TOKYO逸品：「merippa」 おしゃれなルームシューズ

　もともとは、カットソーをOEM製造するちいさな会社でした。
それが2013年、ルームシューズを一般消費者向けに発売。自社ブランド商品の展開は同社で初めてのことです。
　メリヤス業界は逆風にさらされ続けていました。海外に押され、国内生産比率はわずか0.3％にまで下落したといいます。
　「せっかく、モノをつくれる技術があるのに、これではダメです」。先代を継いだ社長（当時は常務）はそう考えた。でも、服をみずからつくるのは取引先に対しておこがましい。ならば、メリヤスの技術を生かして他の商品を開発するしかない。帽子、カバン……検討の結果、たどり着いたのがルームシューズ。メリヤスならではの優しい肌ざわりの一足ができあがりました。
　ブレイクしたのは発売して2年経ったころでした。取引先からの伝手をきっかけに米国のショップでの取り扱いを果たせたのです。それが見事に功を奏して、この「merippa」の売り上げは現在、発売当初の3倍規模にまで育っています。なかでも米国市場での販売が7割を占めるほどの成果を得られたためです。
　「merippa」のバリエーションは累計で700近くに及ぶそう。すべて社長自身のデザインワークです。事業を継承して10年弱で、同社の売上高は約3億円伸びました。「モノづくりの文化は、決してなくならないんです」。社長はそう締めくくりました。