2026.1.22
現地法人とは?海外支店との違いやメリット・デメリットを解説
海外進出を検討する中で、「現地法人はやはり必要なのか」と悩む経営者・担当者の方は少なくないでしょう。現地法人は、海外で本格的に事業を展開するための有効な選択肢である一方、設立や運営には相応のコストやリスクが伴います。
本記事では、現地法人の基本的な定義から、海外支店・駐在員事務所との違い、メリット・デメリット、検討時の注意点までわかりやすく解説します。
目次
- 現地法人とは
ー 現地法人の定義
ー 海外支店や駐在員事務所との違い - 現地法人設立のメリット・デメリット
ー 現地法人設立のメリット
ー 現地法人設立のデメリット - 現地法人化すべきケースとは
- 現地法人の運営に求められるもの
- 海外展開に迷ったら専門家に相談!
現地法人とは
ここでは、現地法人について以下の2点で見ていきます。
📝現地法人の定義
📝海外支店や駐在員事務所との違い
現地法人の定義
現地法人とは、進出先となる海外の国・地域の法律に基づいて設立される、独立した法人
を指します。日本本社とは別の法人格を持ち、現地法人名義で契約締結や取引、雇用を行うことが可能です。
また、会計・税務・法務についても原則として現地の制度やルールに従って処理されます。そのため、日本企業の一部門という位置付けではなく、現地市場で事業を行う「一企業」として扱われる点が大きな特徴です。
海外進出を成功させるには、まず「なぜ進出するのか」という目的を明確にすることが重要です。売上拡大・市場開拓・リスク分散・ブランド強化など、企業によって目的はさまざまです。
自社が海外進出する目的を整理できたら、社内で共通認識として共有します。数値目標や撤退基準も併せて設定することで、事業計画書や投資判断の軸がぶれにくくなります。
海外支店や駐在員事務所との違い
海外進出の形態には、現地法人のほかに「海外支店」や「駐在員事務所」があります。しかし、それぞれの役割や法的な位置付けは大きく異なります。
現地法人
現地法人は日本本社とは別の法人格を持ち、現地での契約締結、売買取引、雇用など、あらゆる事業活動を独立して行うことが可能です。現地市場に深く入り込み、長期的な事業展開を目指す場合に適した形態です。
海外支店
一方、海外支店は法人格を持たず、日本本社の一部として扱われます。営業活動や契約行為は可能ですが、得られた収益や負債はすべて本社に帰属するのが特徴です。そのため、会計・税務上の管理は比較的シンプルである反面、現地での信用力や経営の自由度には一定の制約があります。
駐在員事務所
駐在員事務所は、市場調査や情報収集、本社との連絡業務が主な役割であり、契約締結や取引行為は原則として行えません。海外進出に向けた事前調査や、将来の本格展開に向けた足がかりとして利用されるのが一般的です。
現地法人設立のメリット・デメリット
続いて、現地法人を設立する具体的なメリット・デメリットを見ていきましょう。
現地法人設立のメリット
現地法人設立の主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 経営自由度が高い
- 税制面の優遇措置などを活用できる
- 市場での信頼性が向上する
現地法人を設立する最大のメリットは、経営の自由度が高い点にあります。独立した法人として事業運営ができるため、現地市場の特性や商習慣に合わせた迅速な意思決定が可能です。
また、国や地域によっては、外資企業向けの税制優遇措置や補助金を活用できる場合があり、うまく制度を利用すればコスト面でのメリットも期待できます。
さらに、現地法人として登記されることで、取引先や金融機関、求職者からの信用力向上が見込めます。現地企業と対等な立場で取引ができ、優秀な人材も採用しやすくなるため、長期的な事業拡大やブランド構築につながりやすい形態だといえるでしょう。
現地法人設立のデメリット
逆に、現地法人設立の主なデメリットとしては以下の3点が挙げられます。
- 設立・運営のコストがかかる
- 現地法規への対応が求められる
- カントリーリスクがある
現地法人設立のデメリットとしてまず挙げられるのが、設立および運営にかかるコストの大きさです。法人設立費用に加え、会計・税務・法務対応、人件費、オフィス賃料など、継続的な固定費が発生します。
また、現地の法律や税制、労務規制への対応が必須となり、十分な知識がないまま事業を進めると思わぬトラブルにつながる可能性もあります。
さらに、為替変動や政治・経済情勢の変化、治安問題など、いわゆるカントリーリスクの影響も無視できません。事前に十分な情報収集とリスク評価を行わなければ、想定していた投資回収が困難になるケースもあります。
現地法人化すべきケースとは
現地法人を設立すべきかどうかは、海外進出の目的や事業フェーズによって判断する必要があります。一般的には、市場調査や情報収集が主な目的であれば「駐在員事務所」、日本国内事業の延長として営業活動を行うのであれば「海外支店」が適した選択肢といえるでしょう。
そこから一歩踏み出し、現地市場で独自の商品・サービスを展開し、雇用や投資を伴う本格的な事業運営を行いたい場合に初めて、「現地法人の設立」が視野に入ります。法人格を持つことで、現地企業と対等な立場での取引や、柔軟な経営判断が可能になります。
ただし、現地法人化はゴールではなくあくまで手段に過ぎません。法規制や税制、事業環境を十分に調査したうえで、投資回収が想定通りに進むのかを慎重に見極める必要があります。
現地法人の運営に求められるもの
現地法人を運営する上では、以下のような要素が求められます。
現地マーケットの深い理解
現地法人の運営でまず重要なのが、現地マーケットに対する深い理解です。市場規模や競合の状況だけでなく、商習慣や文化、消費者の価値観まで把握することで、実態に即した戦略立案が可能になります。
現地パートナーとの関係構築
また、現地パートナーとの関係構築も欠かせません。販売代理店や専門家、行政機関との信頼関係は、事業推進のスピードや安定性を大きく左右します。
現地の会計・税務ルール対応、人材確保と労務管理、本社との連携強化
さらに、現地会計・税務ルールへの対応や人材確保、労務管理、本社との情報共有、ガバナンス体制の整備も重要な要素です。これらを個別対応ではなく、全体最適の視点で推進することが海外事業成功のカギとなります。
海外展開に迷ったら専門家に相談!
ここまで見てきたように、現地法人は海外で本格的に事業を展開するための有効な手段です。一方で、現地法人の設立・運営にはマーケティング、人事、法務、税務など多岐にわたる対応が求められます。
特に中小企業にとっては、自社だけでこれらすべてを判断・実行することが大きな負担となるケースも少なくありません。
東京都中小企業振興公社 販路・海外展開支援課では、都内中小企業の海外展開を無料で支援しています。海外進出にあたって、以下のサポートをご利用いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
【執筆】
東京都中小企業振興公社 販路・海外展開支援課 海外進出サポート事業担当