トップ > 東京都知的財産総合センター > 海外知財ワンポイントレッスン > 中国模倣品事件の対応(7)日本の中小企業への提言 ~海外知財ワンポイントレッスン~

海外知財ワンポイントレッスン

中国模倣品問題の最新事情 トップページへ

2014年6月27日 掲載

中国模倣品事件の対応(7)
日本の中小企業への提言

1.事前対策

 中国における模倣品の氾濫は、日本の大手企業又は高級ブランドだけの問題だと考えてはいけない。近年、模倣品侵害は、日本の中小企業にまで拡大してきている。しかも、大手企業に比べて、中小企業が受けるダメージは相対的に大きく、企業にとっても、大きな問題になっている。なぜなら、大手企業は自ら侵害事件に対して、十分に調査し、対応を取ることができるが、中小企業には、費用の問題や力不足から十分な対応を取ることができないからである。
 さらに、日本の中小企業の製品が中国に進出しようとする段階で、模倣品がすでに中国市場に出回っているケースも多くなっているので、今後中国に進出を考えている日本国内の中小企業にとっても、非常に重要な問題と言える。中小企業といえども、知的財産権侵害リスクは決して他人事でない。中小企業は一般的に知的財産権に対する認識があまり高くなく、自社の知的財産権を把握して権利化し、活用する戦略意識がまだ薄いので、改善する必要がある。
 模倣品侵害に対抗するため、中小企業は、自社が所有する知的財産権の権利化について十分に注意しなければならない。権利化とは、知的財産権を専利権、商標権等として登録し保護することである。もちろん、関係権利化は、日本と中国の両国で行ったほうがよい。
 また、せっかく権利された知的財産権を活用しなければ、意味をなさない。知的財産権を活用するため、自社での使用以外に、他社にライセンスによって製造してもらう方法も得策である。

2.事後対策

 模倣事件が発生した場合、放任することは、得策ではない。タイムリーに知財専門の中国法律事務所と相談することを提案する。
 知財専門弁護士に関係情況を説明すれば、弁護士は、事件の実情に応じて、適切な対応策を提案することができる。費用対効果などを考慮したうえ、最適な対応を策定できる。
 策定した対応案に基づき、知財専門弁護士により侵害警告したほうがよい。弁護士による警告は、権利者自らの実施より、模倣業者及び関連機関にとって、強いプレッシャーとなるからである。しかも、弁護士は、中国法律に詳しく、実務上における留意点も把握しているので、順調に進めることができる。
 弁護士の選択については、知財専門の弁護士を選定するようご留意いただきたい。中国では、法律事務所通常、全ての法律事件に対応することができる。しかし、知財関連は非常に専門性が高いので、これらの法律事務所の弁護士が対応すれば、ミスを犯す可能性が高くなる。一方で、知財代理事務所は知財専門であるが、法律事務所ではないので、係る担当者は、出願をメインとして扱っている代理人は多いが、権利行使に対し、詳しくないのが実状である。したがって、知財に詳しい弁護士を選択することをお勧めする。

資料協力 北京林達劉知識産権代理事務所別タブで開く

中国模倣品問題の最新事情 トップページへ

東京都知的財産総合センター

東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1F
電話:03-3832-3656
E-mail:chizai【AT】tokyo-kosha.or.jp
※迷惑メール対策のため、「@」を【AT】としています。