事例集

●事例06

もっと身近に楽しく統計リテラシー拡大事業
第2回東京シニアビジネスグランプリ ファイナリスト
 
SAKURA数学教育企画
代表 鈴木桜子さん

代表者インタビュー

事業内容を教えてください。
弊社は、社名からもお分かりいただけるように数学教育を事業化しています。事業の内容には軸が2つあります。1つ目が数学専門の編集プロダクション。2つ目が数学の講座です。
編集プロダクションでは、数学関連書籍の執筆と編集が中心です。数学専門の編集者が少ないこともあって、思いの外仕事が入っており忙しい状況が続いています。いずれはオリジナル教材の企画・制作を行い、独学ではハードルが高い数学・統計リテラシーを身近に楽しく身に付ける機会を提供していく予定です。
そして数学の講座については、ビジネスパーソン対象の数学講座を始めました。マーケティングにおいてユーザーの分析をする場合には数学や統計の知識が必要ですが、理解しているビジネスパーソンが少ないです。そこで、ビジネスに生かせる数学や統計学の基礎を分かりやすく教える個人授業や出張講座のラインナップを広げたいと考えています。
起業を考えたきっかけや、エピソードをお話しいただけますか。
私は大手予備校で約15年間、さらに複数の大学で約10年にわたり数学を教えてきました。数学の勉強は数学書を読むことが基本で、レベルの高い教育にはきちんとした教材が必要不可欠です。私の場合、予備校では自分で教材を作っていましたし、大学教員のときには4冊の教科書を執筆しました。
そのような経験から、出版業界には以前から興味がありました。そこで50歳を過ぎて出版社に転職しました。当初は定年後に独立するつもりでしたが、体力も十分あり健康なうちに自分のペースを見極めながら仕事をしたほうが良いと考えて独立しました。
独立して間もなくのこと、10年前に教科書を執筆した出版社の編集長から突然連絡がありました。校閲の依頼です。数学の専門書を発行している出版社でも、数学に詳しいスタッフが不足していたわけです。さらに生原稿のリライトや編集の仕事もいただくようになり、起業につながりました。これらの仕事は現在も継続して受注しています。
起業までの準備期間は、どのようなことをされていましたか。
2021年の年始めに独立したのですが、その直後から講師や編集の依頼があったので、仕事をしながらの準備でした。ビジネスに関して何も知らない素人の私にとってTOKYO創業ステーションはとてもありがたい存在で、大変お世話になりました。
まずは、丸の内の1階にあるStartup Hub Tokyoのコンシェルジュ起業相談に通いました。私の思いをお話ししたら、「やりたいことは、ある程度決まっているようですから、2階のPlanning Portにあるプランコンサルティングに行ってみてください」との助言を受け、当初は1週間に1回のペースで通っていました。プランコンサルティングでは様々なことを学びました。特に良かったのは「女性起業ゼミ」です。少人数のゼミ形式なので納得がいくまで徹底的に勉強できましたし、一緒に学んだ仲間は大切な友人になっています。そして、2022年4月に開業届を出しました。
東京シニアビジネスグランプリは、女性起業ゼミを終了し、勉強したことを形にしたいと思っていた頃に知りました。締め切りの1週間前でしたが、不思議と迷いはなく夢中で応募書類を仕上げたことを憶えています。賞は獲得できませんでしたが、応募して本当に良かったと思っています。ファイナリストになったことで事業プランに自信を持つことができ、法人化を決断できました。
今後の展開や将来のプランをお聞かせください。
編集プロダクション事業は、起業から約半年で、国立大学、老舗専門出版社という大口の取引実績が2件もできたので手応えがあります。今まで積み上げてきたものが形になり始めていると感じていますので、今後も積極的に広げていくつもりです。将来的には出版部門も立ち上げたいと考えています。出版事業が若い有望な著者の発掘と育成につながり、微力ではありますが今後の数学界に貢献できるのではないかと考えています。
数学講座に関しては、個人を対象とした少人数制の輪読ゼミや演習ゼミを企画していく予定です。TOKYO創業ステーションの女性起業ゼミに参加した際、「このような形式が最も身につく」と感じたことがアイデアの源泉になりました。このプランの特徴は双方向性で行うこと。オンラインでも対面でも、相互にコミュニケーションがとれる形式を考えています。
★シニア世代の方に創業のポイントなどを教えてください。
自分はいつまで仕事をしたいのか、できるのかということを、ある程度は考えてから取り組んだほうが良いのではないでしょうか。私はその後の人生を考えて50代で起業しましたが、タイミングは人それぞれだと思います。
シニア世代の起業に見栄えは要らないと思います。他の会社と比べるのではなく、自分の好きな仕事で起業すれば、それが幸せな人生につながるはず。好きな仕事で社会貢献もできて、それで楽しく暮らせるだけの収入を得られれば大成功です。

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