知財センター活用事例「合同会社RokaLabo」
夢の続きを見ながら知財とともに未来を変えることができる
文房具を中心とし、他にもゴルフ用品などのアイデア商品の企画・製造・販売を行っている。
ファイリングが簡単に便利にできる書類管理システム「pupuⓇシステム」の提供によって多くの人々に喜ばれ、第2回「東京シニアビジネスグランプリ」(2022年)ではこのシステムが高く評価されて奨励賞を受賞した。

主な権利・出願
- 2022年:意匠登録 第1720629号
- 2022年:意匠登録 第1720713号
- 2023年:商標登録 第6661157号
- 2023年:商標出願 2023-047653
会社概要
- 所在地:東京都世田谷区南烏山
- メール:rokalabo@outlook.jp
- URL:https://rokalabo.pupu.jp
- 業種:文房具やゴルフ用品などアイデア商品の企画・製造・販売
- 設立:2022年(令和4年)

画期的な書類管理システムで多くの人の仕事や生活に貢献
世田谷区、芦花公園駅のほど近くにあるラボ。文豪・徳冨蘆花が過ごしたことで知られる、風情あふれる地元にちなんで社名を付けた。2022年設立の合同会社RokaLaboだ。
代表の小野さんは、画期的な書類管理システムを開発した。これまでは書類にパンチ穴を開け、その都度ファイルの綴じ具を操作して抜き差しする手間のかかるファイリングが一般的だっただろう。しかし、小野さんが開発した「pupuⓇシステム」なら、綴じ具に一切触れずにワンタッチで綴じることができる。「pupuⓇシステム」の名前の由来の通り、綴じる時はpushで、引き出す時はpullで済む。ホルダー綴じ穴のハの字の切れ目が大きな特徴の一つであるが、使い方に慣れるととても簡単。書類の分類、管理、収納における効率を向上させ、仕掛かりの仕事や名刺の分類などにも大いに役立つ。多くの人の手助けとなる、情報整理のソリューションなのである。


インターネットを巧みに使い特許出願のベテランになる
小野さんは、以前は大手メーカーに勤務し、定年退職後には関連する中小企業4社で働いた。その際に、商品開発の手伝いを行いながらオンラインでの特許出願にも携わる。元々、開発の仕事をしていたこともあり、知財についてはその重要性をよく理解していた。
「ちょうどその頃、インターネットでも特許出願できるシステムができました。中小企業でしたから、自分でやるしかないと思いましたね。そうして経験を重ねるうちに、特許の出願に関してはスイスイ書けるようになりました。ただ、特許調査は自分だけで行うのは難しいですね。調査の大切さというものを今になって感じています」と小野さんは語る。
街で見かけた偶然の光景をアイデアにつなげる
「そうした経験もあって、今度は会社ではなく自分のアイデアで、自分の権利を取得してみたいと思うようになりました」と小野さん。前述の「pupuⓇシステム」を思い付いたのは、偶然に見かけた光景がヒントになった。「駅前の文房具店で、ベテランの女性店員さんが若いお客さんへの説明の最中に、そろそろ急行電車が来るからと帰ろうとした彼に、見せていたファイルのページを引き裂いて持って行きなさいと手渡したのです。なんでも、客によく聞かれる資料はコピーしてファイルしてあり、必要とあらば綴じ具を操作せずに綴じ穴が破けてもいいから引き抜いて持たせているとのこと。瞬時のことでしたが、その光景は私にとって衝撃的なものでした」
その時のことを繰り返し思い出しては、破かなくてもすぐに渡せる方法はないだろうかと考えていた小野さん。それがやがて「pupuⓇシステム」の開発につながった。偶然の出会いをアイデアにしたのだ。それは、少しでも誰かの役に立ちたいという想いからでもある。
知財センターのアドバイスは不得手分野の克服につながる
知財センターを利用するようになったのは、中小企業で働いていた頃からだ。「特許の出願で分からなかったり書けなかったりした部分が生じ、知財センターに通うようになりました。拒絶理由通知を受け取り、アドバイザーに相談して、やり取りしながら特許を取得したものもあります。そして『pupuⓇシステム』に関しては、総合的に特許ではなく意匠にしようという判断になりました。私は特許なら自信はありますが、意匠は難しい。知財センターのアドバイスが必要だった部分です。また、商標についてもお世話になりました」と語る。「最近では知財センターの重要性をますます感じています。実は、特許の請求範囲を狭くして応用の幅があまり広がらないものにすれば、特許を取ることはそんなに難しくはないと私は感じています。そこで、これから考えるものについても、引き続きアドバイザーからの助言をもらいながら、抜け道ができないように、強固な特許や知財にしたいですね。やっぱり人との出会いが一番大事ですし、アドバイザーとの出会いは宝物です」と小野さんは言う。
自分で考えたことが家族のためになるとうれしい

アイデアを考えて、手づくりを行っている時が、一番楽しいと語る小野さん。「私は面倒くさいことが大嫌いですから、面倒くさくならない簡単な方法を考えようとするのだと思います。自分が楽をしたい。私が家で行う仕事は部屋の掃除と風呂の掃除で、さらに新聞紙をまとめて処分するという役目もあったのですが、この作業が面倒だったので新聞を取ることをやめました」と笑いを誘う。
「ただしアイデアだけは、なぜか面倒くさがらずに一生懸命に考えます。興味を持ったことに関してはしつこいですね」と笑みを浮かべる。
一途な探究心とバイタリティーにあふれ、ホームページを自作したり動画サイトを立ち上げるなど、新たなことにどんどん挑戦し続けている小野さん。これからも自分がやりたいことを精一杯やっていきたいと語る。最後には「それで家族に迷惑をかけるようだったら、やらないですよ。自分で考えたことが家族のためになるのなら、もっといい。最終的にはそこを目指していますから」と優しい表情で語った。
年を重ねただけで、人は老いない。夢を失ったとき、初めて老いる。そんな言葉が好きだという小野さんの夢は続く。

知財センターからのメッセージ
アイデアのみならず実際の製造工程やコストも考慮
1枚のシートで、いかに簡単に作れて実用的なものにするか。「pupuⓇシステム」の発明においては単なるアイデアだけではなく、実際の製造工程やコストのことまで考慮されていることに感心しました。夢に向かってアイデアを生み出し、実現に必要であれば初めてのことにも意欲的に挑戦する姿勢には目を見張るものがあります。
担当:西岡アドバイザー
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