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知財センター活用事例「アルメッド株式会社」

知財に対する学びを深めるうちに世の中の仕組みが見えてきた

ミッションは「認知症高齢者が安心して暮らせる社会の実現」。
1985年に白尾CEOが発見したタンパク質分子であるドレブリンの記憶力制御機能の研究を長年にわたって続け、認知症の「診断」と「治療」を大きく前進させようとしている。
その実用化に向けてさまざまなハードルを越えていく努力を重ね、日本発の世界的な研究を、病気の根治の可能性へと向かわせている。

代表取締役 CEO
代表取締役 CEO:白尾 智明さん(左)
取締役 CSO:関野 祐子さん(右)

主な権利

  • 2024年:特許 第7416399号
  • 2025年:特許 第7620340号
  • 2024年:商標登録 第6834302号
  • 2025年:商標登録 第6954994号
  • 2026年:商標登録 第7038917号

会社概要

  • 所在地:東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ
  • 電話:03-3868-0552
  • URL:https://alzmed.jp
  • 業種:診断薬および治療薬の開発
  • 設立:2019年(平成31年)
  • 資本金:8,775万円

代表取締役 CEO
代表取締役 CEO:白尾 智明さん(左)
取締役 CSO:関野 祐子さん(右)

積み重ねてきた研究成果を社会実装に結び付けたい

 ドレブリンというタンパク質をご存じだろうか。神経細胞のシナプスに多く存在し、記憶の形成や維持などに重要な役割を果たすものである。アルツハイマー病などの認知機能低下に伴い、ドレブリンの脳内量は減少する。従って、記憶の健康状態を測るバイオマーカーとなっている。
 このドレブリンを発見し命名した人物こそが、アルメッド株式会社の白尾CEOだ。その後の研究で記憶のメカニズムを解明してきた関野CSOらとともに、大きな発見を認知症の診断と創薬に応用するために2019年、会社を設立したのである。白尾CEOは語る。「これまでの研究成果を社会実装に結び付けたい、それを他の会社がやらないのであれば自分たちでやろうという想いで会社を立ち上げました。ドレブリンは世界的にも認められていますし、しっかり使えば社会に役立つという自信がありました」

ドレブリン創薬
ドレブリン創薬は、認知障害の原因に働いて根治させる可能性があり、世界的にも大きな注目を集めている。
他社との治療薬の比較
認知障害への早期介入によってシナプスの構造的異常が回復され、改善へと向かう画期的な治療薬が考えられている。

ハンズオン支援を受けて知財の実際について学ぶ

 さらに白尾CEOはこう続けた。「設立当時はコンセプトや考え方はあっても、まだ売り物がなかった。しかし研究を続けて社会実装に近づこうとすればするほど、特許に相当するものがどんどん出てくるんです。これらを会社として出願するにはお金もかかりますし、将来的にそれを有効に利用しなければならない。どういう特許にすべきかを議論していました。特許庁が実施する知財アクセラレーションプログラムである『IPAS2022』の支援対象に選定されるなどしていろいろ勉強し始めていた時、知財センター別タブで開くスタートアップ知的財産支援事業であるハンズオン支援別タブで開くに行き着いたんです。それまでは学問的に学んでいたことを、ハンズオン支援では本当に実際的なところを学んだという感じです」

山の頂上を特許化せずに周辺の広い部分を捉える

 関野CSOは「時代の変化もあり、知財に対する考え方も変わってきていますから、それに対応するのは大変なことでもあります。私たちは元々研究者ですし、過去にはビジネスのことを考えるなと教育されたこともありました。でも、自分たちも進化しなければいけません。以前は、まずは論文を書くことが大事だった時代。でも最近は論文の前に知財を確保していることが大事だったりしますよね。今までなら私たちも新たな発見があったらすぐに『血液にドレブリンの断片がありました!』と大喜びで発表していたかもしれません」と語った。「そうしたら今の私たちはないですね」と白尾CEO。確かに時代の変化によって研究者の知財への意識が変わってきているのかもしれない。
 そして関野CSOは特許に対するイメージの大切さについても語った。「まだ実用化が見えていない時点で、ただ発見しました、特許を取りましたではいけないんですね。どういうイメージを持つのかが大切だと、知財センターのアドバイザーからは助言してもらいました。研究者は自分たちの発見が面白いから、一番難しい富士山の頂上みたいなところの特許を取ろうとしがちですが、実際はもっと周辺の広いところを捉える必要がありますね。知財に対する学びを深めていくうちに、世の中の仕組みも見えてきたような気がします」

ニッチトップ育成支援でより効果的な特許を取得

 現在は血液検査で、壊れたドレブリンの断片を検出し、軽度認知障害(MCI)を精度よく捉えられるようになった。つまり、脳の変化を血液で捉えられるのだ。成果は既に論文として発表され、今後は製品化、臨床性能試験、薬事承認へと続く流れが予定されている。また診断薬に続いて、治療薬の開発も本格化させるという事業戦略だ。
 こうした時期に、知財戦略がますます重要になることは言うまでもない。知財センターのハンズオン支援から継続する形で、ニッチトップ育成支援別タブで開くを受けた。「ハンズオン支援とニッチトップ育成支援によってさまざまなアドバイスを受け、より使いやすい効果的な特許を取得できたと感じています。また、商標についてもその重要性を一から教わりました」と白尾CEO。関野CSOは「とても大きな成果が出ていると思います。そもそも当初は拒絶理由通知の『拒絶』という言葉に恐れおののいていたくらいです。言葉がきついだけで、ダメと言われているわけではないとやっと分かりました」と笑いながら話した。

全てを楽しみながら日々一生懸命に取り組みたい

 「知財センターのアドバイザーは、私たちの研究にじっくりと向き合って、内容をよく理解してアドバイスしてくれたと感じます。学問上で言う新しいものと、特許で言う新規性や進歩性はまた違うものなんですよね。アドバイザーとの出会いは全てがタイミングよく、ラッキーなことの連続だったと思います。また、長いお付き合いになったからよかったということもあるでしょう。これからも研究も新たな挑戦も、全てを楽しみながら進んでいきたいと思いますので、引き続きサポートをお願いしたいです」と明るく語った関野CSO。最後に白尾CEOがこう結んだ。「日々一生懸命やっています。正しいことをしていれば、きっとお天道様が見ていてくださると思っています」
 お二方とも、とにかく誠実で明るい。その明るさをきっとお天道様も目を細めて見ていらっしゃるに違いない。

知財センターからのメッセージ

質問の多さは知財知識を吸収しようとする姿勢

知財権が確実に増えていることは、知財の重要性が認識されている結果だと感じます。またセミナーを開いた際にも質問が多く、知財に関する知識を貪欲に吸収しようとする姿勢が見られました。基礎研究で得られた技術そのものより、その周辺を含んだ技術の知財権が事業化には重要であることも、よくご理解されています。  
担当:立花アドバイザー

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