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令和6年度

成功事例紹介
成功事例紹介

4つの海外拠点で日系メーカーをサポート

1957 年に設立、ねじを中心に、冷間圧造部品、ばね・プレス製品など工場で使われる多様な商品を扱う商社。フィリピン、上海、香港に拠点を持ち、2024 年末、新たにベトナムに進出した。

<活用した支援:海外進出サポート支援>

株式会社小山

専務取締役 小山泰一

目 次:

  • 商権拡大に向けて4 つ目の海外拠点を設立
  • マネジメントが得意なローカル社員を採用
  • 現地役所とのやり取りには苦労も
  • 公社支援で良かった点・助かった点
  • 我が社の海外事業展開ストーリー
  • まとめ
  • 関連する支援

商権拡大に向けて4 つ目の海外拠点を設立

「 モノづくり」を支える専門商社として、ねじなどの金属部品の販売をはじめ、設備管理まで幅広く対応する小山。1996 年にフィリピンに進出して以降、上海、香港と着実に拠点を広げ、2024 年11 月、新たにベトナムに現地法人を開設した。

同社が海外に拠点を持ったのは、すべて取引先のメーカーの海外進出に合わせ、その部品供給を行うのが目的だ。今回のベトナムも同様に、商権を守り、今後の売上げ拡大を見込んでのことだが、中国への依存度を減らすために他国に拠点を分散させる、いわゆる「中国プラスワン」戦略の一環でもある。

ベトナム進出にあたっては、公社の支援事業を活用した。小山泰一専務は、「過去に3つの拠点に進出していますが、当時実務を担った人が社内におらず、どう進めていけばいいのか手探り状態でした。そこで、海外法人設立の段取りや、ベトナムに出ている日本企業のリストアップなどを公社にお願いしました」と語る。約2 年の準備期間を経て、2024 年11 月、ベトナムに現地法人を開設した。

マネジメントが得意なローカル社員を採用

現地法人には、日本から派遣された社員2 名と、現地で採用した社員2名が働いている。日本人の駐在員は営業職のため、ローカル社員はマネジメントに秀でた人材を探したという。幸い、複数の企業の立ち上げに参加した経験があり、日系企業に長く勤め、その風土もよく理解している社員を採用することができた。おかげで、現地業務が円滑に回り出している。

「 実は、現地法人の開設準備期間中に、サプライヤーとなりそうなローカル企業に英語で問い合わせをしていたのですが、反応はゼロ。法人開設後、12 月にベトナム人社員を1 人採用してから、ようやくスムーズにアポイントが取れ、企業訪問ができるようになりました。やはり現地に人が駐在して、母国語でやり取りできることが非常に重要なのだとわかりました」(松井取締役)。ジェトロや商工会議所とも、進出してからのほうが緊密にやり取りできるようになったという。

小山眞一社長(中)と小山泰一専務取締役(左)、松井博臣取締役(右)
小山眞一社長(中)と小山泰一専務取締役(左)、松井博臣取締役(右)

現地役所とのやり取りには苦労も

「 ベトナムは基本的にフィリピンに近い印象があり、カルチャーショックなどはなかった」と小山専務。しかし、これまでの3 拠点と大きく異なっているのは、ベトナムでは商社はEPE(輸出加工企業)にはなれず、VAT(付加価値税)免除の優遇措置が認められないことだ。同社の扱う商材には10%のVAT がかかり、場合によっては利益が飛びかねない。また、他のアジア諸国に比べると書類主義で、役所の権限が強い傾向があり、その点では苦労したという。「現地のコンサルタントに、『小売ライセンスをついでに取ったらどうか』といわれて申請したところ、役所から削除を要請されました。実際に手続してみないとわからないことが多く、却下されると初めからやり直しとなるので、大変でした」(松井取締役)。契約関係でもかなり細かい指摘が多く、契約書のタイプミスひとつで受理されないケースもあったという。

公社支援で良かった点・助かった点

同社のユーザーは基本的に日系企業で、商流や扱う商材もある程度見えている。扱う物量については未定だが、「直近では、日本や中国で作ったものをベトナムに輸入し、ユーザーに納めるルートが決まりそうです。いずれ定期便ができれば、ほかのユーザーにもPR し、販路を広げていきたい」と小山専務。現地法人開設までの公社の支援については、「スケジュールをきちんと立てて、今どのフェーズにあるかを示しながら、疑問や課題を一つひとつ確認して進めてくれたのがよかった。判断に迷ったとき、一般的にはこうするよと意見を聞けたのも参考になりました」。4つ目の拠点は動き出したばかりだが、これまでの経験と知見も生かして、新たな商権開拓に挑む。

我が社の海外事業展開ストーリー

事務所の場所は取引先と同じ日系工業団地に

「現地法人は、取引先の企業の工場がある日系工業団地内に設立しました。ホーチミン市から車で1 時間程度かかり、社員の通勤の便やコスト面などを考えると市内のほうがよいのではというアドバイスも受けましたが、お客さまの近くでフェイストゥフェイスのコミュニケーションを取りたいという思いから、最終的に決定しました。日系の工業団地ならではの、現地レギュレーション説明の良さなどの安心感は利点かと思います」(松井取締役)


ローカル企業との交渉は母国語が有利

「当面は日本や中国からの商品をお客様に納めますが、価格面を考えるといずれはベトナム調達にしていくことが必須です。ローカル企業との交渉は、英語より母国語のほうが圧倒的にスムーズ。自社製品をもたない商社の場合はなおさらです。ベトナム人社員には窓口としての働きを期待しています」(小山専務)

法律やルール面では難しい対応も

「ベトナムではさまざまなルールがモザイク的に作られていると感じます。例えば消防法などは、投資の多い韓国企業のルールを取り入れたりする。もともとあった法体系が急に変わって、動きが取れなくなったり、罰金を払う羽目になることも。どうしようもないことではありますが、注意が必要です」(松井取締役)

現地雇用では社風のPRも大事

「現地の採用面接では、当社のHP をよく見ている方が多いと感じました。HP には、ワークライフバランスを重視するとうたっているのですが、これを見て応募してきたのが2人のお子さんのいる今の社員。マネジメントに長けていて、当社の価値観とも合うということで採用に至りました。正直、予定していたジェトロの平均賃金よりは高くなりましたが、結果的にお互いによい条件でマッチングできたのはよかったです」(松井取締役)

国ごとに違う優遇措置

「フィリピンでは税制優遇措置(PEZA)を受けるために当初は製造業で進出し、その後、商社も対象となったので新たに貿易会社を設立しました。ベトナムは商社にVAT が免除されず影響が大きい。国ごとに制度が違うのは悩ましいところです」(小山専務)

まとめ

当公社の海外進出サポート事業では、タイ・ベトナム・インドネシアをはじめとするASEAN 現地での直接的・主体的なビジネス実行を目指す都内中小企業をサポートいたします。支援テーマは、営業・製造拠点の設置やサプライチェーンの見直しなど幅広く対応可能です。企業規模や成長ステージに合わせ、進出手法の検討から実施までトータルで支援します。(※直接貿易、間接貿易は当事業では対応していません)また、海外進出サポート事業のほか、海外販路開拓の支援や越境EC出品支援など、幅広い支援を行っております。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:海外進出サポート事務局
TEL:03-5822-7241(代表)
E-mail:expa【AT】tokyo-kosha.or.jp
※迷惑メール対策のため、「@」を【AT】としています。

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