サスティナブルな型枠でCO2排出量削減
建築業界の課題解決に貢献する『大匠パネル』の普及拡大を図る!

株式会社KAWASAKI

2024年2月

  • 省エネ
  • 太陽光発電
  • 助成金活用
  • 製品の開発・販売
  • CO2排出量算出
  • 産業廃棄物削減
代表取締役 川崎 先和さん。「『大匠パネル』は、私の2つの想いが融合して形になりました。まずは型枠職人不足の問題を解決すること、二つ目が環境問題対策に貢献することです。この二つは現在進行形の社会問題で、知れば知るほど危機感が強くなります」。

ロードマップ作成
6か月

実行段階
12か月

定着段階
12か月

テーマ➊ 「ゼロエミッション性の訴求による販路開拓活動」

Webサイトを改修してゼロエミッション性を訴求し、共感を得た企業からの受注獲得を目指します。

テーマ➋ 「ゼロエミッション効果の明確化」

ベニヤ型枠と『大匠パネル』を使用・リサイクルした場合のCO2排出量の数値を比較して見込み客に提示します。

テーマ➌ 「『大匠パネル』の技術啓蒙」

施工現場で作業を撮影、動画を交えたマニュアルを作成し、使い方を周知していきます。

テーマ❹ 「ビジネスモデルの基礎固めと強化」

型枠会社とゼネコン、そしてゼネコンが提携している施工会社を主なターゲットに設定し、それぞれに合った内容で営業活動やPRを進めていきます。

ゼロエミッション経営 ロードマップイメージ

ゼロエミッション経営 ロードマップイメージ(2024年1月現在)

Q 主な事業内容を教えてください

当社は、RC(鉄筋コンクリート)建設のための新型枠システムパネル『大匠パネル』を自社開発し、製造・販売しています。型枠とは生コンクリートを流し込むユニットの総称です。通常、RC建築ではベニヤ板の型枠を使用しますが、一般的には5~10回程度の使用で産業廃棄物になります。当社の再生プラスチック製『大匠パネル』なら、50回(弊社実績値)ほど繰り返し使用可能です。環境負荷だけでなく、軽量なので建築現場までの運搬費や上階に運ぶ工数も抑えられます。使い方も簡単で、業界全体の課題となっている熟練工の高齢化や人手不足の解決にもつながる製品です。2021年にはエコマークアワード最優秀賞を、2022年にはグリーン購入大賞優秀賞を受賞しました。

『大匠パネル』を使用する主なメリットは、①CO2排出量の削減 ②無駄を少なくしコストを抑制 ③技術革新による職人不足の解消。
パネルの連結はオリジナルクリップだけで簡単に行うことができる。

Q ゼロエミッションに取り組むきっかけを教えてください

繰り返し使うことでコストが低減できる『大匠パネル』ですが、ベニヤ型枠の約7倍という販売価格が障害となり、販路開拓には苦戦していました。新規顧客を獲得するためには、客観的な指標が必要だと考え、公社の「事業可能性評価」を受け、さらに「ゼロエミッション実現に向けた経営推進支援事業」の利用を申請しました。自社で算出したGHG(温室効果ガス)のサプライチェーン排出量が正しいことを公的なサポートを受けて検証しながら、製品のPR活動に役立てたいと考えました。

Q 支援では、公社マネージャーとどのようなやりとりをしていますか

2022年の秋からハンズオン支援が始まり、現状のヒアリングを受けた後にアドバイスをいただきました。『大匠パネル』の強みと弱みを分析し、目標を実現するための施策の優先順番を決め、マネージャーの支援を受けながらロードマップの作成に取りかかりました。半年間で完成させる予定でしたが、課題の洗い出しや解決するための施策づくりに時間がかかり、完成したのは約8か月後でした。

川崎社長が立ち上げた一般社団法人 大匠の会 事務局に在籍する上原 延彦さん。「ハンズオン支援で公社マネージャーとミーティングを重ね、ゼロエミッションに取り組む効果を定量的に明確化していきました」。

Q 取り組みの中でご苦労されている点を教えてください

当初は、大規模工事が多く、導入メリットの大きいゼネコンからの反響を予測していたのですが、思いのほか難航しました。CSR(企業の社会的責任)の観点から環境面では評価していただけるものの、ゼネコンは自社で資材を持たないので、提携する施工会社が導入することになります。その場合、初期投資がネックになるのです。八方ふさがりの中、マネージャーに相談したところ、「リース・レンタルでの導入促進を図ってみてはどうでしょう」という当社の優先順位では次年度以降と考えていたプランを提案していただきました。施工会社にお試しでリース・レンタルし、メリットを認めていただいたら購入という流れです。リース・レンタル事業は協業を考えており、2024年4月のスタートを目指しています。

Q 公社マネージャーからのアドバイスで印象に残っていることを教えてください

一般社団法人 大匠の会 事務局に在籍する吉岡 亨さん。「型枠職人の高齢化は深刻な問題になっています。『大匠パネル』を活用した多能工化により、職人の待遇と働き方を改善し、若手の育成に貢献します」。

マネージャーには、自分たちでは気づかなかった客観的な視点からのアドバイスを多数いただきました。たとえば、『大匠パネル』は高度な技術を要する釘打の必要がなく簡単に扱えますが、熟練工ほど簡単な施工に馴染めず、職人としてのプライドが傷つくという側面もありました。マネージャーからのアドバイスを受け、「誰にでもできる」というキャッチフレーズを改め「『大匠パネル』を導入することで、技術が必要なところに熟練工が集中できる」と変更しました。

Q 今後の抱負について教えてください

支援が終了する2025年までの短期目標は達成できる見込みです。また、2030年までの長期目標の削減数値も設定しています。役目を終えた『大匠パネル』の回収とリサイクルが課題となりますが、これは廃棄ゼロ達成の道筋ができていますので、今後は回収体制をより強化していく予定です。

RC設計施工を手がける企業と提携し、多能工施工によるRC戸建住宅「VOID’S CORE」を企画。

Q ゼロエミッション経営を検討している企業へメッセージをお願いします

ゼロエミッションと聞くと中小の製造業にとっては「難しい取り組み」と思われるかもしれませんが、CO2排出量の削減は社会問題解決につながり、経営的なメリットも生み出してくれると思います。当社は建築業界で型枠を扱っていますが、ゼロエミッションは様々な業界で取り組めるはずです。

企業情報

企業名 株式会社KAWASAKI
所在地 東京都千代田区平河町1-7-5-609
設立 2011年7月
事業内容 新しい技術の建築資材・製品の開発事業、住宅資材・その他建築資材の開発・製造・販売、コンサルティング業務、レンタル事業
資本金 500万円
代表者 川崎 先和
従業員数 1名
WEB https://kawasaki-co.jp/