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価格交渉アドバイザー 相談事例

相談事例1

相談内容:労務費の価格転嫁を実現したい

 サービス業を営んでいますが、賃金を2年連続で増額いたしました。財務が極端に悪化したわけではありませんが、早めの対応により労務費上昇分の価格転嫁を進めるべく、値上げ依頼文書を作成中です。業種柄、労務費率が高く、価格転嫁が必須と考えております。20年間価格据置きの取引先もありますが、価格交渉のターゲット先を決め、交渉を進めていく予定です。是非とも実践的なアドバイスを頂ければと思います。

価格交渉アドバイザーからの助言

 価格交渉先のターゲット先は既に選定されていますので、次のステップとして、各社の取引状況に応じた交渉戦略策定、並びにその内容に沿った値上げ依頼文書を作成しましょう。
 交渉戦略の策定では、①取引先の売上比率、②関係性、③価格許容度、④将来性等を鑑みた上で、利益を確保できる目標価格を検討すると共に、貴社の貢献度及び必要性を十分に検証及び可視化して、訴求できるように作戦を練ります。
また、依頼文書の作成に関しては以下が重要なポイントになります。

  1. 社長名で依頼する(理由:個人ではなく企業間交渉であることを認識頂く)
  2. 値上げ根拠を明確にし、顧客に受け入れられやすい内容/構成にする
  3. 顧客観点で資料を作成する(理由:価格転嫁は顧客企業にとってメリットとは言い難い為、そのことばかりに終始せず、取引継続のメリット、必要性を訴求する)
  4. 労務費は、貴社の実状と客観的な情報(東京都中小企業賃金推移等)の双方を提示する
    取引先によって交渉方法、内容は一律ではありません。取引先毎に交渉戦略を立て、依頼文書を作成し、粘り強く交渉していきましょう。

利用企業の声

 交渉のステップ、交渉術、個別交渉資料の作成方法並びに作成資料に対する助言等、価格交渉に臨むにあたって実践的なアドバスとご支援を頂きましたことに深く感謝致します。
 また、当社の効率化、工数削減により発生した余剰時間に対し、取引先より追加で仕事を依頼された場合は、当該業務についてきちんと費用を請求するようご教授を頂き有難うございました。
まだ価格交渉は完了しておりませんが、お蔭様で当初の想定よりも多くの取引先に値上げのご協力を頂いております。引き続き、粘り強く交渉をしていく予定です。

相談事例2

相談内容:値上げにより、賃上げを実現したい

 システム運用サポートを事業として、個人事業主を含め数百社の顧客と取引をしておりますが、サービス代金を値上げして、従業員の賃上げの原資にしたいと考えております。しかし、当社の人員体制を考えると対面での値上げ交渉は難しく、依頼文書中心に価格改定を進めていく予定です。限られたリソースの中で、売上が分散している数多くの顧客に対し、どのようにして価格交渉をしていったらよいでしょうか。

価格交渉アドバイザーからの助言

 社員のモチベーションアップ、並びにサービス品質向上を図る為に、値上げによる増額を原資として、賃上げをしていくことはとても重要なアクションです。その際、主に注意すべきポイントは以下の通りです。

  1. 価格改定(値上げ)の理由として人件費アップのみを主張するのではなく、目先を変え、新サービス開始や仕入れコスト上昇等によることも含め、丁寧に説明する
  2. システム更新等の値上げを受け入れてもらいやすいタイミングを見極める
  3. 顧客との取引状況に応じて値上げ率を変える
  4. 謙虚な姿勢を示すとともに、企業努力だけでは対処できない状況であり、政府の政策に基づいた行為(価格転嫁、賃上げ)であることを説明し、取引先からの理解を得る

    また、今回値上げにご納得頂けない顧客に対し、オンライン相談窓口を新設されるのはとてもよい取り組みです。想定質問に対する回答(FAQ)を事前に用意されておくとよいでしょう。

利用企業の声

 今回の価格改定により、想定以上の売上増額及び従業員の賃上げを実現いたしました。また、値上げによる解約も少なく、売上への影響を最小限に抑えられ、安堵しております。
 お客様からの相談窓口を設置してオンライン、または、電話等にてご要望を聴取し、実情に応じた価格調整等を行ったことが効果的だったと感じています。
 自社では分からないことが多かったのですが、価格改定案内及びその添付資料等に対し、弊社の個別課題に沿って的確にアドバイスを頂いたこと、また、勇気を持って粘り強く交渉する大切さを教えて頂いたことにとても感謝しております。

相談事例3

相談内容:エネルギーコスト・労務費の価格転嫁ができていない

 製造業を営み、事業としては、ほとんどが1次下請です。昨今の経営状況については、物価高騰の影響を受け、厳しいものになっています。特にエネルギーコストの上昇と労務費の上昇が経営を圧迫しており、取引先にこの上昇分を認めてもらうように交渉していますが、実質的には価格に転嫁できていません。このような状況の中、どのように交渉したらいいか教えてください。

価格交渉アドバイザーからの助言

 まずは、エネルギーコスト・労務費に関する価格推移の情報を収集します。それから、原価・利益管理を詳細に行い、交渉の目標価格を決定して、どのように交渉を行うか戦略を策定します。交渉の前には、相手との取引関係、競合企業の状況把握、交渉のタイミングを図る等、綿密な準備が必要です。また、実際の交渉においては、口頭で値上げ要請を行うのではなく、価格が上昇していることを示すエビデンスを記した文書を提示します。そして、一方的に値上げを主張する態度で交渉するのではなく、誠実な態度で交渉に臨みます。
 社内においては、価格交渉を担当者任せにすることなく、営業会議等で各担当者の価格交渉の進捗を共有し、今後の方針を皆で検討する等、会社全体で価格転嫁に取り組んでいくことも重要です。

利用企業の声

 これまで、取引先との価格交渉の打診は口頭で行っていましたが、価格高騰のエビデンスを記した文書を作成・提示して交渉を行うようにしました。また、経営会議においても、交渉の実態を報告することにより、今迄よりも「より会社全体」で今後の展開を検討するようになりました。すると、全ての取引先とまでは言えませんが、一部の取引先では、以前よりも交渉が進むようになり、その結果、価格転嫁が実現した事例も出てきました。まだ第一段階かもしれませんが、今後も会社全体で取り組み、粘り強く交渉を進めていきたいと思います。

相談事例4

相談内容:コスト高騰が続き、2年連続で取引先に値上げをお願いしたい

 大手企業の原材料仕入先から一方的な値上げ通告を受けて、これ以上コストを吸収しきれない状況です。また、一方で、事業の性質上、他の製造業よりも経費に占める電気料金の割合が高く、高止まりする電気料金が収益圧迫の要因となっています。そのような状況で、取引先に対しては失注を覚悟で取引価格の値上げ交渉を行い、値上げを受け入れてもらいましたが、引き続きコスト上昇が続いており、来年度も取引価格の値上げを行いたいと思っています。再び受け入れてもらえるかが不安ですが、2年連続で値上げ交渉を行っても良いでしょうか。

価格交渉アドバイザーからの助言

 多くの企業が原材料、労務費、エネルギーコストが上昇していることを認識しているので、たとえ2年連続の値上げ要請であっても、値上げの根拠を取引先に示して再度値上げを要請することに、私は違和感を覚えません。取引先担当者で話が止まってしまわないように、書面で正式に面談を依頼しましょう。合わせて、取引先担当者とは連絡を密にして、値上げを依頼せざるを得ない状況にあることを事前に説明しておくことも重要です。また、値上げのタイミングを失しないよう注意し、競合他社の値上げの動向を掴む等、営業担当者の情報収集活動は欠かせません。

利用企業の声

 2年連続の値上げ要請も無理な要求ではないとの助言を得て、値上げ要請を書面で正式に申し入れるなど、相当の覚悟をもって値上げを行う姿勢を示すことで、取引先の理解を得やすくなるだろうと、考えの整理ができました。また、事前に取引先の担当者に値上げ要請する旨を伝えておくことも重要であることが理解できました。
 製品の値上げにより、コスト上昇分の補填のみならず、賃金の引き上げ等従業員の待遇改善を行うことで、従業員の意欲の向上や円滑な新規採用が期待でき、取引先のためにより良い製品作りに邁進していけると思います。
 この度の支援につきましては大変参考になることが多く勉強になりました。このような貴重な機会を頂きまして改めて感謝御礼申し上げます。

価格交渉アドバイザーから価格交渉のポイント

1.値上げの根拠を取引先に示す

 原材料やエネルギーコストが上昇していることを示すエビデンスを提示することが望まれます。取引先も購入する製品のコストが上昇していることを理解できますし、取引先の担当者が社内での説明を行うために使用されます。また、すべての自社のコスト構造を取引先に晒す必要はありません。必要に応じてコスト上昇分のみならず、一定の粗利率を確保するために、コスト上昇分以上の値上げを行いたいところです。

2.原価・利益管理を行い、交渉の目標価格を設定する

 製品のコストを把握することで、どの製品に、いくらのコスト上昇分を上乗せする必要があるのかが明らかになります。自社の目標価格、最初に提示する価格、妥協できる価格等を用意して、価格交渉に臨みます。必ずしも自社の思い通りにはならないことがあるため、複数の交渉の筋書きを準備しておくことも重要です。

3.取引先の担当者と連絡を密にする

 価格交渉を開始するタイミングはとても重要です。様々なコストが上昇する兆候があれば、常日頃から取引担当者に伝えておくことで、取引先担当者は、社内での情報周知や予算の見直しといった事前準備ができ、値上げを受け入れる土壌を整えやすいです。取引先担当者は、価格のみならず、安定的な調達や品質にも関心が高いため、自社が取引先にとって、どのような立場にあるかについて、取引先担当者から情報収集を行うことも大切です。

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(公財)東京都中小企業振興公社 総合支援部 総合支援課(佐谷・松本)
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