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知財センター活用事例「WOTA株式会社」

水問題を構造からとらえて、解決に挑むことをパーパスに掲げる

水問題の構造的な解決を目指す民間企業。
2014年の創業以来、地球上の水資源の偏在・枯渇・汚染によって生じる諸問題の解決のため、生活排水を再生し最大限有効活用する「小規模分散型水循環システム」およびそれを実現する「水処理自律制御技術」を開発している。

代表取締役 共同CEO:泉 浩人さん(左) 代表取締役 共同CEO:山辺 仁美さん(右)
代表取締役 兼 CEO:前田 瑶介さん(左)
知的財産担当部長:髙岡 恵理さん(右)

主な権利

  • 2023年:特許 第7276947号
  • 2024年:特許 第7425464号
  • 2021年:意匠登録 第1695613号
  • 2025年:意匠登録 第1796957号
  • 2020年:商標登録 第6262540号

会社概要

  • 所在地:東京都中央区日本橋馬喰町1-13-13
  • URL:https://wota.co.jp
  • 業種:小規模分散型水循環システムの開発
  • 水処理自律制御システムの開発

  • 設立:2014年(平成26年)
  • 資本金:1億円(資本準備金除く)

代表取締役 共同CEO:泉 浩人さん(左) 代表取締役 共同CEO:山辺 仁美さん(右)
代表取締役 兼 CEO:前田 瑶介さん(左)
知的財産担当部長:髙岡 恵理さん(右)

新しい水インフラのスタンダードを確立

 水問題を構造からとらえ、解決に挑む。それがWOTA(ウォータ)株式会社が存在意義として掲げている大きなテーマである。それに向けたアプローチの軸として同社が開発を進めているのは、排水の大部分をその場で安全な水に再生し循環利用可能にする、大規模集約型の水インフラ(上下水道)から独立した「小規模分散型水循環システム」。管路を必要としないため、人口密度が低い地域においても経済合理性を確保しやすく、人口動態の変化に柔軟に対応可能で、災害時の断水リスクも低い。
 実際に、平成28年熊本地震や平成30年西日本豪雨、令和6年能登半島地震など、さまざまな災害現場で災害時の応急給水を可能にする、水循環型シャワー「WOTA BOX」、水循環型手洗いスタンド「WOSH」が活用された。国内のみならず「世界中のだれもが水に困らない未来」を目指して、WOTAは水循環システムの技術開発と社会実装を加速させている。
 「新しい水インフラのスタンダードを確立するために必要な技術開発や知的財産の創造を行っている会社です」と語るのは、代表取締役 兼 CEOの前田氏。主力製品は特許、意匠、商標、著作権と、多くの知財ミックスで保護されている。

ポータブル水再生システム「WOTA BOX」。排水の最大98%を再生して循環利用することを実現し、上下水道のない場所でも安全・安心な水が使える。
ポータブル水再生システム「WOTA BOX」。排水の最大98%を再生して循環利用することを実現し、上下水道のない場所でも安全・安心な水が使える。
「WOTA BOX」はシャワーキットに接続すれば、水循環型シャワーとして使用可能。大規模災害で水道が止まった避難所や仮設住宅、福祉施設などで使用実績がある。
「WOTA BOX」はシャワーキットに接続すれば、水循環型シャワーとして使用可能。大規模災害で水道が止まった避難所や仮設住宅、福祉施設などで使用実績がある。
水循環型手洗いスタンド「WOSH」。使用した水の最大98%をその場で再生して循環し、上下水道のない場所にも設置できる。スマートフォン除菌機能付き。
水循環型手洗いスタンド「WOSH」。使用した水の最大98%をその場で再生して循環し、上下水道のない場所にも設置できる。
スマートフォン除菌機能付き。
家庭用水循環システム「WOTA Unit」。お風呂やキッチン、洗濯機、トイレなどから出る生活排水の最大97%を安全な水に再生し、再び使えるようにする。
家庭用水循環システム「WOTA Unit」。お風呂やキッチン、洗濯機、トイレなどから出る生活排水の最大97%を安全な水に再生し、再び使えるようにする。

発明者側が自発的に参加できるようになった

 知的財産担当部長の髙岡氏は、2021年に入社。当初から知財を担当した。「知財に関するアイデアはいろいろとありましたが、費用が大きなネックでした。そこで助成金別タブで開くについて調べて、東京都知的財産総合センターの助成制度を活用しました。知財センターの紹介によってニッチトップ育成支援別タブで開くも受けました」と語る髙岡氏。
 これに前田氏が続けた。「開発に集中しがちな技術系のスタートアップにとって、知的財産の対応は費用面だけでなく工数面でも負担が大きく、知財センターによるサポートは、ありがたかったです。当初は基本的な知財に関する知識もなかったメンバーが、ニッチトップ育成支援期間を経て、発明者側として自発的に参加する体制を築くことができました」と語る。

最初のサポートが重要であり意識改革や風土醸成へと続く

 髙岡氏は、知財センターの助言でさまざまな物事が動き出したと語る。「化学・バイオ分野に強い特許事務所を発掘することができ、弁理士さんも交えた発明発掘会を通じて、開発系従業員の知財への意識改革が進みました。今では特許クリアランス調査の実施を開発者から言ってきてくれますし、そうした社内風土醸成において初期段階での力添えは大きかったですね」
 さらには商標別タブで開くに関する国際的なアドバイスも大きかったと言う。「中国での事業をまだ考えていなかった頃ですが、当社に関連する商標を中国で複数の会社に取られていることを、知財センターのアドバイザーが指摘して下さり、戦略的に動いたことで、2024年には無事に中国でもハウスマークを商標登録することができました。これはまさにニッチトップ育成支援の道のりの中で、実現できたことです」

東京都の多くの中小企業にプログラムを活用してほしい

 WOTAが活用したニッチトップ育成支援は、単年ではなく3年というスパンで知財センターが伴走するプログラム。同社は、多くの中小企業の皆さまにも知っていただき、活用してほしいと言う。
 また、知財センターが主催する知的財産交流・研究会別タブで開くへの参加は、異なる業界の中小企業各社の知財活動を知ることができ、おすすめとのこと。

「世の中起点」の考え方により「目的志向のモノづくり」を

 最後にこう語った前田氏。「自分たちが今持っているものだけを起点にした事業づくりではなく、世の中起点で、どのようなものが必要とされているのかを考えて意思決定していきたいと常に思っています。社会に貢献することは前提であり、それよりもどう貢献するかが大切。社会が成熟していく中で、従来通りのやり方では解決できない課題が多くあり、今までの延長線上にない考え方や取り組み方が求められる時代です。日本の社会を築いてきた先人たちも志された『目的志向のモノづくり』が、21世紀の第2四半期に取り組むべきことと考えます。第3四半期以降、世界の人口は一部の国や地域を除けば、減少傾向を辿るとされている、そのフェーズに向けて今人類が解決すべき物理的課題、すなわちライフラインやインフラ構築を構造的にとらえ対応していくことが必要と考えています」
 そして、力強い言葉が最後まで続いた。「私たちが社会に提供しているようなシステムを、世界中の方々がつくれるようにしたいです。それが、私たちを育ててくれた東京都や日本の先輩方への恩返しにつながると思います。現在は私たちのような領域に取り組むプレーヤーはまだまだ少ない。新しい領域を事業として切り開くために、私たちが獲得してきた知財を、競合を排することに活用するのではなく、知財を媒介にたくさんのプレーヤーにご参加いただけるビジネスモデルを確立し、産業として成長していくことで、世界の水問題の解決につなげていきたいですね」

知財センターからのメッセージ

オープンとクローズのバランスの良い知財戦略を実践

ニッチトップ育成支援当初から髙岡様を中心に特許、意匠、商標の出願活動が精力的に展開され、3年間でグローバルに知財ポートフォリオが形成されました。これに並行して他社特許調査や国際的な商標対策などのリスク対策も実行され、バランスがしっかりと取れた知財戦略が実践されたと感じています。
担当:池谷アドバイザー

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