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知財センター活用事例「株式会社マルゼキ」

「夢づくり」の過程で知財と向き合い
「遊び心」を大切にした時を重ねたい

代表取締役:河﨑 麻奈美さん(左)経営部 兼 総務部マネージャー:山口 ひさのさん(右)
代表取締役:河﨑 麻奈美さん(左)
経営部 兼 総務部マネージャー:山口 ひさのさん(右)

腕時計のオリジナルブランドを全国で展開し
ODM/OEM事業では、多くの顧客の要望に応えてバックアップ。
キャラクターや伝統工芸などとのコラボレーションウォッチも多く、
ファッション、アニメ、ゲームなどとの関係性も深い。
小ロット・多品種でメイド・イン・ジャパンという
強みを生かしながら、海外にも販売展開している。

主な権利

  • 2009年:商標登録 第5225169号
  • 2013年:商標登録 第5569926号
  • 2015年:商標登録 第5769387号
  • 2020年:商標登録 第6228405号
  • 2023年:商標登録 第6744616号

会社概要

  • 所在地:東京都文京区本郷2-15-13 お茶の水ウイングビル8F
  • 電話:03-5615-8785
  • URL:https://maruzeki.com
  • 業種:時計及びギフトの企画・製造・販売
  • 設立:1999年(平成11年)
  • 資本金:300万円

代表取締役:河﨑 麻奈美さん(左)経営部 兼 総務部マネージャー:山口 ひさのさん(右)
代表取締役:河﨑 麻奈美さん(左)
経営部 兼 総務部マネージャー:山口 ひさのさん(右)

「時計が香る」という夢のようなアイデアを実現

和の香りに包まれる腕時計ブランド「KAORU」と、東京の魅力を国内外へ発信する「Tokyo Tokyo」のスペシャルエディションウォッチ。
和の香りに包まれる腕時計ブランド「KAORU」と、東京の魅力を国内外へ発信する「Tokyo Tokyo」のスペシャルエディションウォッチ。

 思い出とは、「時が香る」ようなものかもしれない。あの時の出来事に支えられて今があり、明日を迎える。
そんな時の中を歩みながら、日頃身に着ける「時計」というものが「香る」というアイデアは素敵だ。しかもそれが、思い出と重なっていたとしたら、さらに特別な存在となるだろう。腕時計の世界において、そんな夢のある商品を実現したのが、株式会社マルゼキだ。「KAORU(カオル)」という腕時計は、特殊加工を施したベルトから、心地よい香りが放たれる。同社とゴムメーカー、香料メーカーの3社が協力して作り上げたものだ。
 「最初は、訪日外国人の方々のお土産にも最適な時計を作りたいと思って開発しました」と語るのは河﨑社長。香りの種類には、桜、抹茶、檜、椿、柚子、和墨、沈香と、日本をイメージできるものをラインアップ。デザインには富士山や錦鯉、舞妓など、和のイメージが施されているものも多い。同ブランドはその後さらに幅広く展開され、レモンやラベンダーなど癒しのアロマのような、新たな工夫やデザインを施したシリーズもある。

旅の思い出は、景色だけではなくその場で感じる空気や香りもその一つ。日本のモノづくりの技術と思い、そして日本の香りが一つになり、国内外に向けて発信するのが「KAORU」のブランドである。
旅の思い出は、景色だけではなくその場で感じる空気や香りもその一つ。日本のモノづくりの技術と思い、そして日本の香りが一つになり、国内外に向けて発信するのが「KAORU」のブランドである。

判断の難しいところはいつでも気軽に相談

 東京都中小企業振興公社からの案内で知った知財センターを最初に活用したのは、2018年。この「KAORU」に関する特許出願の相談のために訪れた。
 その後も、著作権や商標などの質問や相談で、知財センターをよく利用するようになった。河﨑社長は「例えば『鳥獣戯画』を時計のモチーフにしていいかなどは、こちらでは判断が難しいですよね。そういうことも気軽に相談していました」と語る。これに山口マネージャーが続けた。「商標に関してもずいぶん相談しましたね。まずは国内の商標を整理するアドバイスをもらい、その後、海外では外国商標出願費用助成事業というものがあると教えてもらいました。アメリカや中国、台湾などでこの助成を活用するために、助成金が出るタイミングを考慮しながら知財戦略のスケジュールを立てました」
 「KAORU」の商標では、中央の「O」の文字を時計の文字板と針のようなデザインに変更した。知財センターからのアドバイスも踏まえながら、同社の知財に関するプロジェクトチームで協議を重ねた結果だった。

スピードとマンパワーが命だからこそ外部機関も大切

 「知財センターに限らず、公社の方は 相談事で連絡すると『とりあえず来てください』と言うんですよ。以前はこういう相談窓口を知らなかったので、知識がないのに突っ走って失敗することもありました。ですから、そうしたことが起こらないように、事前に訪れてくださいといった意図もあると思うんですよね。それに、メールだと誤解が生まれるケースもありますから、直接話した方がいいと思うんです」と山口マネージャー。
 これに続けた河﨑社長が、中小企業ならではの現実について語った。「私たちのような中小企業はスピードが命なんです。それでいて、マンパワーを中心にして動いていくので、常にみんなが忙しい状態になっています。やりたいこともたくさんあるのですが、小さな個の仕事がたくさんあるから、なかなか追いつきません。ですから、外部に頼れる人材がいると本当に助かるんです」

知財センターという存在にたどり着く人が増えてほしい

 「知財は、これまでは担当者として基本的に関わって来なかった部分なので、 知らないことの方が多いじゃないですか。 知財センターのアドバイザーと話していると勉強になることばかりですし、当社の隣に建物があったらいいなという感じですね(笑)」と山口マネージャー。
 河﨑社長は「私たちは知ったからこそ良かったのですが、知財センターという存在までたどり着けない人も多いかもしれませんね。それに、案内のパンフレットだけ入手しても、どこまで相談したら良いかは分かりにくいと思います。結局何となくパンフレットだけ眺めて、その先につながらずに終わっている人も多いんじゃないでしょうか。たどり着かせるための工夫、例えばホームページをなじみやすいものにするなど、もう少しあってもいいかもしれませんね」と親身で建設的な提案までいただいた。

チャレンジすることをいつの時も忘れない

 同社の腕時計にはキャラクターデザインのシリーズも多く、好評を博している。それはキャラクターを保有する会社との信頼の証であり、企業理念の中にある、「お客様の信用と信頼を最も大切にする」というフレーズにも合致する。
 最後に河﨑社長に、企業理念の「チャレンジすることを忘れない」という部分で大切にしていることを尋ねると、瞬時に「遊び心」という答えが返ってきた。「私たちはモノづくり企業ですが、売れる商品が白と黒だと、どうしても白と黒を作りがちでしょう。でも、日本だけではなく世界でわずか1 パーセントの人がほしいと思うものを作ったら、マーケットにもっと面白いものが増えていきます。今は、夢があるものを作りづらい時代かもしれませんが、私たちはそういうものを発信し続ける会社でありたい。私たちの存在が、時計業界の活性化の一助になればうれしいです」
 新たな夢を追いかけ、時は続いていく。

京都・丹後ちりめんの老舗「山藤」とのコラボレーションウォッチ。300年以上続く伝統技術をベルトにし、現代の感性を融合。日本の伝統技法である「金継ぎ」もイメージさせている。
京都・丹後ちりめんの老舗「山藤」とのコラボレーションウォッチ。300年以上続く伝統技術をベルトにし、現代の感性を融合。日本の伝統技法である「金継ぎ」もイメージさせている。
多くの人々に長年にわたって親しまれ続けている、多様性について考えるブランド「GRANDEUR(グランドール)」。
多くの人々に長年にわたって親しまれ続けている、多様性について考えるブランド「GRANDEUR(グランドール)」。

知財センターからのメッセージ

継続的な相談は知財になじむための近道

気軽に手に取ることのできる多種多様な時計は、きちんとした品質あってのものと分かります。商標登録に関してはいろいろとご苦労もあったようですが、知財センターへの継続的な相談を通して、知財についてなじんでいただけたと思います。今後も意匠、特許と幅を広げて取り組み、国内外に市場を拡げていってほしいです。   
担当:阿部アドバイザー

ご活用いただいた支援メニューのご紹介

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