金属加工企業が取り組むゼロエミッション!
一貫生産体制の整備とDX推進で、炭素生産性の高い事業体制を築く
株式会社北嶋絞製作所
2024年2月
- 省エネ
- 助成金活用
- 生産性向上
- CO2排出量算出
- 生産ライン見直し
ロードマップ作成
6か月
実行段階
12か月
定着段階
12か月
テーマ➊「生産性を改善する設備の導入」
投資効果の高いCNC旋盤と5軸加工機を導入し、同時に生産管理システムを構築して、機械設備のネットワーク化によるDXも進めます。さらに三次元測定機により検査体制も整え、生産性の向上と一貫生産体制の確立を目指します。
テーマ➋「工場設備改善による省エネの推進」
消費電力量を可視化するとともに、太陽光パネルの設置や最新の配電設備導入を検討しています。新しい設備に合わせたゾーニングによって空調効率を上げる工場内レイアウトの設計も進めています。
テーマ➌「ゼロエミッション性をテーマにした絞加工品のPR」
絞り加工は切削や鋳造などの金属加工に比べ、金属材料のロスと消費電力が少ないゼロエミッション性の高い加工法です。展示会等でも積極的に絞加工品のゼロエミッション性の高さをPRしていきます。
テーマ❹「ゼロエミッションの社内周知活動」
社内周知により従業員の環境への意識を高め、より高い企業価値を創造していきます。
ゼロエミッション経営 ロードマップイメージ
Q 主な事業内容を教えてください
当社は、金属板塑性加工を事業の柱とする企業です。特に、板状または管状の金属を回転させながら専用のへらを金型に押し付け成形するへら絞り加工の高い技術が最大の強みです。精度が求められる産業機械やプラント部品、航空宇宙関連部品なども受託加工しています。
Q ゼロエミッションに取り組むきっかけを教えてください
新しい設備の導入を検討していた時、東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を知り、中でも「競争力・ゼロエミッション強化枠」に興味を持ちました。ゼロエミッションは気になっていましたし、助成率が高いことにも着目し、「ゼロエミッション実現に向けた経営推進支援事業」を利用することにしました。
Q 支援では、公社マネージャーとどのようなやりとりをしていますか
2022年11月からハンズオン支援が始まり、月に一度のペースでミーティングを重ねています。ゼロエミッションの基礎知識を学ぶことからスタートし、電力の可視化やピークカット(ピーク時の電気使用量を抑え基本料金を下げる)など、具体的な施策についても分かりやすく説明していただきました。マネージャーの「まずはゼロエミッションをコストカットの手段として捉えましょう」という助言は、今でも取り組みの指針になっています。その後、専門家派遣を利用して経営分析を行い、6カ月ほどかけてゼロエミッション施策のロードマップづくりに取り組みました。
Q 公社の支援事業を利用して良かった点を教えてください
支援を受ける前は「製造業におけるゼロエミッション=製品での実現」というイメージがあり、当社のようなBtoBの金属加工業が取り組むのは不可能だと思っていました。しかし、コスト削減のための省エネ施策を積み重ねていくことが脱炭素につながることを学び、積極的に取り組めるようになりました。
Q 公社マネージャーからのアドバイスで印象に残っていることを教えてください
新型のCNC旋盤を導入した場合、従来型より消費電力が上がってしまいます。工場の消費電力で悩んでいたところ、マネージャーから「新しい設備で作業時間を短縮できれば、工程全体の消費電力は下がります」との助言をいただきました。確認すると一つの工程だけで1日以上も作業時間を短縮でき、工程全体の消費電力量を削減できることが分かりました。機械だけの消費電力ではなく、工程全体の消費電力を考えるという発想は、今後もあらゆる場面で必要になると思います。
Q 取り組みの中でご苦労されている点を教えてください
苦労というより、心配したのは資金面です。東京都の設備投資支援事業の助成率は申請内容と面接審査の結果によって大きく変わります。助成額の変動は数千万円にもなりますから、低い助成率を想定した資金繰りを考えるとともに、支給までのつなぎ資金の融資についても金融機関に確認をしておく必要がありました。結果的に高い助成率で採択され、目標達成に向けた道筋がはっきり見えてきました。
Q 本事業の他に利用している公社事業はありますか
「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」の支援を受けています。「ゼロエミッション実現に向けた経営推進支援事業」を通じ、機械設備への投資だけではなく、DX化推進施策の重要性に気づき申請しました。
Q 今後の抱負を教えてください
支援が終了する2025年度までの目標は「新設備による生産性11%向上」「炭素生産性5%向上」「へら絞り事業の売上8%増」の達成です。その後、「2030年までに炭素生産性20%向上」という長期目標に向け、省エネ設備による効率的な生産でCO2排出量を削減していきます。また、これまでは一点ものが事業の中心でしたが、量産品の受注に対応できる体制を整え、売上と利益率を向上させていきたいと考えています。
Q ゼロエミッション経営を検討している企業へメッセージをお願いします
製造業において省エネ設備への投資は事業の成長に必要不可欠だと思います。コスト削減は利益に直結しますし、省エネ設備を取り入れることで公的機関の支援が受けられる可能性が高まります。そして、この取り組みが地球環境に貢献していることを考えれば、社内のモチベーションも高まります。支援メニューも色々あるので、まずは公社に相談してみてはいかがでしょうか。
企業情報
企業名 | 株式会社北嶋絞製作所 |
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所在地 | 東京都大田区京浜島2-3-10 |
設立 | 1947年11月 |
事業内容 | 各種金属板塑性加工全般(へら絞り・プレス絞り・特殊形状絞り)、付属する加工・板金加工一式 |
資本金 | 1,600万円 |
代表者 | 富永 聡 |
従業員数 | 19名(2023年現在) |
WEB | https://www.kitajimashibori.co.jp/ |