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2026.4.17

原産地証明書とは?
主な役割や種類、必要な手続きを紹介

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海外へ商品を輸出する際、「原産地証明書が必要になる」と聞いたものの、具体的にどのような書類なのか、取得までにどれほどの手間がかかるのか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

原産地証明書は、輸出取引において関税や通関、取引先との信頼関係に大きく関わる重要な書類です。一方で、種類や発行手続きは複雑で、初めて海外展開に取り組む企業にとっては高いハードルになることもあります。

本記事では、原産地証明書の基本的な役割や種類、発行手続きの流れを分かりやすく解説し、海外輸出をスムーズに進めるためのポイントをご紹介します。

目次

原産地証明書(CO)とは

原産地証明書(Certificate of Origin:CO)とは、輸出する貨物がどの国で生産・製造されたかを証明する公的な書類です。

主に、輸入国の税関や現地の取引先から提出を求められ、国際取引における重要書類の一つとして扱われています。原産地証明書には、商品の品名や数量、輸出者・輸入者の情報に加え、原産国が明記されます。

原産地証明書を発給するのは、主に商工会議所などの公的性格を持つ機関です。第三者機関が内容を確認し、証明することで、書類の信頼性が担保されます。そのため、単なる社内書類とは異なり、国際的に通用する証明書であると言えます。

原産地証明書は、輸出取引において商品の信頼性を支える書類であり、海外ビジネスを進めるうえで重要な存在です。

原産地証明書の主な役割

原産地証明書の主な役割は、以下の3つです。

  1. 1.正確な関税率を適用するため
  2. 2.輸入通関の手続きに使用するため
  3. 3.品質・安全性を証明するため

1. 正確な関税率を適用するため

原産地証明書は、輸入国の税関が関税率を判断する際の根拠資料として使用されます。多くの国では、商品の原産国によって関税率が異なっており、どの国を原産とするかによって、輸入時のコストが大きく変わるケースも少なくありません。

特に、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を活用する場合、原産地証明書の提出が前提となります。証明書がなければ、本来適用できるはずの関税優遇措置を受けられず、通常より高い関税を課される可能性があります。

輸出ビジネスの収益性を左右する点からも、原産地証明書は重要な書類だと言えるでしょう。

2.輸入通関の手続きに使用するため

原産地証明書は、輸入通関時に提出が求められる主要書類の一つです。インボイスやパッキングリストと並び、税関が貨物の内容や条件を確認するために使用します。

原産地証明書に不備があったり、提出が遅れたりすると、通関手続きが滞り、貨物の引き渡しに遅れが生じることも少なくありません。原産地証明書を正しく準備することは、スムーズな物流を実現し、海外取引におけるトラブルの防止につながります。

3.品質・安全性を証明するため

原産国によって、品質基準や安全基準、製造管理の考え方は異なります。原産地証明書は、その国で製造されたことを証明する書類であり、商品の品質や信頼性を示す一つの材料としても活用されます。

取引先企業にとって、商品の原産国は販売戦略上の重要な要素であり、顧客へのアピールポイントとして活用するケースも少なくありません。原産国をアピールできることは、ブランド価値や企業そのものへの評価向上にもつながります。

原産地証明書の種類

原産地証明書には、大きく分けて以下の二種類が挙げられます。

  • 一般原産地証明書
  • 特定原産地証明書(RCEPなどのEPA向け)

一般原産地証明書

一般原産地証明書は、特定の貿易協定に基づかない、最も基本的な原産地証明書です。輸出する商品が原産地基準に達していることを証明するために使用されます。

輸出先国の税関や取引先から原産地証明書の提出を求められた場合、この一般原産地証明書を使用するケースが多く、幅広い国・地域で利用されています。後述の「特定原産地証明書」と異なり、特定の関税優遇措置を受けることが目的ではないものの、輸入通関や取引をスムーズに進めるうえで重要な書類です。

特定原産地証明書(RCEPなどのEPA向け)

特定原産地証明書は、RCEP(地域的な包括的経済連携)をはじめとするEPAやFTAなど、国際的な貿易協定に基づいて発行される原産地証明書です。特定原産地証明書を提出することで、協定に基づく関税の優遇措置を受けられます。

特定原産地証明書は、原産地規則を満たしているかどうかを厳密に確認したうえで発行されるため、一般原産地証明書と比べて要件が厳しくなります。製造工程や原材料の原産国、付加価値の割合などを正確に整理・説明する必要があり、原産地規則への理解が欠かせません。

日本では、特定原産地証明書は日本商工会議所が管轄・発行しており、専用の発給システムを通じて申請・判定が行われます。

原産地証明書の発行手続き

原産地証明書の発行手続きは、一般原産地証明書と特定原産地証明書で申請先や流れが異なります。いずれの場合も、事前準備や社内情報の整理が重要となるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。

一般原産地証明書(各地の商工会議所管轄)

一般原産地証明書は、輸出者の所在地を管轄する各地の商工会議所に申請します。多くの商工会議所では、証明書の申請に先立ち、事前登録が必要です。
発行手続きの一般的な流れは以下のとおりです。

1商工会議所への事前登録を行う

2原産地証明書の申請書類・依頼書を作成する

3窓口またはオンラインにて、インボイスなどを添えて申請する

4必要に応じて、製造工程や原材料を示す典拠書類を提出する

5内容に問題がなければ証明書が発給される

提出書類に不備がある場合や、原産地の確認が難しい場合には、追加資料の提出を求められることもあります。そのため、輸出スケジュールに影響が出ないよう、早めの準備が重要です。

特定原産地証明書(日本商工会議所管轄)

特定原産地証明書は、日本商工会議所が管轄しており、発給にあたっては事前の登録と判定手続きが必要です。

まず、特定原産地証明書発給システムへの登録を行い、対象となる製品が原産地規則を満たしているかどうかの判定を依頼します。この際、製造工程や使用している原材料、その原産国、価格構成などの情報を整理して提出する必要があります。

判定の結果、原産地基準を満たしていると認められた製品については、証明書の発給が可能となります。原材料や製造工程、価格条件に変更がない限り、一度取得した判定結果を継続して利用できる点も特徴です。

特定原産地証明書は、関税優遇措置を受けるうえで大きなメリットがある一方、社内の複数部門による協力が必要なケースも多く、準備に時間がかかる傾向にあります。

原産地証明書を取得して海外展開を加速!

原産地証明書を正しく取得・活用できれば、輸出取引はよりスムーズに進み、海外展開を力強く推進できます。関税面での不利を避けられるだけでなく、通関手続きの円滑化や、海外取引先からの信頼確保にもつながります。

一方で、原産地証明書の取得には、輸出部門だけでなく、製造部門や購買部門など、社内複数部署の協力が欠かせません。製造工程や原材料の原産国、価格構成などを正確に把握・整理する必要があり、特に初めて海外輸出に取り組む企業にとっては、想像以上に手間がかかると感じるケースも少なくありません。

社内に専門知識を持つ人材がいない場合や、限られたリソースで海外展開を進める場合には、外部の支援サービスを活用することも有効な選択肢です。東京都中小企業振興公社では、海外展開を目指す都内中小企業を対象に、以下のような支援を提供しています。

専門家のアドバイスを受けながら進めることで、原産地証明書の取得だけでなく、輸出事業全体を見据えた円滑な海外展開が可能になります。海外ビジネスについてお悩みの経営者・担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【執筆】
東京都中小企業振興公社 販路・海外展開支援課 海外進出サポート事業担当