わが社のアイデンティティに
日興リカ株式会社(千代田区)
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Q
主な事業内容を教えてください。
A
当社は、水素化触媒、水素化反応の技術を軸に、化粧品原料、医薬中間体、各種化学品の製造など、幅広い分野の研究・開発を行う化学メーカーです。1950年に油脂・ワックス問屋として創業し、永年、お取引先様と向き合いながら技術を磨いてきました。言葉にすると難しいのですが、身近な例で言えば、お化粧に使う口紅やファンデーション、皮膚科で処方される軟膏剤には当社の製品が欠かせません。また、SDGsの観点からも注目を集めている海洋生分解性樹脂を使ったパウダーの加工や販売なども手掛けています。
Q
SDGs経営に取り組もうとした経緯を教えてください。
A
当社の経営理念の中に「社会への貢献」とあるように、以前から、環境方針や企業倫理に関する方針を定め、事業活動の中にサステナブルな要素を取り入れてきました。今後さらに「新たな価値」を生み出していこうとイメージした時、あらためて、当社がこれまで取り組んできた活動をSDGsと結び付けて整理してみたいと思い、リサーチする中で公社のハンズオン支援を知り申し込みました。SDGsに取り組むことで、取引先の要求に応えるとともに、社会的な責任を果たす企業として、社員のモチベーション、働きがいや満足度の向上に繋げていこうと考えました。
公社のアドバイザーからは、「社会・環境の課題に向き合うことで、社会価値と共に経済価値を生み出す」という「SDGs」と「経営」の本質的な意味について講義を受けました。つまり、単にCO2の削減といった環境に関する取り組みに終始するだけでなく、きちんと利益を出しながら、地球環境を守って社会貢献につなげていく。これは、当社が絶対にやるべき道だとはっきり意識ができました。
公社のアドバイザーからは、「社会・環境の課題に向き合うことで、社会価値と共に経済価値を生み出す」という「SDGs」と「経営」の本質的な意味について講義を受けました。つまり、単にCO2の削減といった環境に関する取り組みに終始するだけでなく、きちんと利益を出しながら、地球環境を守って社会貢献につなげていく。これは、当社が絶対にやるべき道だとはっきり意識ができました。
Q
公社のハンズオン支援では、どのように活動されたのでしょうか。
A
各部署から参加者を集めて立ち上げたサステナビリティ推進委員会を中心に取り組みを進めました。ただ正直な話、社内の反応は初めから良かったわけではありません。営業所や工場など各地のメンバーが一斉にオンラインでアドバイザーから講義を受ける際、どうしても受け身になってしまい、発言しづらい、当事者意識を持ちづらいといった意見も聞かれました。アドバイザーにそのことを率直にお伝えし、要望を拾い上げるためのミーティングを実施してもらうなどにより、徐々にSDGsへの意識が醸成できたと思います。
Q
設定した目標の取り組みについて教えてください。
A
アドバイザーからの助言を受けて年間スケジュールを策定し、全社から吸い上げた課題を、大きく以下の5つのマテリアリティ(重要課題)に集約しました。
「美と健康への貢献」
美と健康を通じ、人々の日々幸福なくらしと自分らしい個性に満ちた人生を実感できる社会に貢献します。
「イノベーションによる環境配慮型製品開発」
化学の力を引き出すイノベーションの創出を通じて、社会に新しい価値を提供し続けます。
「CO2削減と環境保全」
CO2排出量削減や廃棄物削減の取り組みを進め、未来に向けて地球の環境負担軽減に努めます。
「多様な人材の成長と活躍」
一人ひとりの多様性と個性を尊重し、全員が成長と活躍できる職場の実現を推進します。
「社会や地域との共生」
公正で誠実な事業活動により、社会や地域の信頼と期待に応えながら共に成長し、持続していく企業を目指します。
具体的には、石油由来原料を用いる化学メーカーとしての責任を果たしつつ、廃棄物等のリサイクルにも取り組んでいます。トウモロコシなど100%天然由来の原料からなる海洋生分解性樹脂を使った製品の開発も進めています。女性社員比率の向上や男性社員の育休取得推進など、多様性を尊重する人材育成も進めています。人材を“人財”と捉え、次の中期経営計画の重要な柱として、多様な社員が活躍できる環境を整えていきます。また、工場がある群馬県の小中学校へ理科実験器具を寄贈したり、地域のイベントに出展して当社化粧品を配布したりして、地域の皆さんとの交流を深めています。
Q
SDGs経営に取り組みはじめて、どのような変化がありましたか。
A
最初は、新事業や新製品の開発など、当社が本来やらなくてはいけないことと、SDGs経営の取り組みは別のものだと考えていました。しかし、結果的にその2つは同じだったということに気づきました。会社の本来の目的とSDGsが重なれば、自然と全社員が関われるようになります。当初「SDGsなんて…」と思っていた営業マンも、今は自信を持って営業ができるようになったと思います。私には子供がいるのですが、「パパの会社はSDGsやってるの?」と聞かれることがあります。そんなとき、私たち全員が自信を持って「YES」と答えられるようになったことはうれしい変化です。
社会や顧客の要請に対応していくこと、そして自社のイノベーションとしてSDGsを積極的に推進していくこと、この両軸で進めることが、間違いなく会社の成長と利益につながると考えています。
社会や顧客の要請に対応していくこと、そして自社のイノベーションとしてSDGsを積極的に推進していくこと、この両軸で進めることが、間違いなく会社の成長と利益につながると考えています。
Q
今後の展開について目標を教えてください。
A
工場が所在する群馬県においては、SDGsに関連した先進的取り組みを行う事業者を選定する「SDGsぐんまビジネスプラクティス」へのエントリーを目指しています。また、中小企業版SBT※認定取得にも挑戦していきます。(※Science Based Targets:パリ協定が求める水準と整合した、温室効果ガス排出削減目標)
取り組み1年目の昨年は、公社に伴走していただいて何とかやり遂げることができましたが、2年目が大事だと思っています。当社の中期経営計画と長期経営計画にうまく結びつけながら、引き続き社内への浸透を図っていきます。社員一人ひとりにSDGsの考え方が伝わって、当社から生み出されたものが子供たちの未来につながるようにしていきたいと願っています。
取り組み1年目の昨年は、公社に伴走していただいて何とかやり遂げることができましたが、2年目が大事だと思っています。当社の中期経営計画と長期経営計画にうまく結びつけながら、引き続き社内への浸透を図っていきます。社員一人ひとりにSDGsの考え方が伝わって、当社から生み出されたものが子供たちの未来につながるようにしていきたいと願っています。
SDGs経営の取り組みに対するプロジェクトメンバーの声

「会社を成長させていく上で一番大事なのは『人』なんです。」と話す石井社長。企業の社会的責任を守ることはもちろん、「社員の幸せにつながることをもっとしたい」という思いがSDGs経営への取り組みを後押しした。

「SDGsの最終年である2030年には当社は創業80周年を迎えます。そこへ向け、社内報などを通して社員の意識をさらに高め、よりサステナブルな会社に成長してその先の100年を目指していきたいです」と話す経営企画管掌の宮杉取締役。

社内のサステナビリティ推進委員会において、群馬の工場と東京・大阪の営業所とのパイプ役を果たしている経営企画部・淵本部長。

学生時代にSDGsの研究をしていた経験を買われ、サステナビリティ推進委員会でSDGsについて講義をした営業部の磯山さん。「学生時代にやってきたことで会社に貢献することができ光栄でした」と話す。

日興リカ株式会社
所在地:東京都千代田区神田富山町10-2 アセンド神田3階
設立:1950年8月
事業内容:水素化触媒、水素化反応の技術を中心とする設計開発型事業、受託製造、及びトレーディング
代表者:石井 宏幸
従業員数:160名(2025年現在)
WEB:https://nikko-rica.co.jp/
所在地:東京都千代田区神田富山町10-2 アセンド神田3階
設立:1950年8月
事業内容:水素化触媒、水素化反応の技術を中心とする設計開発型事業、受託製造、及びトレーディング
代表者:石井 宏幸
従業員数:160名(2025年現在)
WEB:https://nikko-rica.co.jp/



