
トランプ2.0と日本企業の欧米中取引への影響について

トランプ大統領が就任して約1か月半が経ちました。この間、WHO脱退、USAID再編から湾の名称変更に至るまで、予測が難しい政策が次々と打ち出され、連日ニュースで取り上げられています。
直近では、輸入自動車への追加関税が表明されるなど、日本企業への影響も懸念される状況です。皆さまもその動向を注視されていることと思います。
今回はトランプ 2.0 とも称される一連の政策について、日本企業への影響と特に日本と繋がりの深い中国、ヨーロッパ、そしてアメリカについて、今後の各国へ展開・取引をする際の影響・課題になる点について概観しました。
トランプ 2.0 と日本企業への影響
トランプ大統領の政策による日本企業への考えられる影響を再整理すると、以下のとおりとなります。
- 「アメリカ第一主義」のもと、保守的・強硬的な政策による、アメリカ市場への参入ハードルの上昇
- 米国政治・経済の激しい変動による、経営計画立案の不確実性増大
- 対米輸出の減少による売り上げへの打撃
これらの要因としては、トランプ大統領の掲げる高関税政策への不透明感が大きいと言えるでしょう。
直近では、いわゆる「相互関税」への懸念が話題となっています。ここで「相互関税」とは、ある国がアメリカからの輸入品に課している関税と同等の関税を、その国の製品のアメリカでの輸入時に課す政策と言われています。その具体的な範囲や内容は不透明なところがありますので、ここでは、米国の高関税政策の一般的な影響として調査しました。
※以下本記事の調査内容については 2024 年 12 月上旬時点を基に執筆しております。ご覧になる時期によっては内容と実際に施行された政策が異なる場合がございますのでご了承ください。
アメリカ・ヨーロッパ、中国との取引・展開への影響は?
トランプ大統領が現時点で掲げる高関税政策の影響については、おおむね下記が考えられます。
アメリカとの取引・展開への影響
- 追加関税により米国企業の仕入れコストが上昇し、法人税減税効果が相殺されるため、価格引き下げ圧力を受けて輸出者の負担が大きくなる可能性がある
- 高関税を回避するため、外国企業による米国への製造拠点の移転が増加する、それによりインフレ、ドル高が継続することで日本からの輸出が好調になる可能性も存在している
中国との取引・展開への影響
- 米国の高関税化によるさらなる貿易戦争の激化により、中国に工場を設立していて米国へ輸出している外国企業の工場が、中国から他国へ移転する流れができ、それによる投資コストが増加する可能性が高い
- 中国との直接の取引以外にも、東南アジア地域をはじめとした他の地域での中国企業との市場競争において、市場争奪のほか、賃貸料や原材料価格の上昇によるさらなる競争激化がおこる可能性がある
ヨーロッパとの取引・展開への影響
- 高関税による日本・欧州間の貿易に直接大規模な影響が及ぶとは考えにくいが、アメリカに販売が難しくなった商品の新市場開拓において、中国等の製品が欧州に流入し日本企業との競合が加速する可能性がある
- 欧州企業が米国関税を回避するため米国への製造拠点移転が加速すれば、欧州からの米国向け輸出減少により、ヨーロッパ全域の経済が停滞することが予測される
このように、各国ともに高関税による対米輸出の減少や拠点の移転による影響が懸念事項として最も大きな割合を占めております。
また、対米取引においては高関税による貿易コスト増と米国でのインフレ継続による貿易額の増加の 2 面が考えられます、つまりトランプ大統領の一挙手一投足でどちらにも転びうるという現状であり、いかに先の予測が困難になっているか物語っているといえるでしょう。
まとめ
本記事を執筆している最中にも新たな動きが生まれるほど、グローバル市場は急速に変化しています。こうした環境では、不確実性が高まり、海外展開に対して不安を感じることもあるかもしれません。
しかし、このような時こそ、短期的な変動に振り回されるのではなく、長期的な視点で市場の可能性を見極め、戦略的に対応することが重要です。急速な変化の中には新たなチャンスも多く含まれており、冷静かつ柔軟な姿勢で取り組むことで、海外展開を成功へと導くことができるでしょう。
そんなときこそ、公社の海外ワンストップ相談をご利用いただければと思います。
初めての海外展開に関するお悩みから現地規制、契約書のチェック、もちろん欧米や中国との取引のご相談についても、様々なご相談に対応可能です。
たとえ予測困難な状況であっても、共に乗り越えていきましょう!皆様、是非奮ってご利用ください!
【執筆】TokyoSME 海外ワンストップ相談事務局
【調査・監修】三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社
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