事例集

●事例07

安心&安全のまったく新しいヘアカラー事業を展開
第1回東京シニアビジネスグランプリ ファイナリスト
 
ヘアカラー&スキャルプケア専門店 染髪美屋(そめかみのうつくしや)
代表 吉川 小百合さん

代表者インタビュー

事業内容と起業に至る経緯などをお話しください。
東西線西葛西駅徒歩1分の場所で、ヘアカラー&スキャルプケア専門店を経営しています。コアターゲットは、白髪に悩む40・50歳代の意識の高い女性で、繰り返す白髪染めで髪の劣化に嘆くのではなく、白髪染めをすればするほどより健やかな頭皮と美しい髪が手に入るという逆転の発想のお店です。つまり、染めた後に頭皮に残留するヘアカラー剤の有害ケミカルを無害化し「安全」で、水道水から不純物を取り除いた贅沢なお水で施術するのでキューティクルに「安心」の、「安全」+「安心」のヘアカラー事業を通して、未来に繋がる染め方を提供しています。
開業のきっかけは、私自身が白髪染めで大変辛い経験をしたことでした。30歳代後半から白髪染めを始め、40歳代では、頭頂部の毛髪がゴワゴワして波打ち、短い浮き毛があらわれ縮毛矯正が必要になるほどでしたが、こうした髪の劣化は「老化?」と思っていました。その後、かなりの頻度で染め続けた右のひと房がごっそり抜け落ち、やっと老化ではなくケミカルが原因だと気づいたのです。しかし、どこを探しても自分が納得する良い染め方が見つからず、「皆も悩んでない?」と思い出し、無いなら私が作ればいいと言う風に気持ちがシフトしていきました。それまでは自分のキャリアのことしか頭に無かったような人間でしたが、これからの人生は「誰かのお役に立つ」ように過ごすべきなのでは?と思い始めたのです。そして、繰り返す白髪染めで髪の劣化に悩む多くの方々に「大丈夫だよ!私たちがいるよ!」という場所を作り、美髪へ導くことが私の使命だと強く思うように至りました。この強い使命感、つまり「パッション(情熱)」に突き動かされてここまで走ってきた感じです。残念ながら、美容業界とは全く無縁だったのでゼロからのスタートでした。頭髪のことも一から勉強をし、毛髪診断士と毛髪認定指導講師の資格を取得しました。
西葛西に出店された決め手などについて教えてください。
美容業界の経験はゼロだったので、「居ぬき物件」を数件見て情報収集というか、勉強をしました。もちろん、冷やかしにならぬ様に良い物件があればと真摯に丁寧に見ていきました。店舗の経営者に、客単価、売上げ、粗利、集客方法、固定客の層、人件費、仕入れ、宣伝活動、なぜ手放すのか?などのヒアリングを行い、自分なりに検証しました。
「なぜ西葛西に決めたのか?」ですが、東京23区の中の40・50歳代の女性人口の統計を調べ候補の駅を5つに絞り、自分の目で見て雰囲気を肌で感じとるためにそれぞれの場所には曜日と時間帯を変えて足を運びました。駅前のカフェの窓際席から、行きかう人を観察し、近隣のスーパーマーケットで食品の価格や客層などを見て、住宅街を歩き回ったりしました。するとそのエリアに暮らす人々の年齢層や生活スタイル、街の雰囲気が見えてくるのです。結果、西葛西に決めたのは、ターゲット人口だけではなく、大手町まで16分で行ける好立地、駅周辺に年収600万以上の方々が多く住んでいることと、候補の中でも西葛西だけ土地勘があったこともあり、「この場所で開業したい」と強く思えたからです。さらに、ウイークデーの昼間でも駅前からその世代の方の姿が消えないことも決め手になりました。また、駅近の路面店ではあるものの、路地を一本入る静かな場所にあることも、ミドル世代の落ち着いた女性を顧客とするヘアカラー専門店に最適だと考えました。
繁盛店にするための工夫などを教えてください。
白髪染めはリピートビジネスなので、新規顧客獲得も大事ですが、既存顧客をいかに大切にできるかが重要課題だと捉え対策をしています。 また、「安全」+「安心」のヘアカラーという今までに無い高品質なサービスは、通常、高額になりますが、徹底的にコスト削減を考え、お客様を巻き込み「通える価格」で提供できるような仕組みを考えました。現金の先払い、当日のドタキャンや遅刻はご遠慮頂いたり、飲み物や雑誌のサービスもなくし、お客様によるセルフドライ、これらはお客様にとっては、一見高く見える要求の壁ですが、皆さん難なく飛び越えて積極的に協力して下さり、今では当店とお客様が一緒になって「通える価格」をキープしていっているというちょっと変わったビジネスモデルです。また、当店が使用している高品質のオーガニックカラー薬剤は通常の半分の時間で染まるものですし、少人数運営で回転率を上げるために効率的なオペレーションを組み、美容師にはその時間感覚を身につけるよう促し、丁寧な接客をしながらも一人のお客様にかける施術は約45分、セルフドライを入れると約60分で全ての工程が終わります。これが可能なのも、お客様ひとり一人がご予約の5分前到着に努めて下さるからで、つまり最後のピースはお客様が埋めて下さり成り立つビジネスといっても過言ではありません。
事業の手応えはいかがですか。
前職では、エンドユーザーと直接会うことが少なかったので、お客様から「ありがとう」と笑顔で感謝されるのはとても新鮮です。「ケミカルを無害化して体内に入れず、良質な水と組み合わせる。頭皮に蓄積された過去のケミカルが新陳代謝で流れていけば、いずれ自然治癒力が生まれ頭髪は回復する」という強い信念で店を立ち上げ、その理念を貫いていくことでコロナ禍も乗り切っています。「染めた髪でも美しい」から「染めた髪はもっと美しい」になるといいなと言う願いを込めてつけた屋号「染髪美屋(そめかみのうつくしや)」。その願いは、お客様の「改善されていく」頭髪を通して現実のものになってきています。多くの美容院の中から当店を選んで、信じて、通って下さることに感謝です。ただ白髪を染めるだけでなく、その先の付加価値サービス、「美髪まで導く」ことこそが当店の最終目標ですから。
公社を利用されたきっかけや感想などをお聞かせください。
創業助成金の申請をしたくネット検索をし、TOKYO創業ステーションを知りました。プランコンサルティングでは、それぞれ得意分野を持つ相談員がいらっしゃって、ノウハウや注意点なども教えて頂き、秋葉原のワンストップ総合相談窓口では、帳簿のことからキャッチコピーまで実に幅広く有意義な相談をさせて頂きました。また、弁護士には免責事項についての法律相談もできました。さらに、丸の内にあるStart Up Hub Tokyoは自分のセカンドオフィスのように利用させてもらっています。そしてこれらが原則無料で利用できます。起業を検討されている方は、使わないなんて勿体ないですよ!
そして、TOKYO創業ステーションからのメールマガジンで第1回東京シニアビジネスグランプリの事を知りました。自分の口で自分のビジネスを公の場でPRできるチャンスはそうそうないですよね?ならチャレンジしよう!と思ったのです。ファイナルに残るとプレゼンのブラッシュアップセミナーを受けることができるなど、大変有意義でとても貴重な経験をさせて頂きました。
★シニア世代で創業を考えている方に伝えたいこと、創業にあたってのポイントなどを教えてください。
起業に向けてのスタートアップでは、たくさんの方々と話すことで、良いアドバイスや気づきの言葉などを与えてもらえます。また、信頼できるメンターがいると、ビジネスの指針やアドバイスが貰えるかどうかでも心の持ちようが大変違うと思います。しかし、どんなに素晴らしいメンターからの適格なアドバイスでも、それはメンターの経験に基づくものであり、最終的に「ジャッジするのは自分」であるべきだと私は心に決めています。結局は冷静になって将来を見通し、自分の力で新しいアイデアや価値観を見出すことが大切なのです。また、心が折れそうな時は、図書館に行って著名な起業家の方々の創業の本を読むことにしています。皆さん、必ずと言っていいほど、困難に直面しますが、それを乗り越えて、有名企業に育て上げています。「このビジネスは自分がやる!やってのける!」というパッション(情熱)を本から感じ勇気を頂いています。不安を凌駕するパッションが胸に沸いてきたら、あとは行動に起こせるかどうかだと思います。どんなに素晴らしいビジネスプランでも行動しないと何も始まりませんから。

© Copyrights 東京シニアビジネスグランプリ All Rights Reserved.