第5回ファイナリストインタビュー

中小企業向けランサムウェア対策システム

goen合同会社
高嶋 生也さん
Team

精密機器メーカーに技術者として入社し、複合機事業に従事。入社4年でフランス駐在を経験し、挑戦の楽しさを実感。新規プラットフォームやエコシステム、マーケットプレイス構築など企画業務を歴任後、2023年に起業。

Team

goen合同会社の製品は、「貴重品を保管している金庫」を見えない状態にした。ハッカー(泥棒)がネットワーク(家)に侵入しても、機密情報(貴重品を保管している金庫)を見つけられないという状況を構築。

Team

起業が成功しやすい年齢が55歳と知り、実力を試そうと思い応募。 最優秀賞には至らなかったが、同世代の起業家の方々と知り合う機会となった。 今後も交流が図れるイベントなどがあればぜひ参加して継続的なつながりを大事にしたいと思っている。

代表者インタビュー

事業内容について教えてください
弊社は、ランサムウェアなどのサイバー攻撃を受けた際の対策として、攻撃を受けても迅速に復旧できる技術の開発をしています。中小企業がサイバー攻撃に狙われた際の影響はサプライチェーン全体に及ぶため、深刻な社会問題となっています。海外からの攻撃は検挙率も低く、機密情報の暗号化と身代金要求が主な手口で完全防御は困難です。しかし、弊社は革新的な技術で、迅速かつ確実な復旧を可能にする製品を開発しました。中小企業でも導入しやすい、低コストかつ高セキュリティなソリューションを提供し、世界のIT基盤を守ることを目指しています。
サイバー攻撃とは、ネットワークを介して、データの盗難、破壊、サービスの停止等をするデジタル上の攻撃です。例えば、貴重品を自宅内の金庫に入れ、鍵を隠し、さらに玄関にも鍵をかけていても、侵入してきた泥棒に金庫の鍵を探し出され、盗まれてしまうことがあります。これと同様のことがネットワーク上でも起こります。機密情報にパスワードを掛けていたとしても、パスワードよりもさらに上位の鍵を管理しているOSを攻撃された場合、玄関の鍵だけでなく金庫の鍵も突破された状態となり、情報を盗まれてしまいます。
goen合同会社が開発した製品の特長について教えてください
当社の製品は、いわゆる「貴重品を保管している金庫」を見えない状態にします。ハッカー(泥棒)がネットワーク(家)に侵入しても、機密情報(貴重品を保管している金庫)を見つけられない、といった状況を構築します。
中小企業を顧客としている理由を教えてください
中小企業の中には、大手企業の顧客情報や取引情報など膨大な機密データを管理している企業もあります。ハッカーはネットワークに侵入して機密データに鍵をかけ、データを人質に莫大な身代金を要求します。中小企業がハッカーに攻撃されると、管理している情報元の大手企業にも被害が拡大するため、深刻な問題となっています。
大手企業はセキュリティ対策に年間4~5千万円投資し、従業員教育や強固なセキュリティソフトの導入等、盗まれないための万全の対策ができますが、中小企業はそこまでセキュリティに費用を割くことが難しいため、置き去りにされているのが現状です。
そこで当社が考えたのは、機密情報を盗まれ、身代金を要求されても大丈夫な状況にするという中小企業向けならではの技術です。
現在の事業展開と今後の予定を教えてください
利益を大きくするためには中小企業だけでなく、大手企業に向けても販路を広げたほうが良いとグランプリファイナルの時に審査員の方から助言をいただき、現在は大手企業向けサービスの開発を進めています。大手企業に販売するために、前職の顧客データを活用できないかと考えており、前職の企業に対しては手数料を支払うなど双方にとって良い結果になる方向に進めていく予定です。
どのような経緯で起業しましたか
定年後の60歳から100歳までの長い40年間で何ができるかを考えた際、前職のネットワーク系の仕事で感じていた課題を、自分自身で解決したいと思ったのが起業のきっかけです。同じ課題を感じていた仲間と一緒にブラッシュアップしながら起業につなげていきました。
東京シニアビジネスグランプリに応募したきっかけと参加した感想を教えてください
起業が成功しやすい年齢が55歳と知り、実力を試そうと思い応募しました。
残念ながら最優秀賞には至りませんでしたが、ファイナリストに選ばれてとても嬉しく思いました。東京シニアビジネスグランプリは、同世代の起業家の方々と知り合うキッカケとなり、非常に感謝しています。今後も交流が図れるイベントなどがあればぜひ参加して継続的なつながりを大事にしたいと思っています。
現在は他事業も展開されているようですが、どのような事業でしょうか
国内最大級のフィンテックイベント「FIN/SUM 2025」内で開催された「IMPACT PITCH COMPETITION」において、ベスト8まで進みました。発表した技術は、簡単にいうとタッチ決済のステーブルコイン化です。通常、現在の日本ではクレジットカードは円で決済しますが、これは近い将来実現する暗号資産であるステーブルコインで決済を可能とするシステムです。クレジットカードのタッチ決済は非常に利便性が高いのですが、膨大な手数料がアメリカのカード会社へ支払われています。中小企業や小さな店舗にとってはクレジットカードの手数料負担が課題となっています。
次世代のステーブルコインはスマートフォン同士で直接決済を行うことが出来るので、店舗用iPadなどがあれば手数料を掛けずに決済できます。これが実現すれば日本円に連動したステーブルコインが普及するのではないかと思っています。
さらに弊社のビジネスモデルは、カード会社を経由しないことで削減できる中間手数料分の資金を使い、周辺サービスの拡充を目指しています。例えば地方におけるデジタル化の推進や、デジタル技術を活用して行政サービスや生活環境の向上を図るなど、地方創生の財源にできればと考えています。社会貢献活動とまではなりませんが、この事業に関してはあまりお金儲けを考えない方向で、地方創生のために役立てたいと考えています。
会社HP:https://goen.io