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知財センター活用事例「株式会社ファルネックス」

知財における心強い支援とともに実績を一つひとつ積み上げていきたい

より高い機能性や新たな概念を持つ製剤技術を追求。
中分子創薬にも必要な要素を備えた、多機能・万能型の次世代DDS(Drug Delivery System)製剤技術である「3D幾何学液晶プラットフォーム」を創出した。
現在普及している技術とは異なり、生体との親和性の高い新たな製剤を作ることが期待されている。

代表取締役:土黒 一郎さん
代表取締役:土黒 一郎さん

主な権利

  • 2013年:特許 第5207420号
  • 2024年:特許 第7603972号
  • 2025年:特許 第7761929号

会社概要

  • 所在地:東京都大田区上池台2-12-14
  • 電話:03-3727-0782
  • URL:http://farnex.co.jp
  • 業種:ライフサイエンスを中心とした製剤技術・製品の開発
  • 設立:2014年(平成26年)
  • 資本金:800万円

代表取締役:土黒 一郎さん
代表取締役:土黒 一郎さん

有効成分を内包すればさらなる効果を引き出せる

 2014年に設立し、東京都と神奈川県で活動している研究開発型ベンチャー企業、株式会社ファルネックス。これまで、既存の原料や従来の概念にとらわれず、有機合成化学によって新たな原料の創出を試みてきた。そして研究に研究を重ね、画期的な成果が生まれた。
 土黒社長は、同社の技術についてこう語る。「当社の原料は粘性の低い液体で、水に触れると自己組織化して変容することによりゲル状の半固体になります。3次元的で規則性のある幾何学構造上の液晶です。これは2次元的な層状を意味する“ラメラ”液晶ではないことから“非ラメラ”液晶と呼ばれます。当社は安全性はもちろん、この液晶構造と内部の大きさを自在に制御する技術、さまざまな製剤技術を獲得しました。この中に有効成分を内包することで、さらなる効果を引き出せるプラットフォームです。一つのことに限定されたものではなくプラットフォームですから、多岐にわたる投与部位や製剤に応用することができます。例えばスプレーにしたり、軟膏にしたり、テープ状にしたり、注射・注入したり。今後ぜひ多くの分野で、多くの方々にお使いいただきたいと考えています」

高機能・万能型の次世代DDS製剤「3D幾何学液晶プラットフォーム」について紹介した展示会用パネル。
高機能・万能型の次世代DDS製剤「3D幾何学液晶プラットフォーム」
について紹介した展示会用パネル。
多機能性を有しているため、ビジネスパートナーのさまざまな新製品開発にも役立つと期待されている。
多機能性を有しているため、ビジネスパートナーのさまざまな新製品開発にも役立つと期待されている。

申請前相談を活用したことで自社の価値が明確になった

 「事業としましては、パートナー企業の製品開発をお手伝いする受託開発事業、大学との共同研究によってライセンスを供与する自社開発事業があります。知財センターの支援によって、それぞれの事業において特許を取得することができました」と語る土黒社長。サポートを受けたのは、外国特許出願費用助成事業別タブで開くと、グローバルニッチトップ助成事業別タブで開くだった。
 「海外における特許出願にはかなりの費用がかかりますから、知財センターによるサポートは大きなものでした。しかし、ここで私がぜひお話ししたいのは、申請前相談というものの持つ重要性です。申請する前に相談を活用できるのですが、その時にアドバイザーからいろいろな質問をされました。例えば国際調査報告書のことを聞かれて答える中で、これから費用をかけるべき内容について改めてきちんと考えることができました。当社がその技術で外国特許出願して投資をするだけの価値があると、一度立ち止まって判断できたんです」と土黒社長。自社の価値がどこにあるかを整理できたことが、その後にもつながったと言う。

知財について相談すると事業の話もできてうれしい

 「そのように知財センターの良いところは、決して費用助成の部分だけではないですね。知財相談では解決の糸口を一緒に探すような姿勢で、しっかり対応してもらえます。そして知財について相談すると、当然ですが事業の話も関わってきます。当社のような研究開発型のベンチャー企業だと、他に事業の話ができる相手というのはなかなかいないんです。ですから、アドバイザーはこと知財に関しての専門家ではあるのですが、助言の内容はとても助かります。制度の良さはもちろんありますが、私はソフト面の良さというところで、中小企業の皆さんに知財センターを知ってほしい。当社のように知財部がないところも多いでしょうし、外部の弁理士さんも忙しい方だったりします。そうした中で、私は特に起業したばかりの方などに、窓口としての知財センターの活用をお勧めしたいですね」とありがたい言葉を述べてくれた。

特許取得のタイミングとポイントの判断は難しい

 グローバルニッチトップ助成事業に関しては「知財センターのアドバイザーからそういう事業があるという話を聞き、思い切って申請したら通ったという経緯です」と語る。「いずれの助成事業も、特に私たちのようなベンチャー企業が一つひとつ実績と知財を積み上げて行くにおいては、非常に心強い制度だと思います」と、心理面におけるメリットも強調した。
 今後は技術のグローバル展開も予想されるため、外国特許出願は必須であると語る土黒社長。さらには研究開発型企業ならではの知財の難しさという話にも及んだ。「研究開発というものは、なかなか計画的には行かないものです。その時にはベストであっても、さらに開発が進むともっと良いものができるかもしれない、新しいことが出てくるかもしれないと、その都度思うことの連続です。ですから、特許の押さえ時と押さえる点の判断の連続になります。そして、共同研究者やビジネスパートナーには、こちらに特許がなければ相手にしてもらえませんしね」

技術を社会に役立てたい人のロールモデルになりたい

 今後の展開としては医薬品や医療機器、さらにはライフサイエンス以外の用途への可能性が広がり、大きな期待が寄せられる。「まだまだ発展途上の技術ですから、どこまで伸びるかは皆さまのアイデアにかかっていると思います。この技術をどう使っていただくかが重要です」と語る。
 そして最後にこんな言葉で締め括った。
 「自分が開発した技術を社会に役立てたい。そんな想いのある人のロールモデルになりたいですね。私たちは大学発でもないし、大きな出資を仰いでいるわけでもありません。でも、これから起業したいという理系分野の方々に、こういうやり方もあるんだよという一つの道筋を示せたらと思っています」
 純粋に、誰かの力になりたい。そんな土黒社長らしさのある言葉だった。

知財センターからのメッセージ

新たな技術においては知財センターの活用を

有効成分の吸収を促進し、付着滞留性・貯留性を備え、分解抑制・放出制御のできる新しいタイプの製剤技術を提供しています。従来にはない機能を持った医薬品や医療機器の創出を促すなど、今後の可能性に期待が寄せられます。英明果敢なスタートアップであり、知財センターを上手に活用されていると感じています。    
担当:佐鳥アドバイザー

ご活用いただいた支援メニューのご紹介

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