知財センター活用事例「株式会社ムラコシ精工」
会話しながら発明してほしいという意図のある制度で会社が一丸となる
創業は大正7年という100年以上の歴史ある企業。
住インテリア事業部では住宅内装用機能金具などを提供し、ファインコンポーネンツ事業部では自動車・釣り具などの特殊な高機能の金属加工部品を手掛けている。
長年にわたって豊かな発想力と高い品質力を大切にしながら「縁の下の力持ち」として多くの人々の暮らしを支え続けている。
執行役員 開発技術統括:真崎 善行さん(左)
パテント部 課長:濱野 俊夫さん(中)
パテント部:平山 稲穂海さん(右)
主な権利
- 2021年:特許 第6902263号
- 2023年:特許 第7207803号
- 2015年:意匠登録 第1533633号
- 2022年:意匠登録 第1721105号
- 1973年:商標登録 第1001065号
会社概要
- 所在地:東京都小金井市緑町5-6-35
- 電話:042-384-0330
- URL:https://www.murakoshiseikou.com
- 業種:住宅内装用機能家具、自動車関連部品などの
- 設立:1918年(大正7年)
- 資本金:9,000万円
開発・製造・販売
執行役員 開発技術統括:真崎 善行さん(左)
パテント部 課長:濱野 俊夫さん(中)
パテント部:平山 稲穂海さん(右)
創意工夫を凝らして獲得した知財はかけがえのないもの
もう30年ほど前から、社内にパテント部という組織を有していることからも、知財への意識が高いことが伝わってくる株式会社ムラコシ精工。「住空間」と「自動車」の2つの分野で活躍するメーカーであり、数万種類にも及ぶ製品群によって暮らしのさまざまなシーンを見えないところから支えている。特に住インテリア事業部では、木工用ジョイントシステム、スライドヒンジ、扉機能金具、耐震ラッチ、ドアレバー、アルミフレーム扉など、生活に欠かせない製品を提供。安定した高品質によって信頼を築いてきた。
真崎執行役員は「私たちが手掛けているのは小さな部品が多いですし、機構的にも狭い分野です。そこに創意工夫を凝らして知財を獲得すると、なかなか他社は追随できないという側面があります。もっと大きなものだと、他の道筋がたくさんあるかもしれませんが。ですから私たちにとって、なおさら知財は大切なものになります」と語る。
スライドヒンジは、システムキッチンやキャビネットなどの扉の開閉に使用する、
表からは金具が見えない設計の丁番である。
知財・開発・営業担当者が集まり話し合うケースも多い
パテント部 濱野課長は知財センターとの出会いについて語った。「私が10年以上前にパテント部の配属になった際に、中小企業振興公社で行っているセミナーのことを知って参加しました。それで顔を覚えてもらえるようになって知的財産交流・研究会
に誘われ、第3回からずっと参加しているんです。常に新しいネタがあって刺激を受ける大切な場になっています」
2023年からはニッチトップ育成支援を受けた。「まずは必要な職務発明規程の整備からスタートしました。導入してからはしっかりと運用できていますし、過去10年前にまでさかのぼって発明者に還元することができました」と濱野課長。これに真崎執行役員が続けた。「社員のモチベーションも上がりますしね。基本的に開発者の出願がほとんどだとは思いますが、別にそう限らずにアイデアがあればどの部門でも相談に来てくださいと社内にアナウンスしました」と笑顔で語る。「実際に開発と一緒に営業がアイデアを出したものについては、営業も開発者の一人として報奨金を出しています」「みんなで相談しながら発明してほしいという意図で、発明者が増えた場合にも報奨金を按分せずに一人ずつに渡す規程にしています。発明があまり属人化せず、みんなで技術を共有しながらアイデアを出し合える環境になったらいいなと思います」と楽しげに会話が弾んだ。
アドバイザーに質問しながら課題解決の方向を探る際に、同社では知財、開発、営業の担当者が集まって話し合うケースも見られる。特定の人だけではなく、会社全体として知財を重視し取り組んでいる姿勢が伝わってくる。
新たなものに挑戦する姿勢が知財にも反映されている
その後のニッチトップ育成支援では、自社や競合他社における特許を分析してパテントマップを作成するなどの情報整理を行った。「他社の動向も分析しながら今までの知財活動を俯瞰して見た結果、当社も意外に頑張っているなと感じました(笑)」と濱野課長。パテント部の平山さんも「開発にしっかりと投資している会社だと改めて感じました。どんどん新たなものに挑戦するという姿勢が知財にも反映されていると思います」と語った。開発部門に所属していた際には、自ら特許を出願したこともあるという平山さん。知的財産交流・研究会にも参加し、知的財産人材育成スクールにも通っていると言う。ニッチトップ育成支援については「全部勉強になりましたね。交流・研究会やスクールで他社の人たちと知財契約に関することを話して、そこから当社の契約改善のために何かフィードバックしたいと思い、アドバイザーに助言を求めたこともためになりました」と語った。
世に知れわたる商標を侵害されないための取り組み
濱野課長の発案によって、開発者向けのセミナーも開催した。山梨にある拠点とオンラインでつなぎ、開発者がほぼ全員参加しての知財啓発セミナーとなった。「事前に知財センターのアドバイザーと打ち合わせを行い、どこに話の重点を置くかなどを調整し、できるだけ開発者の心に響く内容にしました」と濱野課長。「アドバイザーにはその都度、こちらのタイムリーな内容を聞くケースも多かったですね。たとえば『鬼目ナット』という当社を代表する製品に関して、商標を侵害されないように『鬼目』に加えて『オニメ』でも登録し、他社にも警告を行って権利が希釈化されないようにしました」というエピソードも。誰もが知っているような有名商標であるだけに、それを普通名称化させない取り組みも重要なものとなっていた。
誰もが知るロングラン製品となり、2022年度のグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞している。
「創造・情熱・挑戦」の精神を大切にしながら明日へ
「創造・情熱・挑戦」の精神を昔から大切にしているムラコシ精工。「いつも情熱とともに、世の中を豊かにできるような製品を創造できるよう、みんなで挑戦を続けています」と真崎執行役員は語る。濱野課長は最後に「私も開発の部門に長くいたので、生みの苦労は分かっているつもりです。そこで先輩や後輩たちが生み出したものは、これからも権利化できるものは権利化して守ってあげたいと思います」と語った。とても自然に発せられた言葉に、情熱と優しさと、パテント部の誇りが感じられた。
知財センターからのメッセージ
会社全体で知財を大切にする雰囲気を感じる
開発製品を知財で保護する考え方や出願などについて既に知見のある会社でした。これを補完する意味合いも含め、職務発明規程を導入し定着させることも目的として、ニッチトップ育成支援を推進。知財保護の循環がより適切でスムーズなものになり、会社全体で知財を大切にしようという雰囲気がさらに高まったと感じます。
担当:山崎アドバイザー
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