知財センター活用事例「足つぼ日本一」
後悔しないようにやり切るためにも 「思ったら即行動」で知財権取得へ
テレビ出演も多い著名な足つぼマッサージ師であり「足つぼ日本一 新橋店」には多くの客が訪れている。
その理論や経験を生かして近年はさまざまな商品開発にも乗り出し、会社を立ち上げて、靴の中敷きやサンダルなどを次々にリリース。
「人が喜ぶ笑顔が見たい」という想いとともに活動の幅をさらに広げ、世界へも目を向けている。

主な権利
- 2024年:特許 第7466241号
- 2023年:実用新案 第3241919号
- 2024年:意匠登録 第1769708号
- 2024年:意匠登録 第1769920号
- 2024年:商標登録 第6771780号
会社概要
- 会社名:株式会社ATN1
- 所在地:東京都港区新橋3-6-3 岩田ビル4F
- 電話:03-6206-1229
- URL:https://www.ashitsubonihonichi.com
- 業種:健康産業を担う生活関連サービス業
- 設立:2018年(平成30年)

祖母にマッサージを施して喜んでもらったことが原点
「日本一痛い足つぼ師」と自らを称するマッサージ師で、テレビのバラエティ番組などで芸能人が痛がる姿に見覚えがあるという人も多いだろう。「足つぼ日本一」の代表である與那嶺氏。そもそも足つぼマッサージを始めたきっかけは、どこにあったのだろうか。「祖父を戦争で亡くし、小さい頃には女手一つで働いていた祖母がいつも疲れていました。そこで、小学生の頃から揉んであげるのが自分の役割で、笑顔で喜んでもらったことが原点だと思います」と與那嶺氏は語る。
小中高校は野球部で活動。そこで培ったマッサージは、社会人になって同僚たちに施すととても喜ばれた。大手企業のサラリーマンだったが、書店で足つぼの本を手にし、見よう見まねでやってみたことも今につながっているという。その企業を退職し、足つぼマッサージ専門店に就職。その後はテレビ番組などでの活躍もあり、その存在と技術が世に知られることとなる。
コロナ禍を契機にノウハウを生かした商品開発に乗り出す

骨格に負担をかけにくい立ち方・歩き方をサポートし、こだわりの
突起が足裏を刺激。特許を取得した技術が使われている。

がり、利用者からは多くの驚きの声が寄せられている。
知財センターを初めて訪れたのは、まだコロナ禍にあった2022年のこと。「それ以前に都の創業助成事業を活用した際に、知財センターの情報を聞いたことが頭に残っていました」と與那嶺氏は語る。足つぼマッサージのサービスだけではなく、そのノウハウを生かしたさまざまな商品化に乗り出したこともコロナ禍が契機だったと言う。「もちろん以前から商品化の取り組みを考えてはいましたが、コロナによって店舗の売上だけでは必ず打撃があるだろうと考えました。研究を続けた技術やノウハウによっていろんな方々を健康に元気にしたいとは思っていましたが、直接のきっかけはそこです」
商品化となると、知財が大きく関わってくる。「こういうもので知財を獲得できますか? という、まったく知識がない中での問い合わせから始まりましたね」
意匠や商標などを自らの力で電子出願し登録にまで至る

店舗やユニフォームをはじめさまざまなツールに展開
している。
自らのことを知財に関しては素人だったと語る與那嶺氏だが、その後は知財センターとのやり取りも生かしながら、瞬く間に知財の知識を身に付ける。「文章の書き方についても教わるなどし、意匠、商標に関しては自分で電子出願システムを使って出願できるようになりました。必要な情報や資料ももらえたので、それに合わせて行いました。特許
に関しても弁理士同席での相談をはじめ、いろいろと教えてもらいました。とにかく何かあれば相談に来ていたという感じでしたね。同時並行でいくつかの案件がありましたから、最初のうちはおよそ 2 週間ごとに 通っていました」
それにしてもかなりの短期間に、多くの知財を出願し登録にまで漕ぎ着けている。「一気にやらないと忘れちゃうんですよ。ですから知財センターに先に予約を入れて自分にプレッシャーを与え、その日までに多くのことを片付けるようにしました(笑)」

店舗やユニフォームをはじめさまざまなツールに展開
している。
プラスαの情報も提供する知財センターのアドバイザー

知財についてしっかりと考え、積極的かつ迅速な行動へと駆り立てるものは何だろうか。「夢だけは大きいので、今押さえておかなければいけない、後になってから後悔したくないという想いは強いです。ですから最初に知財センターを訪れた時から『外国特許のことも相談できますか?』と尋ねていました。海外展開のことはもう最初から視野に入れていますね。確かに知財にはお金がかかるし大変な側面もありますが、助成制度について教えてもらったことも後押しになりました。そういうプラスαの情報も知財センターから教えてもらえるので、私の方では費用の見通しも成り立ちます」
そして今後も商品化のアイデアは山ほどあると言う。「何かできないかな、世の中で役に立てないかなという目で普段生活していますし、今後も次々に商品化されるでしょう。ですから、新しいことをするたびに必ず知財センターに相談に来ている感じです」

夕方に思い立ったら夜にはもう出願という積極性
改めて知財センターのアドバイザーについて感想を聞くと、「力強い言葉があって安心しましたし、頼ろうと思いました。訪れる前の勝手なイメージとしては、いかにもお役所みたいなところかと思っていたんです。ところがとても話しやすいし、こちらのことも信頼してもらえたと思います。そもそも私は、特許や商標という言葉は知っていましたが、意匠というのは知財センターへ来て初めて知ったくらいです。それぞれの棲み分けや考え方を一から聞いたことで、今では自分で意匠を出願できるまでになりました。商標も夕方に思い立ったらその日の夜にはもう出願している感じですね」
そして「知財センターに来る前はみんなから『こんなもので特許なんか取れないよ』と言われていました。それでも、なんとしても知財を取りたいという想いがありました。今では各メーカーも安心して付き合ってくれますし、知財を持っている大きさを実感しています。これからも自分の技術やノウハウを守るためではなく、攻めるために取得していきたいです」と力強く語る。
「後悔しないようにやり切る」ことを大切にしているという與那嶺氏。「思ったら即行動」という姿勢もそのためにあり、人としての背筋が真っすぐに伸びている。
知財センターからのメッセージ
特許・意匠・商標の知財ミックスで権利保護を推進
與那嶺氏はバイタリティあふれる方で、踵骨部分を凹ませる中敷きを使うことで姿勢を良くし健康に寄与する発見などを行っています。また、特許・意匠・商標の知財ミックスで権利保護を進め、電子出願システムを利用しての出願などは尊敬に値します。今後も継続して知財に関するさまざまなアドバイスを送りたいと思います。
担当:廣田アドバイザー
ご活用いただいた支援メニューのご紹介
東京都知的財産総合センター
東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1F
電話:03-3832-3656(平日:9:00~17:00 ※12/29~1/3を除く)
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