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知財センター活用事例「株式会社エクセルシア」

ウガンダ、ボリビア、キルギス、モンゴル…特許の技術は世界中の笑顔のために

いざという時の災害用携帯トイレのパイオニアであり、国内に留まらず「すべての人に衛生的で安全なトイレを」という世界トイレ宣言!を発し、世界中の人々に笑顔を届けている。
トイレ問題を解決するだけではなく、地球の環境問題や医療現場の大きな問題にも深く関わり、新たな技術を中心にSDGsにつなげるアイデアとソリューションが注目を集めている。

代表取締役社長
代表取締役社長:足立 寛一さん

主な権利

  • 2017年:特許 第6226409号
  • 2019年:特許 第6579459号
  • 2022年:特許 第7029868号
  • 2015年:商標登録 第5742785号
  • 2021年:商標登録 第6462778号

会社概要

  • 所在地:東京都世田谷区若林3-30-2
  • 電話:03-5431-7341
  • URL:https://www.excelsior-inc.com
  • 業種:ドライトイレ事業、災害用の簡易トイレの製造・販売など
  • 設立:1997年(平成9年)
  • 資本金:2,900万450円

代表取締役社長
代表取締役社長:足立 寛一さん

素人の視点や新たな発想がブレイクスルーにつながる

ほっ!トイレ
同社を代表する商品である災害用携帯トイレ「ほっ!トイレ」。近年は災害時だけではなく、アウトドアの必携アイテムなどにも活用の幅を広げている。

 「当社を設立した1997年は、日本でダイオキシンが大きな社会問題になっていました。以前から当社はダイオキシンの分解技術に注力し、鹿児島の川辺町…今の南九州市に大きなプラントを作って取り組んでいました。そうした化学技術を活かして、何かエンドユーザーまで届けられるものを作りたいと2005年頃から開発したのが、『ほっ!トイレ』という災害用携帯トイレ。多くのトライ&エラーを積み重ねて今の形になりました」。そう語るのは、株式会社エクセルシアの足立社長だ。「ほっ!トイレ」は、ハンドバッグにも入る携帯サイズで、組み立てが簡単。タブレット状の薬剤が、包み込むように排せつ物を固めるので、殺菌して臭気をカットし、可燃ゴミとして処分できる。「私は理系ではなく、文系の人間。ですから最初は素人の実験でした。でも、それが良かったんだと思います。セオリーではないやり方にも挑戦しながら、常識では考えられないブレイクスルーのポイントを見つけることができたと感じます」

ほっ!トイレ
同社を代表する商品である災害用携帯トイレ「ほっ!トイレ」。近年は災害時だけではなく、アウトドアの必携アイテムなどにも活用の幅を広げている。

除菌効果の実証によって医療を支える可能性が膨らむ

 TVで紹介されるなど今では広く知られるようになり、種々の場面でいざという時のために備えられている「ほっ!トイレ」。足立社長は「今後は災害時のみならず日常的にも使ってもらえるものにしたいです。その一つが、登山時のトイレ用。また、車の中に用意しておくと、乗り物酔いした時の嘔吐物の処理に使えます。さらには、冬に大雪で閉じ込められた時のトイレとして、日本海側でよく売れています。本当にさまざまな用途で使ってもらっています」と語る。
 さらに現在は、携帯トイレに使っていたタブレットの技術を活かして、医療の現場でも大きく貢献しようとしている。開発したのは「IN-DASH(インダッシュ)」というシリーズの、内視鏡や手術室から排出する廃液を回収するボトル。千葉大学との共同研究によりタブレットは菌やウイルスに対する効果が確認されている。
 「除菌効果が証明されたことで、今後はさらに院内感染防止の商品として成長する大きな可能性が広がりました。災害時のトイレとして備蓄しているものを、消化器感染症の院内感染が起きてしまった場合にも利用できるんです。患者さんを個室に隔離し、当社のタブレットで嘔吐や排せつに対応して処理することができます」
 そして、この取り組みは既に日本を飛び出し、アフリカのウガンダで検証されている。JICA(独立行政法人国際協力機構)の支援事業に採択され、消化器感染症の広がりを防ぐと期待されているのだ。

IN-DASH
医療現場のために開発された「IN-DASH」。内視鏡廃液回収容器用消臭
パウダーをはじめ、今後の用途の拡大が期待される。
ボリビアでのプレゼンテーションの様子
南米のボリビアでのプレゼンテーションの様子。
「ほっ!トイレ」はもはや、世界のコトバになりそうである。

特許は見晴らしのよい「城」であり攻められにくい

 そんな足立社長、特許についてこんな興味深いことを語った。「特許とは『城』だと思っています。安土城跡などへ実際に行ってみると、戦国時代の城は、攻められにくく守りやすいとよく分かります。そして、とても見晴らしがいい。これは特許に似ている発想ですね。特許という城をしっかり造っておくと、相手が攻めにくくなる。また、攻めるのに時間がかかっている間に、こちらは新たな発明やビジネスを生み出すことができる。ですから、知財は本当に大事だと思います。知財とビジネスの方向性をどう組み合わせるかが、市場規模が大きくなるほど重要になるでしょう。あとは、海外展開ですね。私が特に注目しているのは、中国、韓国、そして製薬大国でもあるインド。この国々への特許出願は継続して考えたいです。特許はその国の産業保護という側面もあるでしょうから、今後は成長するASEANなどの知財に関する取り組みにも注目していきたいです」

海外展開する中小企業にも知財センターの活用は有効

 知財センター別タブで開くを最初に訪れたのは2009年、外国特許出願費用助成事業別タブで開くの件である。その後も継続して利用し、費用の助成が行われた。また、グローバルニッチトップ助成事業別タブで開くも活用するなど、海外案件で積極的に知財センターに相談していた。海外進出における知財への取り組みについて尋ねると、「今後は外貨を稼ぐべき時代なのではないかと予測します。そうすると、中小企業であっても海外へ出た方が良いかもしれませんね。その場合、知財をどうしていくかは非常に重要だと思います。知財センターのような機関を上手に利用していくべきでしょう」

イノベーションを取り入れて明日をどんどん変えていく

 同社はこの他にも、世界各国の多くの人々のために、極めて重要な数々の取り組みを行っている。下水処理に悩み、環境汚染に苦しんでいるボリビアのウユニ塩湖の周辺でも同社のタブレットを使い、最後はミミズに分解させて土に還すプロジェクトが進んでいる。また、モンゴルやキルギスでは、「Mt.Fuji Toilet」という仮設トイレのプロジェクトが進行。このトイレに関しては2023年に環境省とパートナーシップを締結し、2024年から乗鞍高原でキャッシュレス有料トイレの実証実験を始めるという、また違った方向からのアプローチも進んでいる。
 「新しいアイデアや技術によってイノベーションが入ってくると、次の展開が見えてきます。要は知恵を出すことで、明日はどんどん変わっていく。将来は、宇宙のトイレにも取り組みたいですね」と語る足立社長の笑顔が輝いていた。

Mt.Fuji Toilet
中央アジアのキルギスでの「Mt.Fuji Toilet」。ブースを現地で制作してキャンプサイトに設置し、実際に使用した。

知財センターからのメッセージ

多くの人との出会いからもアイデアや発明が生まれる

足立社長はとてもバイタリティー溢れる方で、世界中に足を運んで活動されています。また、国内外を問わずさまざまな関係先と協議を進める中で新しいアイデアをどんどん生み出し、新たな発明にも結びつけています。応用先の幅も非常に広いため、海外展開も含め継続した知財への取り組みがますます重要となるでしょう。
担当:阿部アドバイザー

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