知財センター活用事例「株式会社フジタ医科器械」
アンテナを張ったマッチングからさらなるオープンイノベーションへ
1972年に設立し、1985年からは脳神経外科用の医療機器の製品開発、製造・販売をスタート。業界での高い評価を得ている。
常に医師のニーズの把握に努め、ファブレスの強みも活かし、さまざまな中小メーカーの技術を大切に守り育てながら、コミュニケーションとともに、機動力のある技術・製品開発を展開。
また、脳神経外科以外の新しい分野にも挑戦し、事業を拡大している。
主な権利
- 2021年:特許 第6844842号 (芝浦工業大学 開放特許)
会社概要
- 所在地:東京都文京区本郷3-6-1
- 電話:03-3815-8810
- URL:http://www.fujitaika.co.jp
- 業種:医療機器製造販売・卸売業など
- 設立:1972年(昭和47年)
- 資本金:7,900万円
自社製品に関わる事例を通じ知財マインドを醸成
手術に使われる鉗子(かんし)という器具を目にした人は多いだろう。刃のないハサミのような形をしたものであるが、こうした鋼製小物を中心に、主に脳神経外科における医療を支え続けてきたのが、株式会社フジタ医科器械。医師との二人三脚による「医工連携」で、現場をサポートするさまざまな技術や製品を生み出してきた。
知財センターを積極的に活用するようになったのは割と最近のことで、ニッチトップ育成支援
を通じてさらに関係が強まった。商品企画管理課の秋田谷課長は「私と薬事関係の2人の担当者を中心に、当社が保有している知財について改めて学ぶところからスタートしました。一般的な知識や調査方法なども学びましたが、あくまでも当社の場合について、実際の具体的なトピックスで教えてもらったことがとても勉強になったと感じています」と語る。
知的財産マッチング会で大学の発表内容に興味を持つ
そんな同社は、2018年2月の知的財産マッチング会に参加した。この会は、知的財産活用製品化支援事業の一環として、年2回開催されるもの。知財センターの製品化コーディネーターが大手企業や大学などの開放特許技術を、製品開発などに課題を抱える都内中小企業に紹介して両者のマッチングを行い、製品化を支援している。ここで、同社が注目したのが芝浦工業大学による「脳腫瘍連続摘出鉗子の開発」という発表シーズだった。
これは、切除した生体組織を速やかに回収できる鉗子とそのシステム。従来の腫瘍採取では鉗子の挿入・抜出しを何度も繰り返す必要があったが、この新たなアイデアでは鉗子に採取組織の吸引機構が備えられ、一度の鉗子挿入で連続的に採取が可能となる。医師をサポートできる、興味を惹かれる内容であったため、その後の個別面談に申し込み、芝浦工業大学の研究推進担当者との面談を行った。
医師視点での製品開発により業界でも頼りにされる存在に
「何かと何かを組み合わせて新たなものを開発すること、医師の先生と一緒にアイデアを出しながら形にしていくことが、当社は多いんです。このアイデアも組み合わせを追求したものですし、ぜひ実用化に向けて挑戦しようということになりました」と秋田谷課長は語る。
同社の強みは、業者でありながらメーカーの機能を持っていることだという秋田谷課長。「使った人がいいねと言って、先生が先生にPRしてくれることが、当社はとても多いんです。それは大きな強みですよね。そういう口コミでだんだん製品が広がっていく。当社はメーカー視点でプロダクトを売っていくというよりも、先生視点で、医師がほしがっているものを開発していくスタンスが強いです。だから先生方もいろんな情報を『フジタに聞けば分かるよ』と言ってくださることが多い。それで地方の業者さんから問い合わせの電話を受けて『その製品はウチのじゃなくて、他社のものなんですよ』と紹介してあげたりするんです。当社だけが良ければいいというスタンスではなく、業界全体のことを考えていますから、他社製品についても常にアンテナを張っています」
そんな同社であるからこそ、マッチングにアンテナを張り、しかも医師寄りの立場で新たな製品づくりにトライできているのかもしれない。
さまざまなハードルを乗り越えながら試作品を開発
その後は、製品化コーディネーターによる調整のもと、フジタ医科器械と芝浦工業大学、さらに東京女子医科大学を含めた3者による共同研究を行うことで話が進められた。ただし、実用化に向けてはさまざまな技術的ハードルがあった。「正直なところ、当初はかなり難しいだろうという想いもありました。でも、芝浦工業大学の学生さんによる試作品で動作を確認して『これなら行けるのでは』という光も見えてきました」
しかし、実際に使うのは医療の現場である。「新しい発想のものを作るのは割と簡単でも、それがしっかり動くかどうかというと非常に難しいのです。製品化するためには、数々の問題をクリアしなければいけません」
大切なのは情報収集・発信と相互のコミュニケーション
3者による検討は続いた。多くの試作と改良を重ねる過程で、知財センターの「知的財産活用製品化支援助成事業」に申請を行い、無事に採択される。また、試作期間を延長している間に、芝浦工業大学の特許も2021年に登録された。その後はライセンス契約の交渉に入り、ロイヤリティの合意に至る。
しかし、まだ苦労は絶えない。製品がすぐに壊れるようなものではいけないし、いくら便利でも重たくて操作性が悪くてはいけない。手術をサポートするには強度とともに軽量化も欠かせない。信頼性を高めるためにサイズを大きくすると、今度は大きすぎるという問題も出てくる。常に新たな課題と向き合いながら改良を重ね、一応の形にまでたどり着いたのが2022年3月。今後の発売に向けて、より良い製品へと粘り強くチャレンジは続く。
普段から情報収集力と発信力、そしてコミュニケーション力を大切にしている同社だからこその連携パワー。オープンイノベーションはさらなる広がりとともに、この国の医療をもう一歩押し進めようとしている。
知財センターからのメッセージ
開発プロセスの各段階における契約もサポート
知財マッチング会における開放特許を有する大学とのマッチングから、共同研究、試作品開発、ライセンス契約交渉の段階まで、さまざまな場面でサポートしてきました。新設された「知的財産活用製品化支援助成事業」も有効活用されました。医工連携・産学連携の取り組みの中で、医療技術の前進が期待されます。
担当:木村製品化コーディネーター
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特許
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