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知財センター活用事例「Milk.株式会社」

人には見えない技術を守るための「見えるもの」としての知財

ハイパースペクトル技術のパイオニア企業であり、AIアルゴリズムの開発とともに、全く新しいさまざまな「社会変革事業」を生み出そうとしている。
人工衛星にも携わったエンジニアチームが目指すビジョンは、日本にNASAを超える研究所を創り、科学実業家を多数輩出させるという熱い想いである。

代表取締役社長:中矢 大弓さん
代表取締役社長:中矢 大弓さん

主な権利

  • 2024年:特許 第7427289号
  • 2023年:商標登録 第6707600号

会社概要

  • 所在地:東京都港区六本木4-8-1 シンシア六本木701
  • 電話:03-5050-4920
  • URL:https://invisibleworld.co.jp
  • 業種:ハイパースペクトル解析技術とAIを活用したソフトウェア開発
  • 設立:2019年(令和元年)
  • 資本金:1億8828万368円

代表取締役社長:中矢 大弓さん
代表取締役社長:中矢 大弓さん

病気の原因究明にまで貢献したいという熱い想い

 「会社は人のためにある」と公言する、中矢社長。自らが若き技術者であり、昔から光には大きな関心があって、アインシュタインが大好きだったという。そんな中矢社長から発せられた冒頭の言葉はまるでスペクトルのように、さまざまな色彩として社会に広がろうとしている。
 Milk.株式会社は、ハイパースペクトルカメラという、光の3原色を遥かに超え肉眼では識別することのできない「141原色」の波長として分類・検知する特殊技術を提供している。これは元々、人工衛星に搭載されていた技術だ。同社はこのハイパースペクトルカメラとAIの組み合わせによって、さまざまな分野において社会貢献しようとしているのだ。その大きな一つは、がん診断。がんの種類ごとに微妙に異なる細胞の色合いを検知して、画像診断領域を大きく進化させようとしている。ハイパースペクトルカメラは、どうしてがんになるかなど、病気の原因究明にまで貢献できるかもしれない。

ハイパースペクトルカメラ
従来のカメラは人間の目を模倣した光の3原色で色を捉えている。ハイパースペクトルカメラは、人の目の色分解能を超える141原色で色を検知。
人の脳では見分けづらい繊細な色合いを認識できる。

宇宙で使われた技術を地上の恵みとして輝かせたい

ハイパースペクトルの応用技術
ハイパースペクトルの応用技術は、この社会のさまざまな課題解決につながる大きな可能性を秘めている。

 この技術が応用できる分野は、医療以外にも農業や食品、建物や構造物検査など、非常に幅広い。中矢社長は「以前は素粒子論や宇宙論に関心がありましたが、身近なテーマではないだけに、その関連技術が社会的に実装されるまでには時間がかかります。もっと身近な不思議を解明したいという想いを抱きながら出会ったのが、元JAXAのエンジニアで小惑星探査機『はやぶさ』のエンジン開発にも従事し、ハイパースペクトルカメラを開発された佐鳥新教授でした」と語った。
 佐鳥教授の元で学んだ中矢社長は、宇宙で使われた技術を身近な技術に展開しようと研究を重ね、Milk.という会社を立ち上げたのだ。

鮮度低下の度合い
例えば、鮮度測定。ハイパースペクトルカメラでは、マグロの切り身を常温保存と冷蔵保存で一定時間管理したものの鮮度低下の度合いを、
スペクトル変化として可視化することができる。

ビジネスモデルの構築に知財を組み込むことは必須

 ニッチトップ育成支援別タブで開くを受けたことについては「非常に応用範囲の広い技術ですから、多くの知財を保有できるイメージはあります。ただ、どう優先順位を決めて、どう保護するかは難しい線引きが求められますね。そこで知財センター別タブで開くの支援を受けて、プロからのアドバイスを全部吸収したいと思いました」と中矢社長。「会社の創業期に、知財に詳しい外部の方々から特許の請求項や明細書まで全部教えていただいたことがあるんです。ですから特許の重要性は理解していましたが、取得してもそれを『使える特許』としてマネタイズできるには実績が少ない。そこで、取得するのは海外特許も含めて最低限のものに抑えて事業化を優先してきました。ただし、事業を成長させるビジネスモデルを作る上では知財戦略を立てる必要があって、そのためにもニッチトップ育成支援を活用したのです」と丁寧に語った。

スタートアップはどんどんオープンにする戦略でいい

 ニッチトップ育成支援では、オンラインも含めて何度かセミナーを行うなど、知財への意識が醸成された。「知財のトレンドを踏まえながら、スタートアップの立場ではどう考えていくべきかなど、レクチャーを通してかなり整理できました」と中矢社長。今後については「医療などフォーカスしたい分野については、製品化を進めながらその製造や使用ノウハウなどの権利化を考えたいです。例えば製品化されたもののライセンスを供与する場合、そこに知財があるかないかは、今後の実績にもつながる大きい要素だと感じています。知財は『見える化』できる資産ですし、当社の取り組みが他のスタートアップにつながるモデルにもなれたらいいなと思っています。知財は収益や費用対効果が計算しづらい。それでどうしても後回しになる部分もあると思うんです。でも、知財も含めたビジネスモデルを構築しないと、なかなかその先にはつながらないと思います」と語る。
 さらに続けた。「知財に関しては『オープン&クローズ』戦略が大切で、オープンとクローズの領域を適切に使い分けるべきだとよく言われていますが、私はスタートアップの場合『オープン&オープン』でいいと思っています。ビジネスの小さなシーズを抱え込んで、その価値を周りに伝えなければ、資金調達も共同研究もできません。できるだけオープンにして、どこまで成長できるかでしょう」

人がまだ見えていない世界へ争わずに挑み続けたい

「G-1スタートアップグランプリ」
「G-1スタートアップグランプリ」は、一度きりの人生をかけて世界を変えようと志す若者を応援する、学生起業家のためのピッチイベントである。

 Milk.(ミルク)という親しみやすく愛らしい社名は、当初から海外展開を見据えて付けられた。白のイメージカラーは「純白な愛のこころで世界に奉仕する」という経営理念を表し、ポジティブに感じられる。しかも全ての光を集約すると、白になる。
 さらにミルクは、人を育むものだ。同社は未来の技術者たちを育てる活動にも力を注いでいる。「G-1スタートアップグランプリ」という、学生起業家を支援するピッチコンテストを運営し、「YARDMeetup」という若手支援のピッチイベントも何度も開催。次世代のリーダーを育てようとしている。「当社も多くの方々に支えられて成長できたように、もっと支援したいという方々と若手がつながると、日本を変えていくスタートアップがどんどん生まれるでしょう」と熱く語った。
 「とにかく争いが嫌いで、できればブルーオーシャンの中にいたい。だからこそ、人がまだ見えていない世界に挑みたいんです」と語る中矢社長。そのまなざしはもう、確かなものを見据えていた。

「G-1スタートアップグランプリ」
「G-1スタートアップグランプリ」は、一度きりの人生をかけて世界を変えようと志す若者を応援する、学生起業家のためのピッチイベントである。

知財センターからのメッセージ

社内リソースの不足を補う積極的な知財活動

多様な技術開発を行い奮闘している企業です。ニッチトップ育成支援に限らず、いろいろな支援を上手に使って社内リソースの不足を補いながら積極的に活動されています。ハイパースペクトルと進化するAIの技術によって、社会に貢献できるさまざまな応用技術の開発を進め、新しい「これから」を見せてくれると期待しています。
担当:吉田アドバイザー

ご活用いただいた支援メニューのご紹介

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