2026.10.16
海外マーケティングとは?定義や手法、中小企業の成功事例を紹介
海外マーケティングを成功させるポイントは、現地市場を理解し、対象国と施策を絞って取り組むことです。国内市場の成熟や人口構造の変化を背景に、海外へ販路を広げたいと考える中小企業は増えています。しかし、言語や文化、法規制、商習慣が異なる市場では、国内で成功した方法をそのまま持ち込んでも成果につながるとは限りません。
そこで本記事では、海外マーケティングの定義や国内との違い、代表的な手法、戦略の立て方について体系的に解説します。メリット・デメリットや中小企業の成功事例、よくある質問とその回答もご紹介しますので、海外マーケティングを始めるための第一歩としてお役立てください。
目次
1. 海外マーケティングとは?国内マーケティングとの違い
海外マーケティングで最も重要なのは、海外へ商品を出すこと自体ではなく、現地の顧客と市場に合わせて商品や売り方を最適化することです。海外市場では、国や地域によって顧客の価値観や市場環境が大きく異なるため、それぞれの特性を踏まえて戦略を調整する必要があります。まずは、以下3つのポイントから全体像を見ていきましょう。
- 海外マーケティングの定義
-
国内マーケティングとの5つの違い
- 海外マーケティングが注目される背景
1-1 海外マーケティングの定義
海外マーケティングは、海外市場の顧客を対象に、商品開発や価格設定、販売促進、流通、顧客対応などを行う活動の総称です。単に日本の商品を海外へ輸出・販売するだけでなく、進出候補国の調査から顧客の獲得、販売後のフォローまで、幅広い取り組みが含まれます。
例えば、現地の嗜好に合わせた商品の開発、多言語Webサイトの制作、海外向け広告、越境EC、現地代理店との連携などが代表例です。現地顧客が抱える課題や購買行動を理解し、自社の商品とその伝え方を市場に合わせて最適化することが、海外マーケティングの基本となります。
1-2 国内マーケティングとの5つの違い
国内マーケティングとの最大の違いは、国・地域ごとに前提条件が変わることです。日本で一般的な決済方法やSNSが進出先では利用されていないなど、国内での成功パターンをそのまま適用できない場合もあります。戦略を立てる前に、具体的な違いを以下の5つに分けて確認しておきましょう。
- ① 言語・文化・商習慣の違い
- ② 通貨・決済手段の違い
- ③ 法規制・関税の違い
- ④ 広告媒体・SNS環境の違い
- ⑤ 市場規模・競合環境の違い
① 言語・文化・商習慣の違い
海外展開では、言葉を翻訳するだけでなく、現地の文化や価値観に合わせた対応が必要です。同じ色や数字、写真、広告表現であっても、国や宗教によって受け取られ方が変わり、購買意欲に異なる影響を与えることがあります。
商談の進め方や意思決定の速さ、取引先との関係構築の方法にも地域差があります。現地顧客の感覚や商習慣を調査し、商品名やデザイン、広告、接客方法まで含めてローカライズすることが重要です。
② 通貨・決済手段の違い
海外の顧客へ販売するには、現地通貨と主要な決済手段への対応が欠かせません。購入意欲が高い顧客であっても、普段利用している決済方法がなければ、注文完了前に離脱する可能性があります。
地域によってはクレジットカードだけでなく、電子決済や銀行振込、後払い、代金引換などが好まれます。また、為替変動は販売価格や利益に影響するため、価格改定の基準や為替リスクへの対応も決めておくことが重要です。
③ 法規制・関税の違い
商品を海外で販売する際は、進出先の法律や輸入規制、関税、表示義務などを確認しなければなりません。食品や化粧品、医療関連商品、電気製品などでは、国内とは異なる成分の表示や安全認証、現地語での説明を求められる場合があります。
広告表現や個人情報の取り扱いに関する規制も国ごとに異なります。違反による販売停止、商品の回収、罰則を避けるため、進出前に専門家や支援機関へ相談し、必要な手続きと費用を把握しておきましょう。
④ 広告媒体・SNS環境の違い
海外マーケティングでは、対象地域で実際に利用されている検索エンジンやSNS、動画サービス、メッセージアプリを選ぶ必要があります。日本で利用者の多い媒体が、海外でも同じ影響力を持つとは限りません。
同じ国でも、年代や職業によって主要な媒体や利用目的は異なります。媒体ごとの利用者層、広告形式、費用、投稿への反応を調査し、ターゲットへ届きやすいチャネルに予算を配分することが重要です。
⑤ 市場規模・競合環境の違い
進出先を選ぶ際は、市場規模だけでなく、競合企業や参入障壁も確認しましょう。人口や経済規模が大きな市場でも、競争が激しければ、顧客の獲得やブランドの認知に多くの費用と時間がかかります。
一方、市場全体は小さくても、自社の技術や品質が高く評価されるニッチ市場が見つかる可能性もあります。市場の成長性や競合の強さ、顧客ニーズ、自社の優位性を比較し、勝算のある市場を見極めることが大切です。
1-3 海外マーケティングが注目される背景
海外マーケティングが注目されているのは、海外市場への挑戦が中小企業にも現実的な成長手段になったためです。国内市場の成熟や人口構造の変化によって、国内需要だけでは継続的な成長が難しいと考える企業が増え、新たな顧客や販路を海外に求める動きが広がっています。
以前は海外進出に多額の投資が必要でしたが、現在は越境ECやSNS、デジタル広告、オンライン商談などを活用し、中小企業でも小規模に市場の反応を確かめられます。国内市場だけに依存せず、成長機会を確保する手段として、海外マーケティングの重要性が高まっているわけです。
2. 海外マーケティングのメリット・デメリット
海外マーケティングは成長の機会を広げられる一方、国内事業にはないコストとリスクも伴います。そのため、期待できる効果だけで判断せず、どのような課題に直面しうるのかまで事前に把握することが重要です。自社に適した進出方法を判断できるよう、ここではメリット・デメリットの両面を見ていきましょう。
2-1 海外マーケティングの4つのメリット
海外マーケティングのメリットは、販売先を増やせるのはもちろん、事業の安定性や商品開発力を高められることにもあります。さらに、事業リスクの分散や利益率の改善につながる可能性もあります。具体的なメリットは、以下の4つです。
- ① 新規顧客・市場を獲得できる
- ② 複数市場への展開でリスクを分散できる
- ③ 差別化により利益率を改善できる可能性がある
- ④新たなインサイトが得られる
① 新規顧客・市場を獲得できる
海外マーケティングの大きなメリットは、国内以外の新たな顧客へ接点を広げられることです。国内市場が成熟していても、海外には需要が伸びている地域や、まだ十分に開拓されていない市場があります。
日本では一般的な商品でも、海外では品質や機能、独自性が評価され、新たな需要を生む場合があります。自社の商品を必要とする市場と顧客を見つけることで、売上拡大や継続的な成長につなげられるでしょう。
② 複数市場への展開でリスクを分散できる
複数の国や地域へ展開すれば、特定市場への依存を減らし、事業リスクを分散できます。国内の景気悪化や需要減少が起きても、別の市場の売上によって影響を補える可能性があります。
ただし、進出先を一度に増やしすぎると、管理コストや対応負担が大きくなるため注意が必要です。まずは優先すべき市場に絞り、市場ごとの政治・経済リスクや事業性を見極めながら、段階的に展開先を広げましょう。
③ 差別化により利益率を改善できる可能性がある
海外市場では、自社の商品や技術の希少性を生かし、過度な価格競争を避けられる場合があります。国内では競合が多い商品でも、進出先では品質や機能、ブランドの背景などが差別化要因になる可能性があります。
例えば、日本製であることや高い技術力、丁寧な製造工程が付加価値として評価されることがあります。現地顧客が重視する価値を明確に伝え、納得感のある価格を設定できれば、利益率の改善も期待できます。
④ 新たなインサイトが得られる
海外顧客の反応を得ると、国内市場では気づかなかったニーズや活用方法を発見できることがあります。国や地域によって生活習慣や抱える課題が異なり、同じ商品にも別の価値が見いだされるためです。
想定外の用途で商品が利用され、新商品の開発や仕様改善につながるケースもあります。現地の顧客や取引先から得た声を海外事業だけでなく国内事業にも生かすことで、商品やサービス全体の競争力を高められます。
2-2 海外マーケティングの4つのデメリット
海外マーケティングのデメリットとしては、さまざまなリスクや不確定要素に対応していく必要がある点が挙げられます。準備が不足すると、想定以上のコストや販売停止などの問題につながる可能性があります。ここでは、主なデメリットを以下の4つに整理します。
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① 言語・文化対応に手間とコストがかかる
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② 法規制・関税面の対応が煩雑である
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③ 為替・物流コストの変動が大きい
- ④ 常にカントリーリスクが潜んでいる
① 言語・文化対応に手間とコストがかかる
海外展開では、言語や文化に合わせて商品、広告、問い合わせ対応などを調整する必要があります。単純な翻訳では、商品の魅力が伝わらなかったり、意図しない誤解を招いたりする可能性があります。
多言語サイトや現地向け広告の制作、顧客サポートには人材と費用も必要です。最初からすべての地域へ対応するのではなく、優先市場から始め、現地人材や外部パートナーを活用して負担を抑えましょう。
② 法規制・関税面の対応が煩雑である
海外で商品を販売する場合、進出先ごとの法規制や関税、認証制度への対応が必要です。規制を把握していないと、商品を輸出できなかったり、販売開始後に回収を求められたりするおそれがあります。
特に食品や化粧品、電気製品などは、認証取得や現地特有の表示が必要になる場合があります。進出前に専門機関や専門家へ相談し、手続きに必要な期間と費用を事業計画へ盛り込むことが重要です。
③ 為替・物流コストの変動が大きい
海外取引では、為替レートや国際物流費の変動によって収益が不安定になる可能性があります。同じ販売価格でも、為替の動きによって円換算した際の売上や利益が変わり、原材料や輸送のコストも影響を受けます。
燃料費の高騰や輸送遅延、保管費用の増加によって、想定以上の負担が生じることもあるでしょう。為替変動を考慮した価格設定、複数の物流ルートの確保、在庫の適正化など、継続的な収益管理が必要です。
④ 常にカントリーリスクが潜んでいる
海外事業では、進出先の政治や経済、社会情勢の変化にも注意が必要です。政権交代や紛争、輸入規制、外貨規制、制度変更などにより、販売や代金回収、事業の継続が難しくなる場合もあります。
最新情報を定期的に収集し、事業へ与える影響を確認しましょう。市場や取引先を分散するとともに、投資上限や撤退基準、緊急時の連絡体制を事前に決めておくことが、損失の抑制につながります。
3. 海外マーケティングの主な手法
海外マーケティングの手法はさまざまですが、ターゲットが実際に利用する「接点」を重視して選ぶことが大切です。国内で実績のある媒体を優先するのではなく、現地顧客の情報収集や購買行動に合わせて選びます。オンラインとオフラインの代表的な手法を、以下の6つに分けて見ていきましょう。
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SEO・リスティング広告
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SNSマーケティング
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インフルエンサーマーケティング
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口コミ・レビューマーケティング
- O2O・OMOマーケティング
- 展示会・イベント
3-1 SEO・リスティング広告
海外の見込み顧客を検索経由で獲得するには、SEOとリスティング広告が有効です。自社の商品や解決したい課題について検索している、比較的購買意欲の高い顧客へアプローチできます。
施策を行う際は、現地語のキーワードと検索意図を調査し、Webサイトの内容や広告文、配信地域を最適化します。日本語のページを直訳するだけではなく、現地の検索行動や競合ページを踏まえてコンテンツを設計しましょう。
3-2 SNSマーケティング
商品やブランドの認知度を高めるには、SNSマーケティングが有効です。継続的な情報発信に加え、コメントや共有、メッセージを通じて顧客と関係を築けるため、企業の考え方や商品の利用イメージを伝えやすくなります。
ただし、国や年代によって主要なSNSや好まれる投稿内容は異なります。ターゲットが日常的に利用する媒体を選び、現地の文化やトレンドに合った写真、動画、文章を発信することが重要です。
3-3 インフルエンサーマーケティング
現地での認知や信頼を得る方法として、インフルエンサーの活用も挙げられます。商品紹介や体験レビュー、ライブ配信、共同企画などを通じて、企業からの広告だけでは届きにくい層へ商品の魅力や利用イメージを伝えられます。
起用時はフォロワー数だけで判断せず、ターゲットとの相性や投稿への反応率、過去の発信内容を確認しましょう。広告であることの表示など、進出先のルールを守ることも必要です。
3-4 口コミ・レビューマーケティング
海外で認知度の低い企業や商品ほど、実際の利用者による口コミやレビューが購入判断に影響します。ECサイトや口コミサイト、SNSなどに顧客の感想が蓄積されると、品質や使いやすさを利用者の視点から伝えられます。
購入後の案内などでレビュー投稿を促すとともに、否定的な意見にも丁寧に対応しましょう。顧客の不満を隠さず改善につなげる姿勢を示すことで、商品だけでなく企業への信頼も高められます。
3-5 O2O・OMOマーケティング
オンラインの情報発信と実店舗などのオフライン接点を組み合わせる手法が、O2O(Online to Offline:オンラインからオフラインへ)やOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)です。
「SNS広告から店舗へ誘導する」「店舗で試した商品をECサイトで購入できるようにする」など、顧客が複数の接点を行き来することを前提に体験を設計します。各接点で商品情報や価格が食い違うと、購入の妨げになります。オンラインと店舗の在庫、会員情報、問い合わせ履歴などを連携し、どこから接触しても一貫した購買体験を提供することが重要です。
3-6 展示会・イベント
商品の実物や技術力を直接伝えるには、海外の展示会やイベントへの参加が有効です。現地顧客や販売代理店、取引先候補と直接商談でき、短期間で関係を構築しながら、市場の反応や具体的なニーズを確認できます。
出展中の対応に加え、その後のメールやオンライン商談での継続的なフォローも重要です。海外展示会出展の具体的な流れについては、以下の関連記事もご覧ください。
>>海外展示会出展に必要な準備とは?成功に向けたポイントも解説
4. 海外進出を成功させる!マーケティング戦略立案の5ステップ
海外マーケティング戦略は、調査から始め、対象市場の決定、価値設計、実行、改善と順番に進めていきます。市場の大きさだけで進出先を決めると、自社の強みや顧客ニーズとのズレが生じることもあるため注意が必要です。以下の5ステップで自社に合った戦略を構築しましょう。
- STEP1:マーケットリサーチ・自社分析を行う
- STEP2:ターゲット市場・顧客を決める
- STEP3:提供価値とローカライズ方針を決める
- STEP4:施策を選定・実行する
- STEP5:効果測定・改善を繰り返す
STEP1:マーケットリサーチ・自社分析を行う
最初に、進出候補となる市場と自社の強みを客観的に分析します。市場規模が大きくても、自社の商品に需要がなかったり、規制への対応が難しかったりすれば、成果にはつながりにくいためです。
人口や経済成長率、市場規模、競合、規制、顧客ニーズなどの外部環境に加え、自社の技術力や供給能力、販売体制、予算を確認します。市場の魅力度と実現可能性を両面から評価し、進出する価値があるかを見極めましょう。
STEP2:ターゲット市場・顧客を決める
調査結果をもとに、優先して進出する国・地域と顧客層を具体的に決めます。対象を広く設定しすぎると、訴求内容が曖昧になり、広告や営業の予算も分散してしまいます。
国だけでなく、年齢や所得、職業、生活上の課題、情報収集方法、購買行動などを整理し、顧客像(ペルソナ)を明確にしましょう。自社の強みが評価されやすく、需要を獲得できる可能性が高い市場へ、限られた資源を集中させることが大切です。
STEP3:提供価値とローカライズ方針を決める
ターゲットが決まったら、「その顧客へどのような価値を提供するか」を明確にします。国内で評価されている特徴でも、海外顧客が同じ価値を感じるとは限りません。現地顧客が抱える課題と自社の強みが重なる部分を探しましょう。
商品の機能や価格、デザイン、名称、パッケージ、広告表現、サポート方法などを網羅的に検討します。ブランドの核となる価値は維持しつつ、現地の文化や利用環境に合った形へ調整することが重要です。
STEP4:施策を選定・実行する
提供価値とターゲットに合わせて、顧客へ情報を届ける施策を選びます。国や地域によって利用される検索エンジンやSNS、ECサイト、販売チャネルが異なるため、国内での実績だけを基準にしないよう注意が必要です。
SEOやWeb広告、SNS、インフルエンサー、展示会などから適した手法を選び、まずは限られた予算で試します。反応のよい商品やチャネルが見つかったら、段階的に投資を増やしましょう。
STEP5:効果測定・改善を繰り返す
施策の実行後は、事前に設定したKPIをもとに成果を測定します。売上だけを確認しても、認知・集客・商談・購入というフローの中でどこに課題があるかを把握できず、適切な改善策を立てられません。
リーチ数やサイト訪問数、問い合わせ数、購入率、顧客獲得単価、継続率などを段階別に確認します。市場と顧客の反応をもとに施策を見直し、検証と改善を繰り返すことが成果の拡大につながります。
5. 海外マーケティングを成功させる4つのポイント
海外マーケティング成功のポイントは、現地理解を起点に、小さく検証できる社内外の体制を作ることです。国内での成功手法をそのまま持ち込むだけでは、現地のニーズや商習慣とのズレが生じます。具体的には、以下4つのポイントを押さえて進めましょう。
- 現地の文化・ニーズを深く理解しローカライズする
- 信頼できる現地パートナーと連携する
- スモールスタートで検証しながら広げる
- 社内体制を整え、外部の支援制度も活用する
5-1 現地の文化・ニーズを深く理解しローカライズする
海外で商品を選んでもらうには、現地の文化と顧客ニーズに合わせたローカライズが欠かせません。言語を正しく翻訳しても、商品の価値や利用場面が現地の生活に合っていなければ、魅力は十分に伝わりません。
商品名やデザイン、価格、広告表現、販売方法、顧客対応を現地の価値観に合わせて調整しましょう。机上の調査だけでなく、顧客へのヒアリングや試験販売を行い、実際の反応をもとに改善することが重要です。
5-2 信頼できる現地パートナーと連携する
海外展開を円滑に進めるには、現地事情に詳しいパートナーとの連携が有効です。販売代理店や物流会社、マーケティング会社、法務・税務の専門家などから、自社だけでは把握しにくい規制や商習慣、流通構造、顧客ニーズの情報を得られます。
パートナーを選ぶ際は、実績や対応範囲、費用、情報共有の頻度を確認します。相手に任せきりにせず、役割や目標を明文化し、定期的に成果を確認できる関係を築きましょう。
5-3 スモールスタートで検証しながら広げる
海外マーケティングでは、最初から大規模に投資せず、対象地域や商品、施策を限定して始めることが重要です。市場調査だけでは、実際に商品が売れるか、どの訴求や販売方法が有効かを正確に判断できません。
越境ECや小規模なWeb広告、テスト商談、展示会への出展などで顧客の反応を確認し、成果の出た商品やチャネルへ段階的に投資を増やします。越境ECの進め方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
>>越境ECの始め方をゼロから5ステップで解説|よくある課題と注意点も紹介
5-4 社内体制を整え、外部の支援制度も活用する
海外事業を継続するには、担当者と意思決定の流れを明確にし、社内体制を整える必要があります。営業やマーケティング、法務、物流、製造など、複数部門が進捗と課題を共有できる仕組みを作りましょう。
自社に不足する知識や人材は、専門家や公的支援機関、現地パートナーを活用して補えます。社内外の役割分担を明確にすれば、限られた人員や予算でも海外マーケティングへ取り組みやすくなります。
6. 中小企業による海外マーケティングの成功事例
中小企業が海外販路を開拓する鍵は、自社の強みを顧客目線の価値へ変えるとともに、知見が足りない部分は外部リソースに頼ることです。成功している企業は、現地のニーズを確かめながら小規模な商談や販促活動から検証し、専門家の伴走支援や展示会、現地パートナーとの連携を組み合わせています。具体例として、以下2つの事例をご紹介します。
- 現地の生のニーズを起点に販路を拡大
- 伴走支援を活用し海外売上が5年で100倍に
6-1 現地の生のニーズを起点に販路を拡大
株式会社日本バリアフリーが販路を広げられた最大の理由は、現地顧客の声を起点に提案内容を変えたことです。同社は鮭の未利用資源から健康食品や化粧品の原料を開発しています。当初は自社で海外展開に取り組んでいましたが、顧客と直接対話する機会が少なく、現地ニーズの把握に苦戦していました。そこで、東京都中小企業振興公社の海外販路開拓支援事業を利用されます。
マッチング商談会を通じて顧客と意見交換し、自社製品を一方的に売り込むのではなく、相手の要望を深掘りしたうえで提案内容を調整しました。その結果、現地商談では6社中3社から発注を獲得しています。
>>公社海外事務所から得た「顧客の生のニーズ」が大きな助けに
6-2 伴走支援を活用し海外売上が5年で100倍に
志村精機製作所の成長を支えたのは、技術の高さだけでなく、「顧客に伝わる価値」へと訴求ポイントを変えたことです。同社は高い精密加工技術を強みとしていますが、2019年に出展した海外の展示会で「国内展示会とは違うノウハウが必要だ」と認識しました。そこで翌年以降は公社の海外販路開拓支援事業を利用し、専門家の助言を受けながら海外展示会へ継続的に出展しました。
そして、展示会での訴求を「技術力の高さ」から「たった1つの部品でも試作OK」に変えたところ、顧客に提供できる価値が伝わりやすくなり、成果につながり始めたのです。海外売上は2020年度の約100万円から、2025年度には1億円を超える見込みとされています。
>>きめ細やかな支援を受け、海外売り上げが5年で100倍に
7. 海外マーケティングに関するよくある質問(FAQ)
海外マーケティングは、専門人材がいない企業でも、対象と予算を絞り、外部支援を活用すれば始められます。判断時に迷いやすい点を解消するため、ここでは以下3つの質問に回答します。
7-1 国際マーケティングやグローバルマーケティングとの違いは何ですか?
これらの言葉に統一された明確な定義はなく、同じ意味で使われることもあります。
一般的に海外マーケティングは、単一国・複数国を問わず、海外市場を対象に行うマーケティング活動全般を指します。国際マーケティングは、国境を越え、進出先ごとに戦略を立てる考え方として使われる傾向があります。
そして、グローバルマーケティングは、世界全体を一つの市場として捉え、共通戦略を軸にしながら各国・地域へ最適化する考え方を指すことが多いです。実務では用語の違いよりも、関係者間で認識を揃えることが重要です。
7-2 海外マーケティングにかかる費用・期間はどれくらいですか?
必要な費用と成果が出るまでの期間は、進出先や商材、施策、事業規模によって大きく異なります。市場調査や海外向けパッケージの試作、小規模な広告配信などは、対象を絞れば数十万円、数カ月単位で検証できる場合があります。一方、現地拠点の設置や大規模な流通網の構築には、より多くの費用と時間が必要です。
使える予算の上限と段階別のKPIを最初に設定し、優先度の高い市場や施策へ絞って小規模な検証から始めましょう。検証結果に応じて追加投資を判断することで、費用を管理しながら事業性を確認できます。
7-3 英語や海外マーケティングに詳しい人材がいなくても取り組めますか?
専門人材が社内にいない企業でも、公的支援機関やコンサルタント、現地代理店などを活用すれば、海外マーケティングに取り組めます。市場調査や規制確認、商談支援など、自社に不足する知識や業務を外部から補うことが可能です。
ただし、すべてを外部へ任せるのではなく、社内にも責任を持つ担当者を置きましょう。外部パートナーとのやり取りや検証結果を記録し、知見を社内に蓄積することで、継続的に判断・改善できる体制を作れます。
8. 戦略的な海外マーケティングで販路を広げよう
海外マーケティングで販路を広げるには、市場調査と自社分析を行い、対象国や施策を絞って小規模な検証から始めることが重要です。新たな顧客や市場を獲得し、国内市場への依存を減らせるというメリットがある一方、言語や文化、法規制、為替、物流など、国内とは異なる課題に対応することも求められます。
まずは進出候補を一つ選び、顧客ニーズと自社の強みを照らし合わせることから始めましょう。現地パートナーや外部支援も活用し、顧客の反応をもとに改善を重ねれば、リスクを抑えながら販路を広げられます。
東京都中小企業振興公社では、都内中小企業向けの各種支援をご用意しています。自社だけでの準備や現地対応に不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
海外販路の開拓支援プログラム
都内中小メーカーの海外市場への挑戦を成功に導くため、専属のグローバルナビゲータが2年間ハンズオン支援で伴走し、海外展示会出展・商談会開催・テストマーケティング実施などで海外の販路開拓を支援します。
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海外展示会出展支援
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【執筆】
東京都中小企業振興公社 販路・海外展開支援課