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2026.3.5

日本企業のベトナム食品市場への進出状況

目次

1.ベトナム食品市場と日本企業の新たな可能性

タイ市場は、ASEAN域内での地理的ハブとしての優位性に加え、バンコクを中心とした中間層の拡大により、日本企業にとって引き続き魅力的な市場といえます。

2030年のベトナム世帯構成予測。低所得者(5000ドル以下)35.35%、中間層(5000から15000ドル)49.49%、高所得層(15000ドル以上)16.16%
出典:Euromonitor International

2.日本からの食品輸出の増加

農林水産省の統計によると、日本からベトナムへの食品輸出はこの10年で大きく拡大しており、2024年には862億円と過去最高を記録しました。特に水産物・水産加工物の取扱い量の増加が大きな要因です。これは、ベトナムの所得向上や日本食品への信頼感、健康志向の高まりが需要拡大を後押ししており、日本産品は品質面で高い評価を受けており、今後も輸出の増加が期待されるところです。

輸入額の推移:2011年 - 196億円、2012年 - 215億円、2013年 - 293億円、2014年 - 292億円、2015年 - 345億円、2016年 - 323億円、2017年 - 395億円、2018年 - 458億円、2019年 - 454億円、2020年 - 535億円、2021年 - 585億円、2022年 - 724億円、2023年 - 697億円、2024年 - 862億円
出典:農林水産省

3.日本企業に広がる海外進出の可能性

ベトナム食品市場の成長は、日本企業にとって多様な進出機会を生み出しています。主な方向性は以下の3つです。

(1) 貿易による進出

水産物や健康食品など、日本から輸入して販売するモデルが増加しています。かつては現地価格とのギャップが大きく、価格競争力を確保することが難しかったですが、中間層の増加に加え、差別化商品への需要が高まったことで、「現地品より高いが、品質で選ばれる」というポジションを確立できるケースが増えてきています。

(2) 日本向け製造拠点から現地市場向け生産へ

もともとベトナム工場は「日本向けOEM製造拠点」として活用されてきたケースが多いです。しかし近年は、同じ工場でベトナム人消費者向けの製品を生産し、現地で販売するモデルが増えています。現地の味覚や食文化に合わせたレシピ開発やパッケージ変更など、現地最適化を図ることで市場に浸透しやすくなることに取組しています。

(3) ベトナム企業との協業

現地企業と組むことで、市場参入のコストと時間を大幅に削減できます。ベトナム企業が持つ流通網を活かし、原材料メーカーと協業し、安定調達やコスト削減を実現するといった形式が一般的です。特に流通網の活用は重要で、ベトナムの流通は都市部・地方で格差が大きいため、現地企業と組むことが販売拡大の決め手になることが多いです。

4. 日本企業が直面する課題

一方で、ベトナム市場への進出には課題も存在します。

(1) 価格競争と現地OEMの活用

ベトナムはローカル向けの物価が比較的低いため、日本食品はどうしても価格差が生じてしまいます。完全輸入だと関税・輸送費もかかるため、価格はさらに上昇します。
そのため、現地OEMで部分的に生産し、品質を維持しつつコストを抑えることが重要になる。すべてを日本品質にこだわらず、「Made By Japan(日本企画・管理)」というアプローチをとることで、価格競争力とブランド価値の両立を図ることができます。

(2) “日本の商品”として認知されるためのマーケティング

ベトナムでは、日本商品は高品質の象徴である一方、消費者が一目で「日本のものだ」と認識されなければ手に取られにくく、購買行動につながりにくいです。そのため、パッケージデザインで日本らしさをしっかり表現することや、店頭プロモーション・SNSにおいて「日本品質」を明確に訴求することが欠かせません。そういった意味でもマーケティングで現地企業と協業する企業も増えてきています。

5. 最後に

ベトナム食品市場は今後も高成長が見込まれる魅力的な市場であり、日本企業にとって大きなチャンスが広がっています。輸入販売、現地生産、企業協業など進出ルートは多様化し、自社の強みを生かした戦略を構築しやすい環境が整ってきました。一方で、価格面やブランド認知といった課題に対しては、現地最適化やマーケティング強化が必要です。

「日本の品質をそのまま届ける」のではなく、ベトナム市場に合わせて提供方法を変える柔軟さが成功の鍵となり、日本企業の智慧と品質が、成長著しいベトナム食品市場でさらに存在感を高めることが期待されます。

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【執筆】
東京都中小企業振興公社 販路・海外展開支援課 Tokyo SMEサポートデスク事業担当