来たる脱炭素社会
~相談窓口を利用してゼロエミッション経営の取り組みの不安を解消しましょう!~
2024/08/01
ゼロエミッションの取り組みは、中小企業者といえども避けては通れないテーマとなっています。官公庁や大企業だけが積極的に取り組んでも、日本の大多数を占める中小企業者が取り組まなければ、地球環境は悪化するばかりで、企業の存続すら危うくなります。ゼロエミッションへの取り組みは、中小企業の皆様にとってもメリットがあります。ゼロエミ相談窓口を利用して不安を解消し、ぜひ積極的に行動してみてください。
Ⅰ.企業を取り巻く環境
2050年CO₂排出実質ゼロという共通目標に向けて、会社、官公庁、各種組織がゼロエミッションに取り組んでいます。東京都は、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)するという「カーボンハーフ」を表明し、これを実現するため、「ゼロエミッション東京戦略」を策定し、この取り組みを加速させています。
また、企業活動のほか、環境に配慮した商品の購買行動も変化しています。環境に配慮した消費行動について聞いたところ、「価格が同じであれば、環境に配慮した商品を買う」(67.4%)が7割近くで最も高く、以下、「価格が多少高くても、なるべく環境に配慮した商品を買う」(17.8%)、「特に意識しない」(7.9%)、「価格が高ければ、環境に配慮した商品であっても買わない」(7.0%)の順となっています。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/11/19/documents/19.pdf
企業が永続的に存続しつづけるためには、このような消費者の購買行動やニーズに対応する等、経営環境の変化に対応することが不可欠です。「企業=環境変化適応業」であること、「経営=工夫を凝らして物事を営むこと」(出典:広辞苑)を再度、確認しましょう。
Ⅱ.取り組むメリット
中小企業の皆様が、ゼロエミッション経営に取り組むメリットとして、以下のものがあります。
- 企業イメージがアップし、企業価値が向上する
- 技術開発が促進され、技術力が強化される
- ビジネスチャンスが生まれ、新規事業を展開することができる
- ゼロエミッション関連商品の取り扱いにより売上が増加する
- 社会貢献に寄与することができる
- ロス削減等によりコスト削減が実現できる
ゼロエミッション経営に取り組むメリットを理解するとともに、取組意義、目的、目標を明確にすることが重要です。
Ⅲ.取り組み例
具体的な取り組みとして、以下のものがあります。
- 「クールビズの導入」、「節電」、「3R」等、日常的取り組み
- 「製造過程でのCO2排出削減」、「工程の見直し」等、プロセスの改善
- 「不要設備の見直し」、「既存設備の更新」等、設備(ハード)の改善
- 「再生エネルギーの活用」等、創エネへの取り組み
- 「バイオディーゼル燃料への代替」等、化石資源依存からの脱却
- 「環境配慮型設備への投資」、「電気自動車の導入」等、新規投資
以上のほか、皆様の企業実態に合った取り組みに着手することが必要です。また、短期的視点、長期的視点で活動を計画すること、戦略を立案することがポイントです。
Ⅳ.自社の取り組み
では、自社のゼロエミッション経営に取り組む際に、どのように進めるとよいのでしょうか?
まず、ミッション(企業の存続意義)の確認、ビジョン(いつまでにどのような状態になりたいのか)の明確化、バリュー(ミッション、ビジョンを支えている価値観)の明確化を行います。次に、ゼロエミッションをテーマに、環境分析を行います。外部環境分析では、PEST、つまり、「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4つの要因を分析します。自社のミッションを念頭に、範囲を拡充しないことがポイントです。また、内部環境分析(自社の経営資源分析)では、自社の「ヒト的資源」、「モノ的資源」、「カネ的資源」を分析します。その上で、ゼロエミッション経営戦略を立案します。製品・サービス戦略(新製品・役務、改良製品・役務等)、コスト削減戦略(電気料金削減、ロス削減等)、チャネル戦略(販売チャネルの変更・再構築、アウトソーシング、立地変更、工程変更等)、プロモーション戦略(購買訴求点の明確化、あらたな購買者ベネフィットの供与等)など、個別具体の戦略を立案し、これをスケジューリング化(いつ、だれが、どのようにして・・・5W2Hの具体化)します。
Ⅴ.相談
ゼロエミ相談窓口では、アイデア段階の相談から対応しています。計画のように具体的なことが決まっていない段階で来所される方もおられます。熱烈大歓迎です。このアイデア段階の相談によって、新たな気づきが促進され、ヒントが得られることがあります。また、その一方で、先行技術の調査等による助言によって、他社が既に着手していたということが判明することもあります。
計画が既に具体化している場合でも、第三者の視点の活用により、見落としていた問題点が明確となることもあります。
不安は1人で抱えると負担になります。相談員とシェアすると、1/2の負担になります。不安の根源を取り除く課題の解決策が見つかれば不安は解消されます。
ぜひ、ゼロエミ相談窓口をご利用いただければ幸いです。
【ゼロエミッション経営推進支援事務局より】
ゼロエミ相談窓口は、下記リンクから簡単にご予約ができます。
来社・オンライン・電話等からお選びいただけます。
なお、本コラムを執筆の山北先生は、毎週木曜日に「製品開発・販路開拓・産業廃棄物削減」等の相談業務をご担当いただいております。
皆様のご利用お待ちしております。
執筆者
山北浩史(やまきたひろし)
ゼロエミッション経営推進支援事業 相談窓口木曜日担当
中小企業診断士・知的財産管理技能士