知財センター活用事例「イリスコミュニケーション株式会社」
知財に関するアドバイスを受けながらすべての人に彩りある世界を届けたい
研究開発型ベンチャー企業であり、IRISHUE(イリスヒュー)という個々人の明るさの感受性を含む色覚特性を簡単かつ定量的に測定できる世界初のシステムを開発。
「アーレン症候群」などまぶしさを感じる人や色覚に不便を感じている人など、すべての人に心地よい明るさで色彩豊かな世界が見えるレンズをオーダーメイドで提供している。
取締役:伊藤 千絵さん(中右)
浅見 日和さん(左)涌田 明夫さん(右)
主な権利
- 2018年:特許 第6440054号
- 2021年:特許 第6850952号
- 2022年:特許 第7045674号
- 2019年:商標登録 第6203192号
会社概要
- 所在地:東京都千代田区内神田3-24-4 ナインステージカンダ1F
- 電話:03-6822-9168
- URL:https://iris-cmm.com
- 業種:視覚メカニズムに関する研究・開発・製造・販売など
- 設立:2014年(平成26年)
- 資本金:510万円
取締役:伊藤 千絵さん(中右)
浅見 日和さん(左)涌田 明夫さん(右)
「まぶしさ」によって多くの可能性が妨げられている
「大人が気づいてあげられない」ことや「大人が寄り添っても大きな改善につながらない」ことが、多くの子どもたちの未来を妨げている。目に入る「まぶしさ」のせいで、可能性を奪われてきた子どもたちがたくさんいる。光過敏症とも呼ばれる「アーレン症候群」に、多くの人が悩まされていることをご存じだろうか。本を読んだりノートに文字を書くだけで極端に疲労したり、頭痛や吐き気がしたり。子どもの学習障がいの原因の一つとしても、最近注目されている。
「受験会場で、コロナ対策のために立てられた白いパネルがまぶしすぎて、普段の力を発揮できなかったという子もいるんです」と、伊藤取締役はまるで自分のことのように残念そうに語る。しかし、ある眼鏡レンズをかけることで、「自力で絵が上手に描けるようになった」「読むことが夢だった小説を、一冊全部読みきることができた」といううれしい声もたくさん届くようになった。そのレンズが、イリスコミュニケーション株式会社が開発した「IRISHUE」である。
回転して見える、揺れて見えるなど、その症状はさまざまである。
女性の約0.2%と推定されている。その合計は約1千万人にもなる。
災害に強いネットワークと生体医工学を通じた強い絆
「IRISHUE」は、個々人の明るさ知覚・色覚特性を定量的に測定する独自装置・手法と測定結果に基づいた同社オリジナルのレンズ。このレンズで眼鏡を作ると、アーレン症候群の人は明るい場所でも快適に過ごせるし、いわゆる「色弱」の人は色の区別がしやすくなる。それぞれの人にフィットした「見え方」は、世界を変え、その人の可能性を広げていく。
そんなレンズを生み出したのは、脳の適応メカニズムの権威であり、東北大学名誉教授である矢野社長だ。
矢野社長と伊藤取締役の出会いは、東日本大震災の復興事業を通してだった。災害に強いネットワークを構築するというテーマで当時IT系の仕事をしていた伊藤取締役が、東北大学で生体の情報処理のメカニズムを研究していた矢野社長と出会う。「今やっていることと違うと言われるかもしれませんが、東北大学に『生体医工学』というジャンルがあり、いろいろなつながりがあって、視覚に関する研究を行うことになったのです。視覚には3つの要素(視力・明るさ・色彩)があり、視力については研究が進んでいますが、明るさと色彩に関してはなかなか進んでいないのです」と矢野社長は語る。
をはじめ、すべての人に心地よい明るさで色彩豊かな世界が見える
レンズを提供している。
社会との接し方を一緒に考え力になったアドバイザー
この研究を進め、会社を立ち上げ、レンズの製品化にこぎ着けた。当然、大切になってくるのは知財である。知財センターの外国特許出願費用助成事業
を活用したのは2018年。その後も2019年に外国商標出願費用助成事業
、2020年にはグローバルニッチトップ助成事業
を活用した。矢野社長はこう語る。「知財センターに費用を助成してもらい、事業化の後押しになったと感じます。研究だけに留まらず製品まで作り、社会との接点を得ることはとても大事です。原理から探ることと、現場から問題を追うこと、その両方を合わせることは重要です。私はビジネスの世界は知りませんでしたし、社会との接し方を一緒に考えてアドバイスしてくれると、研究もさらに進み、本当の意味で社会に役立つと実感します。世界規模で考えると10億人を超える人々が対象ですし、引き続きしっかりした研究を行わなくてはなりません。そうした意義を知財センターに認めてもらった気がするのです。資金的な支援だけではなく、さまざまな展開の助言までもらい、他の企業や組織との契約などについてアドバイスを受けたのも大きな力になりました」
将来を見据えた海外展開が知財など全体の戦略に大切
伊藤取締役も、こう続けた。「当社のような小さな会社では、なかなか知財戦略だけに人材などのリソースを割くことができません。それに知財戦略は難しく私たちには経験もありませんから、知財センターのアドバイザーから経験も交えた親身なアドバイスをもらえたことは貴重でした」
さらに矢野社長の「海外展開という面では、例えば中国や台湾における特徴など、国ごとに異なる対応についても助言してもらいました」という言葉に続けて、伊藤取締役からは「知財戦略からも将来をどう見据えて展開していくかが重要だと感じました。また海外での知財の取得はとてもお金がかかりますから、グローバルニッチトップ助成事業を活用できたのは本当にうれしかったです」という実感のこもった言葉が寄せられた。
見え方を変える力が新たな明日の景色を見せる
社名に付けられたイリス(IRIS)とは、ギリシャ神話に登場する虹の女神。また、目の虹彩という意味もある。すべての人に彩りある世界を届けたいという、真っすぐな想いが伝わってくる。
最後に矢野社長は「私たちが行っていることに具体的な効果があると分かることは、次の研究と事業展開の原動力になります。これからも社会と一緒に、前へ進んで行きたい。知財のことも含め、多くの人からフィードバックをもらって、そのサイクルによって前進したいです」と力強く語った。
同社の真実を見ようとする想い、そして彩りある世界を見せてあげたいという想いは、一人の、そしてたくさんの人の見え方を変える力になっている。新しい明日が、見えてきているのだ。
知財センターからのメッセージ
海外展開や共同開発契約など幅広くアドバイス
当初から国内とともに欧米などでの事業を計画している中で、中国でどのように事業を進めるべきかという相談をきっかけに知財センターを活用いただくようになりました。著作権、意匠、ノウハウ秘匿などのアドバイス、さらには他社との共同開発契約や共同出願契約に関する助言も行いました。
担当:西郷アドバイザー
ご活用いただいた支援メニューのご紹介
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