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巨大市場インドネシアを掴む
法制・規制を「市場参入の設計図」に変える

インドネシア 2026.10.20

インドネシアは推計人口約2.87億人を抱える東南アジア最大の市場です。都市部を中心に、価格だけでなく、品質、安全性、ブランドへの信頼を重視する消費者層も形成されています。東京都の中小企業にとっても、自社の商品や技術を展開する余地の大きい市場といえるでしょう。

一方、進出を検討する企業からは、「法制度がしばしば変わる」「許認可が複雑で分かりにくい」といった声も聞かれます。確かにインドネシアには独自の投資規制、事業許可、製品登録、表示義務があります。準備不足のまま進めると、想定していた事業ができない、商品が通関できない、販売開始が遅れる、といった事態にもなりかねません。

しかし、規制は単なる「壁」ではありません。自社がどの形で市場に入り、誰が商品を輸入し、どの許認可・認証をいつ取得するのかを整理すれば、規制はむしろ市場参入の「設計図」になります。重要なのは、個々の制度をすべて詳しく理解することではなく、自社に関係する規制を早い段階で洗い出し、必要な手続きを事業計画の中に組み込んでおくことです。

ジャカルタの高層ビル街と街角でしばしば目にするストリートアートの画像

まず「進出方法」を整理する 

インドネシア市場への入り方として代表的なのが、①現地法人を設立して事業を行う方法と、②日本から商品を輸出し、現地の輸入者や代理店を通じて販売する方法です。両者では確認すべき制度が異なります。最初にこの違いを整理しておけば、その後に確認すべき許認可や製品規制も見えやすくなります。

現地法人を設立する場合、最初に確認したいのがKBLI(インドネシア標準産業分類)です。自社の事業がどのKBLIに該当するかによって、外資規制や投資要件、必要な許認可が異なります。

現在はKBLI2025が使われており、NIB(事業基本番号)の取得や、OSS(事業許認可オンラインサービス)を通じたリスクベース許認可への対応が必要です。「まず会社をつくり、その後に事業内容を考える」のではなく、「何を、どのKBLIで、どの許可を得て行うのか」を先に整理することが重要です。

輸出販売なら製品ごとの規制を確認

一方、日本から商品を輸出して販売する場合は、製品ごとの規制確認が中心になります。代表的なのがSNIとBPOMです。

SNI(インドネシア国家規格)は日本のJISに近い国家規格で、原則として任意ですが、品目によっては強制適用されます。BPOM(インドネシア食品医薬品監督庁)は、加工食品、化粧品、医薬品、健康補助食品などについて、販売前の登録や表示、安全性を監督しています。

食品、化粧品、医療関連、電気・電子製品などは、「現地で売れるか」を検討する前に、「どの登録や認証が必要か」を確認しておくことが欠かせません。必要な手続きは製品ごとに異なるため、販売開始までの準備を考えながら、早めに確認しておくことが大切です。

パッケージに記載されたBPOMおよびHALAL情報
パッケージに記載されたBPOMおよびHALAL情報

ここで特に注意したいのが、「誰の名義で登録するか」です。現地代理店や輸入者に手続きを任せること自体は珍しくありません。しかし、製品によっては、登録名義や輸入者との契約関係が、将来パートナーを変更する際の再登録や販売継続に影響する場合があります。商標登録、代理店契約、製品登録を別々に考えるのではなく、将来の販路変更も見据えて確認しておくことが大切です。

2026年はハラール認証にも注意

製品パッケージに記載されているHALAL認証画像

2026年に特に注目したいのがハラール認証です。食品・飲料をはじめ、化粧品、健康補助食品、一定の化学製品や消費財などで義務化が段階的に進んでおり、輸入品を含む対象カテゴリーでは2026年10月18日から適用範囲が大きく広がります。

ハラール対応は、商品の完成後に認証だけ取得すればよいというものではありません。原材料だけでなく、製造、保管、包装、物流などサプライチェーン全体の確認が必要になります。対象製品を扱う企業
は、上市時期から逆算し、商品設計や現地パートナー選定の段階から対応を進めることが重要です。直前対応では、販売開始の遅れにつながりかねません。

正規の認証や登録を適切に取得していることは、取引先や消費者に対して適法性や信頼性を示す材料にもなります。

製品パッケージに記載されているHALAL認証画像

政府調達や現地生産ではTKDNも

政府調達や現地生産を視野に入れる企業では、TKDN(国産化率)も確認しておきたい制度です。政府調達では国内製品の使用・優先に関する制度が設けられており、TKDNの値が製品選定や評価に影響する場合があります。

ただし、すべての日本企業に同じ重要度で関係する制度ではありません。自社の販売先や事業モデルに応じて確認することがポイントです。

インドネシア市場では、法制度や認証への対応を後回しにすると、通関や販売開始の遅れ、追加コストにつながりかねません。大切なのは、規制を「避けるべき壁」ではなく、「参入前に読み解くべき市場のルール」と捉えることです。こうした規制への対応は、法令を守るためだけでなく、販売計画や現地パートナーとの役割分担を考えるうえでも重要になります。

自社の進出形態、製品分類、現地パートナー、必要な許認可・認証を早めに整理できれば、規制対応は適法性と信頼性を示す強みに変わります。

Tokyo SMEサポートデスク インドネシアでは、都内中小企業の皆さまが円滑に事業を始められるよう、海外展開に関するご相談、輸出入制度や現地法令の確認、現地市場の簡易レポート、現地パートナー探しなどの販路支援を行っています。インドネシア市場への第一歩として、ぜひお気軽にご相談ください。

【執筆】Tokyo SMEサポートデスクインドネシア受託事業者 株式会社インドネシア総合研究所

<ASEAN通信Vol.28からの転載記事>

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