TOKYO逸品:「MS1001ーM」
自然な音に包まれるスピーカー
誰のための商品か、何をもたらす商品か


見てのとおり、円筒型のスピーカーです。2004年に第一号商品が世に出て、いまでは一線級のホテルなどでも採用。でも、より売れているのは、企業ではなく個人だといいます。
税別で12万円台のスピーカーを誰が購入するのでしょうか。「いい音を簡単に聴きたい、と思う消費者層でしょうね」
代表の見立てはこうです。日本に1億2600万人がいて、そのうちの50万人はコアな音響マニアであり、おそらくもっと高価なスピーカーに食指が動く。一方、3000万人はとにかく利便性重視。で、その真ん中にいる1億人弱がまさに「いい音を簡単に…」。
このスピーカー、楽曲を鳴らすとごくごく自然な音がする。「そもそもスピーカーとはどうあるべきか。『音の鳴っていた空間そのものを再現するべきもの』だと考えます」
これは重要な視座と感じました。いまや音楽って、音響機器が定めるリスニングポジションにじっと座って聴くものではない。“ながら聴き”が当たり前の時代。そうなると、指向性のない、空間のどこで聴いても美しく届く音であることが大事になる。だとしたら、このスピーカーは昨今の潮流を先んじてつかんだ商品かも。
でも、念のため重ねて問いたい。これ、富裕層に向けた商品ではないんですよね。代表の答えは…。
「富裕層に限らない。買っているのは“実際に聴いた人”です」

商品情報
商 品 名 | MS1001ーM |
---|---|
企 業 名 | 有限会社エムズシステム(東京都中央区) |
WEBサイト | https://www.mssystem.co.jp/ |
語り手
![]() |
北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
---|