事例集

●事例03

金融商品を販売しないライフプランコンサルティング
第2回東京シニアビジネスグランプリ オーディエンス賞
 
株式会社イデココンサルティング
代表取締役 竹下佳孝さん

代表者インタビュー

事業内容と特徴を教えてください。
「人生100年時代のパートナー」として、ライフプランをコンサルティングしています。具体的には、まず現状と将来のご希望をヒアリングし、ライフイベント表と最低20年分のキャッシュフロー表を作成。これらを基に、ご希望を実現するための課題と解決策をアドバイスさせていただいております。弊社の大きな特徴は、金融商品を一切販売していないことです。老後資金に不安を抱える高齢者をターゲットに、高額手数料の金融商品を販売したり、過剰な補償の保険を販売したりする企業が後を絶ちません。大手金融機関に所属するファイナンシャルプランナーも例外ではありません。彼らは自社の金融商品に対して厳しい販売ノルマを課されているからです。当社は金融商品を販売しないので、公正・中立な立場から、お客様視点のご提案が可能です。
一般的にファイナンシャルプランナーは1時間あたりの相談料を設定していますが、弊社では1年を通じてサポートをする年会費制が基本です。金融知識のあまりない方が短時間で課題を解決することは困難です。当社は短時間の相談ではなく、初回の無料カウンセリングからライフプランのご提案、実行支援、改善提案まで、通年でサポートします。最低年2回の個別面談を行い、約定期間中はメールや電話によるご相談を随時お受けして、お客様のプラン実行支援をしています。
起業に至る経緯をお聞かせいただけますか。
50歳を過ぎても自分の老後の事を全く考えていませんでした。私は大手食品メーカーに勤めていましたが、定年後は企業年金で悠々自適に過ごしている先輩社員を見ていたからです。ところが、いつの間にか企業年金の仕組みが変わり、かなり改悪されていることがわかりました。私の父は東京の下町で町工場を経営していましたが、長男の私が跡を継がなかったので廃業し、工場の跡地にマンションを建てて賃貸経営をしていますした。そこで私も不動産投資で老後に備えようと考え、セミナーなどに通って勉強を始めました。58歳で宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格を取得。さらに不動産の知識だけでは偏りがあると思い、ファイナンシャルプランナーの勉強も始めました。そして1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得し、60歳でFPの国際ライセンスCFP®に認定されました。
これらの勉強をしてわかったことは、「お金の知識(ファイナンシャル・リテラシー)」の重要性です。私はそれまでお金の勉強をしてきたことがありませんでした。ですから自分の老後資金の設計をするために勉強して資格を取得しましたが、その過程で知ったのは、「お金の知識がない人は損をする世の中である」ということです。老後の生活設計は多くの人にとって不安材料となっています。自分が学んだことをシェアすることで、社会貢献ができるのではないかと考えて起業を決断しました。
起業の際に役に立ったと感じた、公社の施設やサービスを教えてください。
起業するにあたって、TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングを利用しました。相談員からは、基本的な事業計画書のフォーマットやカバーすべき情報を教えてもらい、非常に役に立ちました。
起業したのは2020年の12月だったので、コロナ禍でなかなか外出ができなかったのですが、TOKYO創業ステーションでは多様なテーマのWEBセミナーが数多く開催されていたので非常に助かりました。デジタルメディアの使い方や名刺の作り方も学びました。最も記憶に残っているのは写真の撮り方です。WEBに掲載する自分の写真をどのように撮るのか、また動画の撮り方や、オンラインでお客様と話をするときのカメラ位置など、とても参考になりました。
集客はどのようにしていますか。
昨年の春から、前職を通じて知り合った方に、週に1回のペースで資産運用や金融商品などのお金に関する情報をメールマガジンで配信しています。今のところこの読者を有料会員へ誘導する仕組みです。お申し込みいただいた方は、1年契約で基本的には自動更新となっています。もちろん解約も可能ですが、今のところ全員の方に継続していただいています。また、有料会員から多くのご紹介を頂戴しています。
ホームページからも初回の無料カウンセリングにお申し込みいただけるようになっていますので、こちらからの集客も可能です。今後は近隣のチラシ広告やWEBセミナーを実施して新規顧客を開拓していきたいと考えています。
★シニア世代の方に創業のポイントなどを教えてください。
TOKYO創業ステーションのコンシェルジュに「事業のアイデアがありませんが、どうすればいいですか」と相談される方も少なくないと思います。私は、困っている人の問題を解決するのがすべての事業の基本だと考えています。ですから、「困っていることが何なのか?」という視点を持つと良いのではないでしょうか。そのような視点で考えると、最も情報を得やすいのは自分です。私もお金のことを何も知らなかったので、老後のために投資しようとしても何をすればいいのかまったくわからない状態でした。その課題を解決するためにお金のことを勉強して自分が困っていることを解決したわけです。「同じような課題を持っている人に情報を提供して問題解決の手助けをしたい」。それが起業のスタートでした。
自分が困っていることを解決してくれる人は誰なのか。解決してくれるものは何なのか。シニア世代に限ったことではありませんが、そのような視点を持てば事業のアイデアやヒントが生まれると思います。

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