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知財センター活用事例「高松徹写真制作」

多くの人々に作品が愛されて得られた洞察を社会に還元したい

1999年に、Konica make-up photo studio “folia”という革新的なフルデジタル写真スタジオの企画・設計・運営を担当。
また、女性ファッション雑誌『小悪魔ageha』(こあくまアゲハ)の創刊から公称月間発行部数35万部時代までの表紙とメイン企画の撮影により多くの女性たちの支持を集め、時代の文化をリードした。
人気アーティストや有名俳優らの撮影も多数。

高松 徹さん
高松 徹さん

主な権利

  • 2025年:特許 第7720981号
  • 2025年:特許 第7763574号

会社概要

高松 徹さん
高松 徹さん

瞳を輝かせ人物を輝かせるキャッチライトの技術

 2000年代に一大ブームを巻き起こし、伝説の雑誌と呼ばれる『小悪魔ageha』のカメラマンというプロフィールで、なるほどと膝を打つ人も多いだろう。ギャル系のヘアメイク&ファッション情報誌であり、多くの女性たちが夢中になり、社会現象にもなった。キラキラした世界とリアルなライフストーリーが共感を呼び、心のよりどころとして支持を得た。
 「姫ギャル」と呼ばれるスタイル、特徴的な巻き髪、そして大きな瞳を作るデカ目メイク。その瞳の輝きを、精緻なライティングと卓越した撮影技術によって創り出していたのが高松氏である。瞳の中に映し出されていたのは、キャッチライトと呼ばれる光の反射だ。モデルの生き生きとした表情は、このキャッチライトによって大きく左右されるという。

キャッチライト
多くのライトの配置を工夫して調整した撮影により、瞳に映し出されたキャッチライト
(『小悪魔ageha』2009年2月号/インフォレスト刊 表紙より一部抜粋)。

心情に連動しているという洞察から知財の世界へ

キャッチライトの形状
メディアなどで表現されるキャラクターのキャッチライトの形状を、テクノロジー的に分類。
感情の種類とキャッチライト形状の関連規則を導き出している。

 「一番多い時で14灯ものライトを入れました。複雑なライティングによって、瞳の中にたくさんの光を入れてキラキラにするんです。それによって女性の変身願望を満たし、苦しい生活をしている状況でも夢を見させてあげたいと思っていました。本当に細かいところまで真剣に見てくれる読者に対して、こちらも命懸けで作っていましたね」と語る高松氏。そんな撮影を重ねているうちに、ある重要なポイントに気付くようになった。「どうもキャッチライトと読者の反応に関連があるようなんです。それは、キャッチライトの形状や色によってモデルの心情がこうなんじゃないかと、読者が錯覚するということ。驚き、恐怖、怒り、嫌悪、悲しみ、喜び。そうしたものが紐付いているという洞察を得たんです」
 決断力と行動力のある高松氏は、早稲田大学 大学院文学研究科 心理学コースに通い、心理学の手法に基づいて行動実験を行って論文を書いた。「そうした中で、これはもしかしたら特許を取得できるのではないかと思うようになったのです。それで大学の知財のセクションに相談したところ、知財センターを紹介してもらいました。すぐに秋葉原を訪れてアドバイザーに相談し、これはぜひやってみようと決めました」

知財センターはもう一つの大学院みたいで楽しかった

 それからは知財センターを訪れる機会が増えた。「知財センターの弁理士とアドバイザーにはずっとお世話になって、多くの専門的なアドバイスをもらいました。フォーマットに従って特許の出願書類を書くのは大変でしたが、なんとか乗り切ることができました。知財センターに相談に訪れていた期間は1年半くらいでしたが、ちょうど大学院に通っていた時期と重なるので、もう一つの大学院みたいな感じでしたね。皆さん経験豊富なベテランなのでやりやすかったというか、安心感はありました。こちらが質問すると必ず何らかの答えを得ることができて助かりました」

日本の文化にも大きく関連しているキャッチライト

 キャッチライトは、日本の文化にも大きく関わっているものではないだろうか。クールジャパンと呼ばれるこの国ならではの魅力の象徴でもありそうだ。「相手の感情を読み取る際に、西洋人は口、東洋人は目を重視するという多くの研究成果が報告されています。とりわけ日本人にとって、目の表現はコミュニケーションの中で非常に大きな役割を果たしています。特に目を大きく表現する傾向のある日本のアニメや漫画のキャッチライトは、海外に比べてデザインが豊富。キャッチライトは感情表現の記号として古くから使われてきて、日常的に見慣れている。それが海外でも親しまれるようになった現在、キャッチライトがもたらす豊かなコミュニケーションは、さらに拡がっていく可能性があるでしょう。そして私自身がキャッチライトを多用した日本のアニメや漫画を子どもの頃から見て育ってきた日本の写真家だからこそ、特許化できることに気付けたのだろうと思います」と高松氏。生まれ育った日本の文化や環境に感謝する言葉がその後も続いていた。

作り手の責任を果たすための特許取得は自分でもうれしい

キャッチライトに関連する2つの重要な特許
キャッチライトに関連する2つの重要な特許を取得している。

 「キャッチライトは、VRやARのような次世代のデバイスにも活用できます。アニメやアバターのキャラクターにもっとダイナミックに活用すれば、登場人物のリアリティが格段に上がる可能性があります。また言葉を話さなくてもキャッチライトのみで感情を伝えられる可能性もある。ロボットに感情を付加したり、現在の言葉よりも情報量の多いビジュアル言語が生まれるかもしれない。そのように将来、人々の感情コミュニケーションに大きく役立つ希望があると思っています」と語る高松氏。最後にこう述べた。「社会的に大きな影響を与える雑誌を創る経験ができましたが、作り手には大切な責任もあると思うんです。私は、たくさんの方々に作品を愛していただきましたが、そこで得られた知見や洞察は、なんとか社会に還元したいと思っていました。ですから、今回特許を取得できたのは、自分が作家としての責任の一端を果たせたような気がしてすごくうれしかったです」
 たくさんの人々から作品に対して寄せられた愛が、特許取得の原動力となっていたことに驚かされて、感銘を受けた。瞳のきらめきは人から人へと伝わって、未来にはまた誰かの心に寄り添っていくのかもしれない。

キャッチライトに関連する2つの重要な特許
キャッチライトに関連する2つの重要な特許を取得している。

知財センターからのメッセージ

ひたむきな姿勢と熱意が特許取得への大きな推進力

特許を取得したいという熱意によって、高松様が単身で特許庁に出向き審査官との面接に対応するなどのひたむきな姿勢がありました。さらには弁理士からの的確なサポートも相まって、2件の特許取得という成果を得られました。事業化という次なるステージでは、これらの特許が価値を発揮してくれることを期待しています。
担当:池谷アドバイザー

ご活用いただいた支援メニューのご紹介

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