令和7年度
「東京都のお墨付き」で商談時の信頼度がアップ
MedVigilance株式会社
企業の強み💡
MedVigilanceは発想力と技術力を生かし、心拍数などを計測できるスマートバンド「LANCEBAND(ランス・バンド)」や、手指消毒もできる非接触式検温器「LANCEGATE(ランス・ゲート)」などの商品を世に送り出してきた。現在の主力商品である「Fy-Ring(ファイ・リング)」は、心拍数・酸素飽和度・睡眠の質・消費カロリーなどをリアルタイムで計測できる指輪型の健康デバイス(スマートリング)。
「Fy-Ring」は、心臓が拍動する際に発生する微細な電気信号を検出可能だ。そのため、一般的なスマートリングより心電図に相当するレベルの精度の高いデータを取得できるのが大きな強み
海外進出を目指したきっかけ
大きな成長を目指すため、新製品発売当時から海外進出を視野に
MedVigilanceは、東京工業大学(現・東京科学大学)発のベンチャーだ。創業者の耿氏は中国で生まれ、小学生の頃から日本に興味を持つようになった。そして高校卒業後、日本に留学して東京工業大学に入学。同大学院を卒業後は世界的なコンサルティングファームの日本拠点で経験を積み、2015年に独立を果たした。
これまで手掛けてきたのは、スマートバンドや非接触式検温器などのスマートヘルスケアデバイスが中心。そして2022年には、スマートリング「Fy-Ring」を市場に投入した。売り上げは順調に伸び、今は全社売上額の半分ほどがFy-Ringによるものだという。
MedVigilanceでは、Fy-Ringのリリース時から海外市場への進出を目指していた。
「スマートリングは新しい分野の商品です。そのため、日本国内の市場規模はまだ小さく、海外市場にも出て行かなければ大きな売り上げは望めない状況でした。
それに、為替変動のリスクを避けることも大切でした。Fy-Ringに使われる部材の多くは海外からの輸入品で、支払いはドルまたは人民元で行われることがほとんど。円安傾向が続く中、国内市場だけをターゲットにするとコスト増が重荷になる危険性があります。そうした理由があったため、海外進出は不可欠だと考えていました」
MedVigilanceは海外にFy-Ringを売り込むため、海外展示会への出展を目指した。そして2023年、ドイツで開催される世界最大級の国際医療機器展「MEDICA」の東京都パビリオンに出展。日本生活が長い耿氏は日本語が堪能だし、英語のレベルもかなり高い。中国語はもちろん母国語なので、「トリリンガル」というわけだ。しかし、外国語が話せることは海外展示会の成功に直結しないと、耿氏は感じた。
「初めて海外展示会に出たとき、『参加するだけでは意味がない』と痛感しました。製品の良さを伝えるだけでなく、興味を持った顧客と商談し、交渉をきちんとまとめて契約に結びつけなければ売り上げにはならないと分かったのです。ただ、当社には人手は足りませんし、契約をまとめるための交渉力も高くありません。それで、海外市場に詳しい専門家に手助けしてもらいたいと思っていましたから、公社の海外向け支援事業にはもともと興味がありました。そして、翌年にアジアの展示会に出ようと考えた時、思い切って公社に相談をしたわけです。
MEDICA2023出展時、主催窓口の東京都産業労働局から公社の海外展開ハンズオン支援メニューを紹介され、同時に公社医療担当ナビゲータもFy Ringに関心を寄せ海外展開の可能性に着目しており、話をするうち意気投合、海外販路支援プログラムを利用しよう、ということになりました」
「海外販路開拓支援プログラム」を利用
商談に公社ナビゲータが同席したおかげで相手からの信頼性がアップ
MedVigilanceにとって2回目の海外展示会は、2024年にシンガポールで行われた「MEDICAL FAIR ASIA」だった。
「海外販路の開拓支援プログラムには、大きなメリットが2つありました。1つ目は、マーケティング調査です。こちらがほしいデータを、海外販路ナビゲータの方が調べてくれたことで、現地市場のターゲットセグメントを事前に確認できました。当社には自力で海外市場を調査する余裕がありませんでしたから、このサポートが本当に有り難かったです」
Fy-Ringの国内販売価格は3万5200円。一方、アジア各国の平均収入と可処分所得はかなり高くなっているとは言え、日本に比べればまだ低い。そこでMedVigilanceでは、顧客ターゲットを修正し、比較的裕福な層にアプローチすることにした。その結果、ビジネスの成功率は格段に高まったという。
「海外販路の開拓支援プログラムの2つ目のメリットは、ある意味で『東京都のお墨付き』をいただけたことです。2024年当時、海外市場における当社の知名度はほとんどゼロの状態でした。私一人で外国の企業と向き合い、そこの社員にFy-Ringを持たせるよう交渉しても、相手に信頼されずに上手くいかなかったことでしょう。ところが、展示会においてもフィリピンマニラへのFS(フィジビリティ・スタディ。現地調査のこと)出張時、政財界メンバー・顧客訪問の際、交渉の場にはナビゲータの方も同席してくれました。その方が差し出した『Tokyo Metropolitan Small and Medium Enterprise Support Center(東京都中小企業振興公社)』という名刺を見て、多くの企業は『東京都の支援を受けているのですね』と安心してくれたのです。これが商談において、とても力になりました」
日本人が「フィリピンの○○州」「タイの△△県」と聞いても、ピンとくる人はおそらく多くはないだろう。それと同様に、日本の県や都市の名前も、海外には浸透してしないことが多い。ところが、東京都だけは違うと耿氏は語る。
「東京=Tokyoはアジア圏で、最も知名度が高い都市の1つ。そのブランド力を利用できるのは、この地域への進出を目指す企業にとって大きな利点です」
海外進出の状況
海外進出から短期間で2000~3000万円の売り上げを獲得
2024年度におけるMedVigilanceの売上額は、約1億2000万円。そのうち約6000万円が、2022年から販売を始めたFy-Ringから得られたもの。また、Fy-Ringはシンガポール、台湾、フィリピンなどでも販売を始め、同商品の海外売上比率は4割に達した。今後も、海外市場におけるFy-Ringの売上アップには期待ができそうだ。
「日本と文化が近いアジア地域を中心に、さらなる事業拡大を進めたいです。3年後には、アジア地域で年2億円以上を目指したいですね。そのためには、これからも海外展示会でアピールするほか、各地の代理店を支援する仕組みも整えようと考えています。
また、研究機関との連携強化にも取り組んでいるところです。現在、韓国の延世大学校と共同で、光の反射・透過光量の変化を分析して血流の変化を詳しく測定する技術を開発しています。同様の動きはシンガポールの南洋理工大学でも進めており、これらが加速すれば、心臓に関するデータを各国の医療機関に提供しやすくなるでしょう。すると、従業員の健康管理に関心の高い企業などに、Fy-Ringをさらに売り込みやすくなるはずです」
MedVigilanceは今後も、海外展開に力を注ぐ計画だ。また、医療はもちろん、リハビリ、介護、福祉といった分野でもFy-Ringの拡販を目指している。そのために、海外販路の開拓支援プログラムは大いに役立ちそうだ。
MedVigilance・耿氏からのひと言
「海外での知名度がほとんどなかった当社にとって、『東京都が支援する企業』という立場は本当に心強いものでした。おかげで外国企業との交渉でも当社への信頼度が高まり、商談がスムーズに進んだのです。当社が進出できていない地域・国はまだまだたくさんありますから、これからも公社の支援をいただきながら、海外に出て行けたらと考えています」
MedVigilance・海外進出の道のり
| 2022年9月 | Fy-Ring |
| 2023年11月 | 展示会「MEDICA 2023」(ドイツ)に出展 |
| 2024年4月 | 海外販路開拓支援プログラムスタート |
| 9月 | 展示会「MEDICAL FAIR ASIA」(シンガポール)に出展 |
| 2025年4月 | 台湾、シンガポールなどで代理店会議を開催。公社ナビゲータも出席 |
| 5月 | 新製品「Fy-Ring 2.0」を開発 |
| 9月 | リハビリ、介護、福祉機器の展示会「REHACARE 2025」(ドイツ)に出展 |
| 2026年2月 | WHX Dubai(旧アラブヘルス)出展予定 |
会社概要
MedVigilance株式会社
- 創業:2015年
- 代表取締役:耿 聡(高岸 聡)氏
- 資本金:9800万円(資本準備金を含む)
- 従業員数:16名
-
所在地:
・東京事務所……東京都港区芝浦3-3-6 東京工業大学CIC 2F
・本社……神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1横浜ランドマークタワーオフィス1319 -
URL:https://www.medvigilance.com/
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