令和7年度
ナビゲータの実践的指導で海外での商談に成功
三調株式会社
企業の強み💡
創業者の竹田抄百合氏は、女性用靴のオーダーメイドインソール(中敷き)メーカーで営業職を経験。そこで体調不良に悩む女性顧客の声をたくさん聞き取る中で、若年層にも使いやすいお洒落なインソールの開発を決意し、独立した。同志社大学スポーツ健康科学部新井彩准教授と共同研究を行い、日常生活をしながら足裏の筋肉を鍛えて理想の足底を作るインソール「FootFree(フット・フリー)」を発売。1足6万6000円(税込み)という価格にも関わらず顧客から支持され、国内外で売り上げを伸ばしている。
「FootFree」は、適度な弾力性で足への負担を和らげつつ、使い続けることで理想の足底に近づけるインソール。履き心地の良さと、お洒落な靴に入れても違和感のないスタイルも人気だ
海外進出を目指したきっかけ
市場が限られた国内だけでは成長が見込めないと考えた
竹田氏は航空会社のグランドアテンダント、英会話講師、インターネット販売企画職などを経て、2007年にオーダーメイドインソールメーカーに転職。そこで、加齢や生活習慣によって姿勢が崩れたり身体がゆがんだりする事実や、足の構造と重要性について学んだ。同時に、適切なインソールを装着することで身体の痛みや不調が解消されるケースを数多く目にし、仕事にやりがいを感じていた。だが、竹田氏には大きな不満があった。それは、扱っていたインソールが決してお洒落ではなかったことだった。
「当時のお客さまは60代以上の女性が中心。そのためか、お洒落さより実用性を重視していて、インソールは分厚く作られていたのです。スニーカーなどを履くのであればあまり問題はなかったのですが、パンプスなどには似合いませんでした。ただ、インソールは若いうちから使う方が、身体に良い影響が出ます。そこで、健康に気をつけながらお洒落な靴を履きたい若い世代向けのインソールを提案したのですが、受け入れられませんでした。だったら私が作ろうと思ったのが、起業の動機です」
竹田氏は2013年に独立後、インソール商品の改良を続けた。そして2018年にFootFreeが誕生し、イベントや期間限定ショップなどでデモンストレーションを行うと、多くの人が関心を示した。発売から1年半で約1200足が売れ、売り上げは好調だったが、そんなときに訪れたのがコロナ禍だ。
「FootFreeの良さは、試し履きしてもらえばすぐに分かっていただけます。ところが新型コロナウィルスの蔓延でイベントが開けなくなり、業績は伸び悩みました。そして、2022年あたりからイベントは再開できるようになったのですが、その頃には他社が、性能は落ちますが安価な類似品を発売して競争が激化していったのです。
FootFreeは比較的高額な商品で、顧客層は限られています。それに、一度ご購入いただくと長い間使うことができるため、買い替え需要は大きくありません。その上、競合他社と市場を食い合うようになったことで、私は『国内市場だけをターゲットにしていると、いずれ壁にぶつかる』と考えるようになりました。それで、海外進出への思いがだんだん大きくなっていったのです」
「海外展開プラン策定支援」を利用
「足の健康」に対する意識が高い台湾への進出を決定
三調が公社事業を初めて利用したのは2020年。きっかけは、展示会のパンフレットで三調の存在を知った公社の担当者から、「中小企業ニューマーケット開拓支援事業」*1の利用を勧める電話が入ったことだった。そして2021年には、公社の「プランマネージャー」*2から「海外展開プラン策定支援」の活用を提案された。FootFreeの海外展開を視野に入れていた竹田氏にとっては、まさに渡りに船の申し出だったという。
「中小企業ニューマーケット開拓支援事業と海外展開プラン策定支援は、どちらもこちらから依頼したのではなく、公社の方から声をかけていただきました。こんなに面倒見がいいのかと驚きましたね。そして、プランマネージャーの方と話し合って海外進出のスケジュールやコストなどを詰め、まずは台湾での展開を目指すことになったのです。
台湾を最初のターゲットに決めた最大の理由は、足の健康を大切にする消費者が多かったからです。オーダーメイドインソールメーカーに務めていた頃、私はなんども現地に足を運び、『台湾式足つぼマッサージ』のお店がたくさんあることを知っていました。ですから、足の状態を改善して健康に寄与するFootFreeの価値も、きっと分かってもらえると考えたのです。それに、台湾は親日国だと言われますから、日本発の製品も受け入れられやすいのではと期待しました」
「海外販路開拓支援」を利用
ナビゲータから学んだノウハウが海外の商談・展示会で役立った
海外進出のプランが固まった2022年、三調は公社の「海外販路開拓支援プログラム」の利用を開始。そして翌2023年3月には、台湾でのテストマーケティングを実施した。現地での商談では、「グローバルナビゲータ」*3からの助言が大いに役立ったと竹田氏は振り返る。
「例えば、商談時に示すプレゼン資料についてご指導いただいたことをよく覚えています。私は、日本で使っている資料をそのまま北京語に直せばいいだろうと考えていました。ところがグローバルナビゲータの方からは、現地の状況に合わせて修正する方がいいとアドバイスをいただいたのです。
修正点の1つ目は、2種類のプレゼン資料を用意することでした。商談にいらっしゃる方は、企業の社長さんなど決裁権を持つ人もいれば、そうでない方もいます。関心を持つポイントや求める情報が異なるので、それぞれに合う資料を用意すべきだと教えていただきました。そして2つ目の修正点は、FootFreeの長所を、短時間で分かりやすく伝えられるよう工夫することでした。これについては私が原案を書き、グローバルナビゲータの方に添削をしていただいた上で、資料を完成させました。おかげで、テストマーケティングでの手応えは十分でした」
続いて三調は、タイとドイツの海外展示会に出展。2024年には、香港でもテストマーケティングを行った。
「台湾以外にも進出を目指したのは、自分の目でいろいろな国の状況を確かめたかったからです。海外市場は、実際に試さないと分からないことがたくさんあります。ですから、公社の支援が受けられる時期にできるだけ多くの国・地域でチャレンジし、その中から有望な市場を見つけて未来につなげようと考えていました。
2024年に海外販路開拓支援プログラムが終わった後は、公社の皆様に教わったことを生かし、独力でシンガポールとマレーシアでも展示会に出ています」
海外進出の状況
2年半で海外売上比率2割を達成。いずれは北米進出を目指す
三調がこれまでにテストマーケティングや展示会出展を行ったのは、台湾、タイ、ドイツ、香港、シンガポール、マレーシア。今後はいったん、台湾、タイ、シンガポールに絞って事業を展開する予定だ。
この地域を重視するのは、それぞれに強力なインフルエンサーがいるからだと竹田氏。FootFreeは宣伝ではなく口コミで売れる商品なので、商品の良さを拡散する人の確保が、事業拡大の鍵を握るのだという。
「台湾、タイ、シンガポールにはそれぞれ、FootFreeの大ファンであるインフルエンサーがいます。実は3人とも、海外販路開拓支援プログラムが縁で知り合った人々なのです。例えば台湾の人は、現地のテストマーケティングで通訳を務めてくれ、そこでFootFreeの良さを知って台湾での火付け役を買ってくれました。公社の支援がきっかけで人脈が広がったのは、思わぬメリットでしたね」
初の海外テストマーケティングから約2年半で、FootFreeの海外売上比率は約2割まで伸びた。近い将来には、これを5割程度にしたいというのが竹田氏の青写真。
「そしていずれは、巨大マーケットである北米に進出し、さらなる成長を目指したいと考えています。そのステップとして、今は親日国で足への関心が強い台湾とタイ、そして、北米と同じ英語圏であるシンガポールで、公社の皆様から学んだノウハウを生かしながら実績を積み重ねたいと意気込んでいます」
三調・竹田氏からのひと言
「海外市場は国内と違う部分があり、苦労することも少なくありません。ただ、自分の目で市場を観察し、自分で商談をして売れると、『自社製品は海外でも売れるのだ』という自信が持てるようになるのです。公社の事業を利用すれば、不安を減らしながらの海外進出が可能。皆さんも、ぜひ挑戦してはいかがでしょうか」
三調・海外進出の道のり
| 2021年2月 | 海外展開プランの策定支援スタート |
| 2023年1月 | 海外販路開拓支援プログラムスタート |
| 2023年3月 | 台湾で海外初のテストマーケティングを実施 |
| 9月 | タイ・バンコクの展示会「バンコク日本博2023」に出展 |
| 2024年1月 | ドイツ・フランクフルトの展示会「アンビエンテ2024」に出展 |
| 2024年12月 | 香港でテストマーケティングを実施 |
会社概要
三調株式会社
- 創業:2013年
- 代表取締役:竹田抄百合氏
- 資本金:100万円
- 従業員数:2名
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所在地:
東京都中央区日本橋大伝馬町13-7 日本橋大富ビル2階 -
URL:http://sancho-corp.com
http://footfree.jp
(注釈)
- ※1.営業経験や製品開発の経験が豊富な「ビジネスナビゲータ」から、売れる仕組みづくりや販路開拓に関わる支援を受けられる事業
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※2.プランマネージャー
海外駐在経験を持ち、海外ビジネスプランの策定を支援する専門家。海外展開への助言、現地市場・商品情報の収集、プラン策定後のフォローアップなどを担当する。 -
※3.グローバルナビゲータ
商社やメーカーなどのOBで、輸出取引の経験が豊富な、海外ビジネスの専門家。支援が始まると1名のグローバルナビゲータが各支援企業様の担当となり、海外販路開拓のハンズオン支援を行う。
関連する支援
海外販路開拓支援
貴社の海外市場への挑戦を成功に導くため、専属のグローバルナビゲータが2年間ハンズオン支援で伴走し、海外の販路開拓を支援します
海外展開プランの策定支援
商材の特徴や強み、ターゲット国/地域、商流・営業体制など、「何を」「どこに」「どうやって」の3つの軸で貴社の海外展開プラン作りをサポートします!