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令和4年度

成功事例紹介
成功事例紹介

独自の海外展開に公社の支援をプラス。タイに拠点を立ち上げる

電気の安全を守る True R

株式会社 So Brain

海外拠点設置戦略支援

電気の安全性確保に貢献する技術を電力不足のタイにも応用していきたい

日本ではほとんどの人が「電気は安全に使えて当然」と思っているのではないでしょうか。しかし、実際は工事段階での誤結線※によって、無駄な電気が流れ料金が余計にかかっていたり、漏電火災の危険が高まっていたりすることも少なくないのです。また、誤結線はなくても、漏電ブレーカーの誤作動も珍しいことでは ありません。そして漏電によってひとたび火災が起こると、電力会社ではなく出火した建物の持ち主が責任を取らねばならないのです。ところが、これらの不具合は、専門家が点検に来てもなかなか発見しにくいもの。このため、当社はパートナーと共に漏電や誤結線を確実に検知できる技術を考案して特許を取得しました。日本国内で様々な企業の協力を得て、少しずつではありますが、日本国内における電気の安全性確保に貢献しています。

この技術を広めるため休みなく奔走していた頃、ある方がタイ旅行に誘ってくれました。観光に行った先で目についたのは、驚くような配線の数々。それらは私に「この国の配線によるトラブル(問題)も解決できるのか?」と問いかけてくるように思えました。そこで後日、機器を持ってタイを再訪問し様々な場所で測定を行ったところ、予想通り多くの問題が。日系企業の最新の新築工場ですら、誤結線が見つかったのです。そこで「我々の技術はタイでも対応できる」と思った私は、早速2名の社員をタイに派遣し漏電診断サービスを開始。知人を介して在日タイ大使館・タイ政府・DIW(タイ工業省工場局)と繋がり、電力不足に悩むタイにとって、我々の技術が有用であることを認識していただきました。

※ブレーカー等の器具への誤った電線接続

タイの電気配線の状況
タイの配線状況

自社でも独自にアプローチしつつ公社の支援で製品改良とマッチングを進行

次の一手を考えているなかで、取引銀行の方に相談したところ「公社に話をしてみたらどうですか?助成金もあるし、いろいろと手伝ってくれるようですよ」との一言で、私は当事業を知るところとなりました。そこで早速応募したのですが、残念ながら最初は採択されませんでした。当時はまだ地盤固めや啓発に注力、国際特許の取得に資金をかけていた段階であり、要件に合わなかったのです。それでも「この技術はいずれ大きなことになる」と評価してくれた海外拠点戦略ナビゲータがその他の支援を教えてくれたりもして、翌年の審査では採択。タイでの拠点立ち上げに動き出しました。

我々の事業計画の1つめの柱は漏電診断業務。2つめは、タイの電圧に合わせた絶縁監視装置(漏電検出器)をタイの日系企業の工場で委託製造し販売すること。そのためにナビゲータの紹介で、公社の『製品改良/規格適合・認証取得支援事業』も活用しました。

2022年2月に予定されていた1回目の現地訪問はコロナ禍で中止となりましたが、その代わりに公社が探してくれた生産委託先候補、自社社員が探した顧客になり得るメーカー、工場を持つ日系企業、ローカルの太陽光発電会社などとリモート面談を行いました。

やっとタイへ渡航できたのは2022年9月で、Web面談した企業やDIWを訪問。公社がアポイントを取ってくれた太陽光発電会社では、当社の特殊な管理技術が生かせるという確証を得ることができました。2回目の現地訪問は2023年2月で、製品製造の工場の確認、拠点設立の具体的な手続き、事務所の場所の見学などを実施。DIWに「進みが遅い」と催促されたりもしましたが、ようやく2023年6月にSo Brain タイランドという現地法人が立ち上がります。

日本トップシェアの企業との協業が決まり さらに幅広く世界展開が加速する

タイ工業省工場局にて記念撮影
タイ工業省工場局にて

我々は創立時より海外を視野に入れた展開を行ってており、今回も独自に多方面にアプローチしていましたが、それに加えて公社からの助成や支援を得られたことは大きなプラスでした。

現地訪問の際には知識があり経験豊富な通訳・日本語が話せるガイド・地元の状況をよくわかっているベテラン運転手と車輌を手配してもらえたので非常に助かりました。

そして最も大きな結果に結びついたのは、日本で絶縁監視装置のトップシェアを誇る会社のタイ現地法人に声をかけていただき、協業の話がまとまったことです。公社が間に入ることで、「東京都の公社が後押ししているということは、これは今後伸びていく確かな技術だ」と、信用してもらいやすい状況が生まれたのではないでしょうか。現在は、その企業が今後進出予定のアセアン各国での協業に向けて話が進展しています。公社が結びつけてくれたおかげで、うまくパズルのピースがはまったようで、今後、急激に我々の技術の世界展開が加速していきそうです。

企業詳細

株式会社 So Brain

True R 技術で世界に電気の安全提供を

危険な漏洩電流を正確・迅速に検出し、電気保安の飛躍的向上に貢献する。主な業務はTrueR技術(ベクトル理論 Igr方式)による漏電測定と診断技術の研究・開発、関連製品の開発・製造・販売、特許ライセンスの管理・許諾、漏電測定や診断サービスなどのコンサルティング。

所在地 東京都千代田区神田猿楽町1-2-4ダイ二猿楽町ビル7F
代表者 代表取締役 頭本 頼数
設立 2005年2月
資本金 5,000万円
従業員数 5名(東京 3名、タイ 2名)
URL http://www.so-brain.com/別タブで開く

海外展開を目指す人へのメッセージ

代表取締役 頭本 頼数氏

ベンチャー企業が現地事情も知らずに理想を実現することは難しく、“おかしな話”が舞い込んできたり、 相手のペースで進められたりする危険性もあります。そこで我々は「その国の事情について、その国の人よりも詳しくなったら道が開け勝負できる」と考え、まずは現地に行き徹底的な調査を実施。その国の方々がどこに注目していて、どういう見解を持ち、どこが進出における課題となるのかを調べ、自分たちの技術をフィルターにかけ、判断できる材料を揃えたのです。この調査のために「東京」というネームバリューのある公社の支援を活用すれば良いと思います。

公社の支援利用実績

2021年7月
海外拠点設置等戦略サポート事業

2021年10月
製品改良/規格適合・認証取得支援事業